パーツを選んで自分だけのオリジナル機械式腕時計を組み立てる【組み立て編②】

■巻芯とリューズを取り付ける

続いてケース付属のリューズと仮のリューズを交換します。まずリューズに軸棒となる巻芯を装着。本番用巻芯はムーブメントと一緒に届いてましたが、この巻芯は、どのようなデザインのケースでも使えるよう、非常に長めになっています。

上の写真が本番用のリューズと巻芯を挿入した状態ですが、ケースに対してめちゃくちゃ飛び出してますね。これでは実用では使えません。そこでケースの外周とリューズの距離を正確に計測し、この長い分を切断する必要があるのです。

計測の結果、今回切断しなければならない巻芯の長さは約8mm。私の持っている木工用の定規では、正確な計測は難しかったです。

同じく私が普段、針金などを切断する時に使うニッパーでは、今回の作業ではあまりにも大きすぎました。本来ならより精密な工作用の切断工具を使うべきだったようです。それでもビギナーズラックか、なんとかピッタリに収めることができました。

最後に裏蓋についているパッキンをシリコングリス塗布器でグリスアップし、裏蓋をねじ込めば腕時計の組み立てが完成です。

■裏蓋を締めればパイロットウォッチの完成

NH35Aムーブメントは手巻き機能も付いているので、軽くネジを巻き上げれば秒針が軽快に動き出しました。シンプルで機能的なデザインのケースに、ドイツ製パイロットウォッチをイメージしたダイアルとハンズの組み合わせがハマったのか、美しくカッコ良いだけでなく、時刻の視認が非常にしやすい、実用性の高い腕時計ができ正直、感動です。

ここまで大きなトラブルもなく、十分に実用に耐えうる一品を作ることができました。DIYという趣味にあまり効率や費用対効果を考えるのは野暮というものですが、この腕時計DIYは、非常に満足度が高く、コストパフォーマンスにも優れています。

さてこの記事もここで終わっていれば、ああ良かった良かった無事にDIY成功だとなったのですが、ついつい欲を出してしまうのがDIY好きの悲しい性。やはりマニアの間で非常に人気が高いMIYOTA製のムーブメントも欲しいし、これまた多くの腕時計愛好家が愛するダイバーズウォッチ を作ってみたいじゃないですか!!

そこで次回は、MIYOTAムーブメントの魅力と難しさをご紹介するとともに、完成した腕時計のために、レザークラフトでオリジナル革ベルトを作っていきます!

<写真・文/阪口 克>

阪口克|旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。家を経験ゼロからDIYで建てる。家族でセルフビルドした日々を描いた『家をセルフでビルドしたい』が文藝春秋から発売中。ほか近著に『笑って!小屋作り』(山と渓谷社)、『世界中からいただきます』(偕成社)など。

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