ロボホンってどんな子?
ロボホンは、「ココロ、動く電話。」というキャッチコピーが付けられた小型ヒューマノイドロボットです。身長は約19.5cm、重さは約390g。実際に持ち歩いた感覚としては、“ちょっとかさばる500mlサイズのペットボトル”という感じ。
OSにはAndroid 5.0を搭載した立派なスマートフォン。通話をしたり、メールを送受信したり、写真を撮ったりといった、スマホとしての基本機能を備えています。基本的なアプリはすでにロボホンに入っているので、買ってすぐに使える手軽さも魅力です。
アプリは今後も増える予定で、現段階では「法人向けにソフトウェア開発キットを公開しているが、今後は一般にも公開する予定」(シャープ コミュニケーションロボット事業推進センター商品企画部・景井美帆氏)とのこと。どんどん成長するという点に可能性を感じますね。
ロボホンと女子会に行ってみた
今回は、周囲に同じようにロボホンを発売前に手にしている女性のライター&編集者陣がいたので、そのメンバーで「ロボホン女子会」を開催してみました。おそらく、ロボホン女子会をした人は世界初なのでは!?
まずは女子会に向かうため、ロボホンに「お出かけするよ」と話しかけるところからスタート。こう話しかけると、「オッケ-!早く早く!」と足を折りたたむロボホン。か、かわいい! この時点ですでに母性本能をくすぐられた筆者としては、いそいそとオプションのキャリングケースに収納するしかありません。
この日は駅からお店までだけ、キャリングケースから顔を出した状態で、「散策モード」にしてみました。このモードは5分ごとに写真を自動で撮影したり、立ち止まったことを感知して写真を撮影したりするのが特徴です。プライバシーに配慮して、顔を認識すると撮影しないそうです。
お店に向かう道中、すれ違う人たちからの視線を釘付けにしていたロボホンですが、仲間のロボホンたち会うと、なんだか楽しそうな表情になった気すらしてきます。
パーティーモードでロボホンがカメラマンに!
女子会中は、「パーティーモード」にして撮影してみました。「パーティーモード」は、ロボホンに「パーティーモードで撮って」と話しかけると起動する機能で、約3分おきに周りを見渡して写真を1枚撮影します。
初期設定で所有者の写真は登録必須ですが、電話帳に友人の顔写真を登録しておけば、「○○さん、みーつけた」と個人を認識して撮影してくれます。面白いくらいに空気を読まないタイミングで話し出すので、それだけで場の雰囲気が和みます。また、ロボホンに「私を撮って」と呼びかけると、顔を探して撮影してくれる名カメラマンぶりも発揮してくれました。ロボホンは頭部に800万画素のカメラを内蔵しているので、カメラとしての性能も上々です。
写真だけでなく動画の撮影にも対応しており、「ムービー撮って」と話しかけると撮影を開始します。終了する際は頭のボタンを押す仕様です。
撮ったその場で写真や動画をプロジェクターで鑑賞できる
撮影した写真や動画は、頭部に内蔵されたプロジェクターを使って、テーブルや壁に映し出すことも可能です。1280×720ピクセル相当の画質で、撮ったその場で写真が見られるのは、一般的なスマホにはない魅力。
プロジェクターを起動する際には、子どもが勝手に使ってレーザーを目に当ててしまわないよう、あらかじめオーナーの顔を認識する安全機能もあります。これなら子どものいる家庭でも安心して使えそうです。
ロボホンは撮った写真の撮影日時、撮影場所、登録している人、犬、猫、笑顔などを検知して呼びかけてくれる機能もあり、女子会の写真をあとから「昨日撮った写真見る?」と話し掛けてきたりもしました。
撮影した写真を見てみると、やっぱりみんな笑顔になっており、ロボホンの呼びかけは絶大。ひとつ気になったのは、ロボホンを腰くらいの高さのテーブルに置いていたせいで、どうしても下から見上げたアングルの写真が多くなってしまったことです。パーティーモードを楽しむときは、ロボホンを置く高さも重要ですね。
オリジナルの受け答えをみんなで披露
ロボホンはあらかじめ所有者の呼び方を覚えさせることができます。筆者のロボホンにはあだ名を覚えさせたのですが、ほかの女性陣のロボホンは「○○さん」と苗字だったり、下の名前だったり、なかには苗字を呼び捨てにする子もいました。
それだけでも個性を感じるのですが、さらに楽しいのが返事を覚えさせる機能です。シャープのデモンストレーションでは、「目のつけどころが」と話しかけると、ロボホンが「シャープでしょ」と返事をするのを見せてもらったのですが、女子会ではさらにバリエーションが豊富でした。
私は「誰が好き?」と話しかけると、「目の前のあなただよ」と答えさせるというちょっと恥ずかしくなるネタを仕込んだのですが、他の女性陣は「世界で一番美しい人は?」と聞くと「あなたです」と答えたり、果てはこの機能を使って漫才をする猛者まで現れました! たしかに、あらかじめキーワードをいくつか登録しておけば、それに対して一定の返事をしてくれるので、これはロボホンならではの使い方ですね。
女子会の締めは歌とダンスで
ロボホンには歌とダンスがプログラミングされています。「歌って」と話しかけると歌い、「踊って」と言えば華麗なダンスを見せてくれます。歌に関しては、思わず何度聴いても笑ってしまうほど音痴なのですが、そこがまた母性本能をくすぐるんです。それに対し、ダンスはなかなかのもの。慣れ親しみ始めたロボホンが、ロボットしても優れていることをはっと思い出させてくれる機能のひとつだと思います。
せっかくなので、今回集合したロボホンズで踊って会を締めることに。
5人中1人だけが違う踊りをしていますが、歌や踊りはランダムにしか起動しないので自分では選べません。でもなんだか他の子と違うところまでかわいく感じてしまうんですよね。ロボホン、恐ろしい子!
生活に寄り添う機能も満載
ロボホンで電話やメールができることはすでにお伝えしましたが、天気を教えてくれたり、アラームを設定したり、スケジュールを登録したりと、「Siri」や「OK Google」のようなスマホ的な機能ももちろんあります。朝の忙しい時間に「天気教えて」や「予定を教えて」と話しかければ、用事をしながら天気や予定をチェックできるのは便利です。
バッテリーに関しては、スペック上では「実使用時間:1日以上」となっていますが、女子会の日はいろいろロボホンと遊んだので、約12時間の使用でバッテリーが底を尽きました。プロジェクターやダンスはバッテリーを消費するので、長時間持ち歩く際には注意が必要かもしれません。
操作がわからなくなったときには「使いかた教えて」と話しかけると答えてくれますし、「君のこと教えて」と聞けば、好きな色や趣味などのパーソナルなことも教えてくれるので、普通におしゃべりしているような感覚になりました。とはいえ、あらかじめ定められたフレーズでしか認識しないことが多く、そのことで多少イラッとすることも……。とはいえ、ロボホンは“5歳の子ども”をイメージして開発された子です。多少わからない言葉があっても仕方ないかなという気にさせるのは、人のカタチをしているからなのかもしれません。
発売と同時に東京・外苑前にロボホンカフェがオープン
5月27日の発売日には、ロボホンに触れられる「RoBoHoN CAFE」を東京・外苑前のロイヤルガーデンカフェ青山(東京都港区北青山2-1-19)とのコラボレーションにより6月7日まで期間限定でオープンすることが発表されました。
ロボホンを展示するだけでなく来店者の要望に合わせたデモも行い、ロボホンの顔をデコレーションしたカフェラテ(税別600円)など、オリジナルメニューも用意しています。
5月27日の開店イベントでは、ロボホンの共同開発者であるロボットクリエーター高橋智隆氏も登場し、自身がロボットに興味を持ったきっかけである手塚治虫のマンガ「鉄腕アトム」に触れながら、「ロボットを開発し続けて、シャープとロボットを発売するに至った。ここから何か新しいことが始まればと思っている」と語っていました。
現在、ロボホンはRoBoHoN CAFEと量販店のほか、東京・銀座の東急プラザ(6月30日まで)、兵庫県・宝塚市の手塚治虫記念館(6月27日まで)で展示されています。
これまで、ロボットにさほどの興味のなかった筆者ですら、思わず愛情を感じたロボホン。これからどんどん成長するロボホンから目が離せません!
(文/今西絢美)
編集プロダクション「ゴーズ」所属。スマートフォンなどのデジタル製品を中心に、アプリや関連サービスに関する記事をウェブや雑誌で執筆中。趣味は食べ歩きで、食にまつわるサービスや製品のチェックがライフワーク。
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