■第5→6世代間の大きな変化をおさらい
まずは、従来モデルから進化したポイントをおさらいしておきましょう。一番大きな変化は、デザインが刷新されたこと。Lightningコネクタやホームボタンが備わった旧式デザインではなく、ホームボタンがなくなってディスプレイを拡張しつつUSB Type-Cポートを備えた新世代デザインに変わりました。
ディスプレイサイズは、第5世代が7.9インチだったのに対し、第6世代では8.3インチにUP。一方、本体サイズは高さが7.8mm減って厚みが0.2mm増えただけ。iPad miniシリーズならではのコンパクトなサイズ感は、しっかり維持されています。
対応するApple Pencilも、Lightningコネクタに差して充電する第1世代ではなく、本体側面にマグネットで固定する第2世代へと変わりました。
一応、ほかにもチップセットやらカメラやらも、いろいろと進化しているので、主な仕様の変化については下記の表組でまとめてご覧ください。
新機能としては、これまでiPad Proが対応していた「センターフレーム」に対応したことがトピック。こちらは既に話題になっていたので、説明不要かもしれませんが、超広角のインカメラで撮影した画角から、被写体の部分を切り取るように自動編集されることで、被写体が移動しても追従しているように見えるという機能です。「iPad miniでビデオ通話をしたい」という人にとっては、見逃せないポイントのひとつですね(筆者はあまりiPadでビデオ通話をする機会がないので、おまけ機能くらいの感覚で認識しておりますが…)。
■たぶん、最強のエンタメ端末
以降は、実際に触ってみた印象について。やはり一番大きな魅力を感じたのは、片手での扱いやすさでした。
ほかのiPadシリーズのサイズって、どうしても机に置いて扱うことや両手で支えることが前提になっていると思うんですよね。だからソファとかベッドで横になりながら動画とかを視聴したり、漫画をダラダラ読んだりするには、実は向いていません。重くて腕が疲れてしまうので…。エンタメには適していますが、机にしっかりと座って視聴できる人向けなわけです。
一方、iPad miniは長時間だらだらと持っていやすいサイズ感。「それでもまだ重いよ」と感じる人はいるかもしれませんが、iPhoneよりも画面サイズ大きいのが魅力。YouTubeを見ながらTwitterを投稿する、と言ったマルチタスクもしやすい。タップ操作でゲーミングをしたい人にとっても、最高のサイズ感です。ちなみに、サウンドについても、横向きのステレオスピーカーになっているので、臨場感はかなりあります。
■最高のタイミングで日本語手書きに対応
そして、マグネットで固定&充電できる第2世代Apple Pencilが使えるのがかなりうれしい。筆者としては、ちょっと出かけたときに「あ、このシーンスケッチしたい」みたいな時があったらさっと取り出してデッサンが楽しめそうだな、と感じました。片手でホールドできるので、立ったままとかでも描きやすいのがこのサイズの魅力。
同じく、ビジネスシーンでは手書きメモを取りやすい「手帳」として活躍が期待できます。ちょうど良いタイミングで「スクリブル」機能の日本語対応もされたので、キーボードを触らずに、手書きでテキストデータを入力できるというのも大きい。手書きカレンダーアプリの「Planner for iPad」とかを使うには最高ですね。
ほかのアプリを使っていて、ちょっとメモを取りたいな、というときに画面右下から「クイックメモ」が表示できるという新機能も、「これ、iPad miniのための機能なんじゃないだろうか」と思うくらいマッチしています。
* * *
用途そのものについては、「そんなの前のiPad miniでもできたよ〜」なんて声も聞こえてきそうですが、筆者が感じるのは「体験の質」の違い。ホームボタンがないディスプレイでは、コンテンツへの没入感が高いですし、第2世代のApple Pencilが使えることでは、ペンの充電管理を意識させられることがありません。そして、何より格好良い次世代デザインは使っていてテンションが上がります。
最後になりましたが、Apple StoreでのiPad mini(第6世代)の価格は、64GBモデルが5万9800円〜、256GBモデルが7万7800円〜。Wi-Fi+Cellularモデルを選んだり、周辺機器やApple Care+などを追加したりしていると、どうしても10万円前後になってしまうでしょうが、「ほかのiPadじゃデカすぎてだめなんだ」と感じたことのある人は、ちょっと背伸びしてでも今期買っておく価値が十分にあると思いますよ。
<取材・文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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