今回ドライブしたグレードは、コンバーチブルのエントリーグレード「クーパー」(342万円)。1.5リッターの直3ターボエンジンを積んでいます。1気筒当たりの排気量は500ccで、ひとつ上のグレードである「クーパーS」(397万円)には、ちょうど1気筒分多い、4気筒の2リッターターボエンジンを搭載します。
クーパーのエンジンは、いい意味で出来のいいディーゼルエンジンのよう。ひと昔前なら「ディーゼルみたい」なんていったら「ディスってる!」と非難されたと思うのですが、昨今のディーゼルは本当に完成度が高いですからね。もちろんホメ言葉です。
この3気筒エンジンは、低回転域からトルクがあって、回転を上げていくと3気筒ならではの少しザラついたエンジンサウンドに、ビートとパワーが乗ってくる感じ。アクセルペダルを踏んだ時の反応もグッドですね。
誰が乗っても気持ちいい、ゴーカートのようなハンドリングフィールはMINIならではです。
ベースとなった3ドアに比べると、荒れた道路で段差を踏んだ時に、ボディがブルッとシェイクするのは仕方のないところですが、この手のクローズドボディから派生したコンバーチブルにしては、なかなかカッチリと仕上がっています。
インテリアはエクステリアに負けず劣らず、雰囲気づくりが相変わらず巧いですね。センターメーター風のディスプレイ、トグルスイッチのポッテリした造形、落ち着いたシートのテキスタイル…。そういったディテールのハーモニーが安っぽくならず、上手にまとまっています。
MINIより以前は「大きい=高級車」「小さい=大衆車」という図式が割と常識でした。小さい高級車を成立させようとした例はほかにもあります。
例えば、イタリア車のランチア「イプシロン」などは内装にこだわり、贅沢な素材を使うなどしてファンを獲得したものの、旧い図式を揺るがすまでには至りませんでした。
その点、BMWの手掛けるMINIは、クラシックミニのヘリテージを上手に活用しつつ、小さな高級車としての立ち位置を確立してみせたのは、かえすがえすも見事です。トヨタの「ヴィッツ」や日産「マーチ」と変わらない全長でありながら、その2倍や3倍ものプライスが付いていても、ちっとも違和感を感じさせません。