M2が登場してビックリしたのは、そのプライスでした。770万円! これはもうバーゲンセールです。
ひとクラス上の「M4」は、1132万円(7速DCT)。それに比べて350万円以上もお安い。真剣になればなるほど、この350万円の差はデカい。
仮にですよ、今乗っているクルマの下取りが350万円、もしくは頭金に350万円用意できるならば、諸費用等含めて残り500万円のローンを組めば、M2をゲットできることになります。ちょっとキツいですが、情熱の対価としてはアリ、検討の余地はアリなわけです。しかしM4だと、残りは850万円…。情熱どころか、見積もりを取るとかえって冷静になっちゃいますね。超クールダウンです…。
その点M2なら「いっちょ今度の週末、ビーエムのディーラーにでも行ってみるか!」となるわけです。実際、そういう人、私の周りに続出中であります。
もちろん、M2がお安いのには理由があります。それはザックリいって3つ。
1:サスペンションが専用品ではなく流用品
2:エンジンがM専用のものではない
3:インテリアが簡潔
サスペンションの流用は、開発費を抑える=価格を抑えるためですが、その流用元がスゴイんです。まんま、M4です(笑)。
サスペンションを保持するために、ボディにはアクスルキャリア、サブブレームと呼ばれるものがサスの土台として取り付けられているわけですが、このアクスルキャリアからサスペンションアームの先まで、M4からゴッソリ移植されているのです。かつて、これほどウェルカムな流用があったでしょうか!
この点だけを見ても、M2は「買い」です。
M2のボディサイズは全長4475mm、全幅1855mm、全高1410mmです。その全長は歴代3シリーズでも名車中の名車“E46型”(4世代目3シリーズ)ベースのM3(全長4490mm)とほぼ同じなのに、全幅とトレッドがM4とほぼ同じなのは、サスペンションがM4と同じだからです。M2は全長とホイールベースが短くて、全幅とトレッドが広いのです。これはある意味、ヤバいディメンションです。
どうヤバいのかというと、コーナリングマシンとしてのポテンシャルは、M4を超えてしまう可能性があります。とはいえ、BMW M社はMモデルのヒエラルキーをとても大切にしています。仮に、富士スピードウェイでノーマルのMモデルを走らせると、タイムが速い方から順に、M6、M5、M4(M3)とキレイに並ぶようになっています。
つまり、富士スピードウェイでM2が他のMモデルにかなうことは、まずないでしょう。しかしそのステージが、よりコンパクトな筑波サーキットの“コース2000”だとしたら? 下剋上があり得ると思わされる、コーナリングマシンとしてのポテンシャルの高さがM2にはあると断言しておきます。