富士スピードウェイでM2がM4には絶対に敵わない、もうひとつの理由が「エンジンがM専用モデルではない」です。
M4のエンジン型式は“S55B30A”。型式がSから始まるユニットは、Mモデル専用であることを示します。Mのために開発されています。しかし、M2のそれは“N55B30A”。どちらも2979ccの直6ガソリンターボですが、M4は431馬力、M2は370馬力。歴然とした差があります。
今回の試乗で最も注目していたのは、このポイント。M2のパワーはどういうものなのか。そして、発見も多いポイントでもありました。ザックリいって3つあります。
1:「これならコントロールできるかも」と思わせる適度なパワー
2:ターボなのにまるでNA(自然吸気)のようなキャラクター
3:ビートが利いているエキゾーストサウンド
M4の431馬力だと、正直、パワーを持て余す場面がありました。ちょっとドキッとさせられることがあるんです。ターボの過給に目がついていかない感じ、とでもいいましょうか。
その点、M2の370馬力は十分にパワフルでありながら、回転数に対するパワーのノリが自然吸気に近いので、アクセルペダルの踏み加減でコントロールできる。これなら、自分のコントロール下に置いておける、と思わせてくれるフィーリングです。とはいえ、かなり「速い」。
楽しくて、楽しくて、エンジンをブン回していると、エキゾーストノートが気分良く響き渡ります。この時点で、M専用エンジンであるか否かなど、もはや頭の片隅にもありません。吹き飛んじゃいました。
最後になりますが、M2のインテリアは非常にシンプルです。そこに好感を抱くのは、私だけではないと想像します。シャーシにはお金をつぎ込んで、目に見えるところは質素。これ、非常に“萌え”要素です。
でも純正オプションを含めて、2シリーズ クーペ向けのパーツは豊富。カスタマイズする楽しみが残されていると考えれば、なおさら悪くありません。
結論として、M2の770万円がバーゲンプライスであることは間違いないと思います。次世代の1シリーズは、エンジン横置きのFF(前輪駆動)になることが決定している、とのウワサが絶えません。そうなると、1シリーズから派生する2シリーズもFFに?
コンパクトなボディに強力な直6エンジンを積むFR(後輪駆動)は、このM2が最初で最後だとしたら? もう、迷っている合理的な理由はありませんね…。
<SPECIFICATIONS>
☆M2クーペ
ボディサイズ:L4475×W1855×H1410mm
車重:1580kg
駆動方式:FR
エンジン:2979cc 水冷直列6気筒DOHC ターボ
トランスミッション:7速DCT
最高出力:370馬力/6500回転
最大トルク:47.4kgm/1400〜5560回転
価格:770万円
(文・写真/ブンタ)