ル・マンは古くからの歴史もあるフランス西部の町で、人口は15万人ほど。パリからTGVに乗れば1時間で着きます。この町を世界的に有名にしたのは、1923年から開催されてきた24時間耐久レースの魅力です。
このレースはル・マンの町全体を巻き込んで開催されます。さながら世界規模の夏祭りといった感じ。レース車両が規則を満たしているかを確認する車検は、市内のレプブリク広場で行われ公開されています。広場に集まった最新鋭のレーシングカーを、レースファンのみならず地元の人たちも楽しみながら眺めていて、ドライバーたちにサインをせがむ地元の子供たちの姿もあります。もっとも、サインをねだっているのは子供だけではありませんが。
レースの舞台は、ル・マン郊外の常設サーキットであるブガッティ・サーキットをメインにしながら、一般公道も封鎖して作られた一周約13.6kmのコース。普段から使っている道をレーシングカーが時速300km以上で疾走する非日常感は、まさにお祭りです。そしてその雰囲気は、レースの週末に向けて、世界中のレースファンと一体になりながら徐々に盛り上がっていきます。
コロコロ変わる天気に翻弄され、波乱を呼んだ3回の予選
今年のル・マンは天気がめまぐるしく変わる日が続いています。暑いほどの晴天になったかと思えば、急に土砂降りになり冷えきったり。しかも全長13.6kmと、コースは長い。コースの端と端で天気が違うのは当たり前です。水曜日と木曜日に行われた3回の予選も天気に翻弄されました。特に3回目の予選では開始30分ほどで強い雨が降りだし、長時間にわたって走行は赤旗中断になるほどでした。
雨の中サーキットで、3回の予選をとおして速さを見せたのは昨年の覇者ポルシェ。今年も1周での速さは顕在で、3回の予選ともトップはゆずりませんでした。しかしそこに迫ったのが日本のトヨタ。1回目の予選ではクラッシュしてノーズを破損するシーンもあり、ポルシェの1-2を許したものの、2回目と3回目では2位に入る速さを見せました。一方で近代ル・マンの覇者アウディは速さを見せることができず、5-6位にとどまりました。
予選の速さはもちろん重要ですが、長丁場の24時間レースだからこそ、予選ペース以外にも多くの要素が関わってくるのがル・マンの面白いところ。予選と決勝ではエンジンとモーターからなるハイブリッド・パワーユニットのエネルギーの使い方も異なりますし、そのためペースも異なります。またトラブルなく走りきる耐久性ももちろん必要ですし、天候の変化への適応力も含めたチーム力も問われます。
2016年のル・マン24時間は、18日(土)の現地時間15時、日本時間20時からスタートします。これまでの成績と天候から接戦が予想されます。この歴史あるレースを日本車が征したのは1991年のマツダだけ。四半世紀ぶりに日本車の優勝が見られるか、楽しみに応援できそうです。スタートの模様とレースのダイジェストはToyota Gazoo RacingのLINE LIVEで試聴できますよ。
LINE LIVE >> http://toyotagazooracing.com/jp/wec/special/2016/line-live-lemans.html
(文・写真/GoodsPress編集部 取材協力/トヨタ自動車)
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