レクサス「NX」は走りがスゴい!SUVらしくない軽快さで心臓部には4種4様の個性あり

■ワインディングでの走りは水を得た魚のよう

ここまで走りがいいとは…。パワートレーンごとの解説に入る前に、まずすべてのNXに共通する美点としてお伝えしておきたいのが、ハンドリングの素晴らしさだ。新型NXの走りは事前の予想をはるかに超える出来栄えで、正直ちょっと驚いた。

新しいNXは、大小のコーナーが続くワインディングロードでも気持ち良く、そしてスムーズに曲がっていく。コーナリング時の素直な挙動と、右に左にと続くコーナーをクリアする際のつながりの良さは、クルマにうるさい人でも間違いなく納得できるレベル。走り始めてひとつ目の交差点を曲がるだけで、走りの良さを理解できるほどの完成度だ。

背の高いSUVは、重心の高さなどに起因する物理特性から、コーナリング能力に絶対的なハンデを負っている。しかし新型NXは、そんなことなど微塵も感じさせない。コーナー進入時にハンドルを切ると、驚くほどスムーズにスッとクルマの向きが変わる上、その過程におけるハンドル操作に対する反応もとても自然。こうした特性はいずれのパワートレーンにも共通する美点で、まるでスポーツセダンを想起させるような軽快な走りを披露してくれる。

また新型NXは、回り込んだキツいコーナーでもねらった走行ラインをきれいにトレースしてくれる上、無謀なドライビングをしない限り、コーナーの外側にクルマがはらむこともない。まさにオン・ザ・レール感覚で、とにかく素直で、ひたすら気持ちよく曲がってくれる印象だ。路面にクルマがビタッと張りついて、タイヤが地面を離さないといった走り味は、SUVとは思えないレベルにある。

それだけに、ワインディングロードにおける新型NXは水を得た魚のよう。気持ちよくコーナリングを楽しめ、運転する楽しさに満ちあふれている。走りのために磨き抜かれたサスペンションや、サスペンションの性能をフルに引き出す強固なボディが効いているのだろう、クルマとドライバーとの一体感が濃密なのだ。

■レクサス初のプラグインはジェット機のような加速感

いよいよここから本題。気になるパワートレーン別の走行フィールについてお伝えしていこう。

新型NXにおいて販売の中心となるのは、従来型のハイブリッドを搭載する「NX350h」。190馬力を発生する2.5リッターの自然吸気エンジンに、182馬力の前輪用モーターを組み合わせた(4WD仕様は54馬力の後輪用モーターをさらにプラス)、システム出力243馬力という仕様だ。

その走りの印象をひと言で表現するなら、ひたすらなめらか。レクサス=トヨタのハイブリッドシステムは、基本的にエンジンとモーターの力をバランスよくミックスして使う仕組みだが、タイヤが転がり始めた時点からモーター駆動ならではのスムーズさが感じられ、とても上質。“350”というモデル名につく数字からもイメージできるように、動力性能においても十分期待に応えてくれる。

また新型NXのハイブリッドシステムは、従来型といっても新世代のものへと進化しており、以前のものに比べてアクセル操作に対する加速のダイレクト感が格段に増している。そのためドライバビリティも大幅に向上。「燃費はいいけどフィーリングがね…」という印象だった先代NXのハイブリッド仕様に対し、新型のそれは燃費だけでなく運転する楽しさも身につけている。

ちなみに新型NXのハイブリッドシステムは、トヨタ「RAV4」や「ハリアー」と構成こそ共通だが、制御にはNX専用のものが採用されている。特に4WD車は、リアモーターを積極的に使う制御へと変更。走りの完成度がさらに高まっている。

続いてフォーカスするのは、レクサス車初のプラグインハイブリッドモデルとなった「450h+」。こちらは加速の勢いと伸びがものスゴい。システム出力は309馬力で、数値だけ聞けば2トンオーバーの車重に対して特筆するほどパワフルとは思えないが、実際に走らせてみるとこのクルマはとんでもなく速い。

その理由は、フル加速のシーンにおいて、大容量バッテリーを加速のために活用するため。転がり始めから最大トルクを発生するモーターへと大容量バッテリーから一気に大電力を送ることで、トルクがモリモリわき上がる力強さを披露してくれる。

その加速フィールは、まさにジェット機のそれ。まずググッと後ろから押されるように急激に加速Gが立ち上がり、そこからシームレスに車速がどんどん伸びていく。普通のハイブリッドカーでは加速が鈍りがちな80km/hを超える領域でも、グングン車速が増していく様子は圧巻だ。

プラグインハイブリッドカーというと、一般的にはエコ性能や航続距離が注目されがちだが、NX450h+は勢いある加速も楽しめるモデルなのだ。ちなみに、プラグインハイブリッドのシステム自体は、トヨタ「RAV4 PHV」に搭載されているものと基本的には同じ。しかしNX450h+では、リアモーターをより積極的に使う制御が採り入れられている。

【次ページ】2.5リッター自然吸気ガソリンエンジンは掘り出し物

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