ベースとなったGT-Rは、2008年仕様の「プレミアムエディション」というグレード。発売当時の価格は924万円でした。
GT-Rのようなスーパースポーツは、息の長いモデルであるだけでなく、内外とも毎年ブラッシュアップされます。せっかく購入した愛車が、すぐに“古く”なってしまったら哀しい。
そこで、GT-Rを末永く楽しめるよう、NISMOは可能な範囲で“性能のキャッチアップ”を手助けしてくれるのです。今回ドライブしたニスモパーツ装着車は、ザックリいって、2013年モデルの仕様に合わせたチューニングが施されていました。単純計算で、5年分ほど進化したわけです。
具体的には、エンジンバージョンアップ(90万6000円/工賃込み)、サスペンションバージョンアップ(73万6800円/工賃込み)をはじめ、スポーツチタンマフラー(47万8000円)、GT L.S.D. Pro Carbon(33万円)、Front L.S.D.(14万円)がおごられ、内外装にも手が入っています。
せっかくなので、当日、NISMOのアンバサダーとして参加していたレーシングドライバー、ミハエル・クルム選手がドライブするGT-Rに同乗させてもらいました。
クルム選手はいうまでもなく、日産/NISMOのワークスドライバーとしてスーパーGTでGT-Rを走らせ、また、ニュルブルクリンクの北コースにて、GT-R(NISMO N アタックパッケージ)で量産車世界最速タイムを記録した名うての“GT-R使い”です。
コース幅が広いとはいいかねるサイクルスポーツセンターのクローズドコースを、それでもコース幅をいっぱいに使い、丁寧かつアグレッシブにGT-Rを走らせるクルムさん。端から見ていると、とても485馬力、60.0kg-mを発生するV6ターボエンジンを積んだハイパフォーマンスカーを運転しているようには見えません。クルマを完全に手中に入れているのがよく分かります。
途中、速度を落とさせるために、急遽、置かれたパイロンがコース上に出現しましたが「朝はこんなもの、なかったのにねぇ」と笑いながら4輪をキレイにスライドさせ、事もなげによけていきます。うーん、当たり前ですが、運転うまい!
試乗後、NISMOチューンのGT-Rについてコメントを求めると、「アクセルを踏んでいった時のパワーのつながりがいい。特に、中間域でのピックアップが良くなってる」とおっしゃる。足まわりのセッティングもキマっていて「コントローラブルかつ前後のバランスがいい」と満足そう。「急にパイロン出てきても、平気だったね」と片目をつぶります。
クルム選手により、NISMOパーツを組んだGT-Rは「トータルバランスが高い」と結論付けられました。さらに、スタビリティコントロールをオンにして走れば、“高性能”と“電子デバイス”を使った「ダブルプロテクションになります」と、安全性の高さも強調。
“チューニングカー=速いけれど危なっかしい”という図式は、このクルマに関しては、全く当てはまらないのです。
「まだまだ現役だけど、ちょっとヤレてきたかなぁ」…そんなことを感じているGT-Rオーナーにとって、豊富に用意されるパーツは、今後、心強い味方となるに違いありません。もちろん、価格がこなれてきたR35の初期型をユーズドカーで手にいれ、走りをブラッシュアップしながら楽しむのも一興。そうした多彩なニーズに応えてくれるあたりは、やはり、日産直系の“ワークス”チューナー=NISMOならではといえるでしょう。
(文・写真/ダン・アオキ)
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