美しいシルエット以上に気に入ったのが、ボディサイドを走る2本のキャラクターラインです。
昨今のメルセデス・ベンツに共通のラインですが、Cクラス クーペのそれは、全く“取って付けた”感じがありません。2本のうちの上のラインは、ヘッドライトユニット内のデザインを起点として始まり、途中、ドアノブを抜けて、リアのブレーキランプやウインカーを内蔵しているコンビネーションランプへと届きます。造形と融合していて、ラインの存在に必然性が宿っているんですね。しかも、これがルーフのドロッピングラインを巧みに引き立てて見えます。
そういった伸びやかで流麗なシルエットに、ジワリと躍動感を与えるのが、2本のうち下側のキャラクターライン。ボディのシルエットとキャラクターラインとのコンビネーションは、他のメルセデス・クーペと比べて、圧倒的にCクラス クーペの方がイケています。かなり艶かしい。
ざっと外観を舐めまわしたところでドアを開けると、窓枠のないサッシュレス仕様。窓枠がないことでルーフ周りの余計なディテールが省かれ、俄然スッキリした印象です。古典的な様式ではありますが、クーペならサッシュレス、やはりいいですね。
インテリアは、上品な革使いをベースとし、高級オーディオのようなクロームパーツがアクセントになっています。その調和は、ドライバーの気持ちを高揚させるベクトルも持っています。決して落ち着き過ぎていません。
試乗したのは「C180クーペ スポーツプラス」というグレードで、19インチホイールを標準装備します。フロント225/40R19、リア255/35R19と、前後で異なるサイズのタイヤを履くのは、大きなパワーを後輪だけでトラクションに換えるスポーツカーの様式です。
いまや35や40扁平は珍しくなくなり“低扁平タイヤ(靴のソールが薄いのと同じ)だからガチガチ”ということもありませんが、試乗車からはしなやかさより、シッカリした剛性を感じます。
でも、嫌いじゃありません。走行時のセッティングを選べる“ダイナミックセレクト”には「コンフォート」「エコ」「スポーツ」「スポーツ+」「インディビジュアル」がありますが、ほとんどの場合、メリハリのある「スポーツ」や「スポーツ+」を選んでいました。
というのも、このカチッとした脚まわりに、カチッとしたハンドリングやパキッとしたエンジンレスポンスの相性がいいんです。違和感がないというか、クルマとしてのセッティングに統一感が生まれる感じです。
ただし、同乗者がいる時は、この前向きな選択が嫌われることも。「ゴツゴツする」といったニュアンスのことをいわれたら、素直に「エコ」や「コンフォート」を選んであげると喜ばれそうです。
エンジンは1.6Lの直4ガソリンターボ。最高出力156馬力、最大トルク25.5kg-mと、そのルックスから受けるイメージに対してかなり控え目なスペックですが、7速ATが上手に変速してくれることも手伝って、実用上の力強さは十分。
ダウンサイジングされたパワーユニットらしい、スマートさ、クレバーさを感じさせます。こうしたエンジンをぶん回して走るのはガッツキ過ぎ。クーペらしい艶やかさ、華やかさを台無しにしてしまいます。
ちなみに、車両価格は585万円。5年タイプの残価設定型ローンと初回車検を含むメンテナンス費用があらかじめ組み込まれたファイナンスプログラム「まるごとプラン」を利用すると、月々1万8000円からオーナーになれる道筋が用意されています。
こういったプランを上手に活用して美しいクーペに乗る。そして、乗ったその日から自分を取り巻く世界、いやむしろ、ほかならぬ自分自身が変わるような予感…。そんな感覚を、このCクラス クーペは味わわせてくれる気がします。
<SPECIFICATIONS>
☆C180クーペ スポーツプラス
ボディサイズ:L4705×W1810×H1405mm
車重:1570kg
駆動方式:FR
エンジン:1595cc 直列4気筒 ガソリンターボ
トランスミッション:7速AT
最高出力:156馬力/5300回転
最大トルク:25.5kg-m/1200〜4000回転
価格:585万円
(文・写真/ブンタ)
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