2015年秋に、日本でも販売が始まった2世代目のX1。初代は「3シリーズ ツーリング」=ステーションワゴンのいわば“シャコタカ”モデルでしたが、フルモデルチェンジを果たした型式=F48型のX1は、「2シリーズ アクティブツアラー」「同グランドツアラー」のコンポーネンツを活用したSUVになりました。つまり、このクラスでは珍しかったFR(後輪駆動)のプラットフォームを捨て、より一般的なFF(前輪駆動)のシャーシを持つことになったのです。
「やっぱり高級車は後輪駆動じゃなきゃね」みたいなことを助手席の人に自慢できなくなった反面、新型X1は、全長が初代より30mm短くなったにもかかわらず、室内が広くなりました。特に、リアシートのスペースが広がり、実用性がググッとアップ。人や荷物を載せる機会が結構多いけれど「ミニバン系はちょっとなぁ…」というBMW好きには、ピッタリのクルマに仕上がっています。
日本でのラインナップは、大きく分けて3種類。1.5リッターの直3ターボ(136馬力)を積んだFFモデル「sDrive 18i」(385万円〜)、2リッター直4ターボ(192馬力)を搭載する4WDモデル「xDrive 20i」(473万円〜)、同エンジンを231馬力にチューンした「xDrive 25i」(569万円〜)が用意されます。
今回の試乗車は「xDrive 25i xLine」。デビューパッケージ(25万9000円)として、ダコタレザーのシートやウッドトリムなどが奢られ、ゴージャスな雰囲気です。そのほか、ヘッドアップディスプレイ(9万5000円)、メタリックペイント(9万3000円)、そして「BMWコネクテッド・ドライブ・プレミアム」(6万1000円)がオプションで装着され、車両合計価格は619万8000円でした。
では早速、ラゲッジスペースをチェックしてみましょう!
例によって、メジャー片手に実寸します。荷室の最大幅は132cm。奥半分はホイールハウスが内側に張り出すので100cm。奥行き86cm。フロアから荷室カバーまでの高さが45cm。
3シリーズ ツーリングと比較すると、最大幅で8cm、奥半分の幅で3cmほど勝るものの、奥行きが16cm短くなります。X1は、全長が3シリーズ ツーリングより19cm短いので、その差が出たのでしょう。
地面からリアバンパー上辺までの高さが、3シリーズ ツーリングより7cm高い71cmとなるのもマイナスポイントです。
この企画ですっかりお馴染み(!?)になった撮影機材を積んでみましょう。国内線の機内に持ち込み可能なカメラバッグ、3段の脚立、長さ120cmのライトスタンドバッグ、三脚、レフ板セット、ふたつの大型ストロボ、そして、メイクさんが持参するバッグを模したトラベルケースです。
いやあ、ギリギリでした。3シリーズ ツーリングで試した時以上に、積み込みの順序を吟味し、脚立の横桟の間にストロボを入れるというワザを使い、大型のレフ板は少々無理矢理差し込んで、OKとしました。
ラゲッジスペースの細部を確認しようと、いったん機材をすべて降ろします。床下収納を見るために、フロアを持ち上げてみてビックリ! 床面のほぼ全面に、深さ25cmという異例に大きな収納スペースが用意されているではありませんか。大型ストロボを2個入れてもまだまだ余裕あり。これは使えます! 「機材車としてギリギリ合格」との判断は全くの早計でした。
その上、4:2:4の分割可倒式となったリアシートの背もたれは4段階に傾きを変えられ、乗員の居住性とラゲッジスペースの広さとの案配を細かく調整できます。MINIクラブマンの工夫を発展させた感じ。伊達にコンポーネンツを共有していませんね!?
そのほか、リアシートの背もたれをラゲッジスペースからスイッチひとつで倒すこともできますし、コンビニ袋(!?)をひっかけるフックや、12Vの電源ソケットが備わるなど、日常の使いやすさを高める配慮も怠りません。
後方から見て右の側壁にある収納ネットが、左右のステーに沿って簡単に上下できるのも、隠れた工夫。転がりやすいものを載せるのに重宝しますし、一方、長尺物を積む時には、サッとネットを下げて横に置くことができます。
FFベースになって実用性が増した新型X1は、趣味に、仕事にと、活躍しそうです。旧型より“押し出し”が増しただけでなく、意外なワザありSUVでもありました。
<SPECIFICATIONS>
☆xDrive25i xLine
ボディサイズ:L4455×W1820×H1610mm
車重:1660kg
駆動方式:4WD
エンジン:1998cc 直列4気筒 DOHC ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:231馬力/5000回転
最大トルク:35.7kg-m/1250〜4500回転
価格:569万円
(文&写真/ダン・アオキ)
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