【アウディQ7試乗】新装備で狭い路地も苦にしない!街乗りが似合う大型SUV

試乗車にはオプションの“アダプティブエアサスペンションパッケージ”(46万円/アダプティブエアサスペンション+オールホイールステアリング)が装着されていたのでした。

アダプティブエアサスペンションはさておき、オールホイールステアリングとは、後輪もステアする、いわゆる4WSシステムのこと。ホンダの3世代目「プレリュード」に市販量販車として初めて搭載されて以来、さまざまなモデルに採用され、時々話題になっては消えていく技術ではありますが、Q7のそれは、ガチでありがたい機構です。

作動方法は一般的なもので、低速域では前輪と逆位相(反対方向)に切れて小回りを利かせ(最小回転半径が40cmほど小さくなります)、高速域では前輪と同位相(同じ方向)にわずかに動くことで、安定性を向上させます。

Q7は、もちろんアウディ自慢の4輪駆動システム“クワトロ”を備える高級SUVです。とはいえ、オフロードよりオンロード、都市部で使われることが多いクルマでしょう。「Q7を次の愛車に!」と考えている方は、乗り心地+取り回しのアップが見込める、アダプティブエアサスペンションパッケージの装着を考慮した方がいいかもしれません。オススメです。

アウディ Q7

初代Q7のデビューは、2005年のフランクフルトショー。当時は“育ちすぎた「オールロードクワトロ」”といった感想を抱きましたが、その後10年余の月日が経ち、代替わりしたニューQ7を前にすると、アウディのいちモデルとして違和感なく、すっかりこなれた印象を受けます。これまで以上に顔付きがキリッとして、全体にシャープな造形となりました。

プラットフォームも一新され、ボディ構造の見直しと、アルミニウムを多用することで、軽量化を図りました。3リッターモデルで単純比較すると、従来より220kg軽い2080kgになっています(エアサスペンション+3列シート付きは2140kg)。

現代のクルマは、ホワイトボディ(=素のボディ)を軽くしても、先進的かつ贅沢な装備品や、環境・安全対応のコンポーネンツを加えなければいけないので、市販状態での車重、カタログ値を落とすのは、なかなか難しいのです。わずかにボディサイズが小さくなったとはいえ、2世代目Q7は、軽量化を随分頑張ったんじゃないでしょうか。

日本に入るモデルは、2リッターの直4ターボ(252馬力/37.7kg-m)と、3リッターのV6スーパーチャージド(333馬力/44.9kg-m)の2種類。価格は、804万円と929万円です。

アウディ Q7

いずれも5人乗りが基本となりますが、いずれにも「7シーターパッケージ」(35万円)が用意されます。3列目シートに大人が座ると、さすがに膝を折ったちょっと窮屈な姿勢を強いられますが、ヘッドレストを含めしっかりした作りで、短距離の移動には使えそう。子だくさん家族の“クール”なピープルムーバーとして活用してもいいんじゃないでしょうか。

シートアレンジは、国産ミニバンのような“カラクリ感”にこそ欠けますが、必要十分なアレンジが可能。サードシートは電動で畳んだり起こしたりできます。通常は、サードシートの背もたれを倒して荷室にしたり、また、2列目シートを前に跳ね上げて2-3列目シートのスペースをフルフラットにすることもできます。

アウディ Q7

先に触れたアダプティブエアサスペンションパッケージを選択すれば、重い荷物を載せる際、リアの車高を下げられます。ちなみに、アダプティブエアサスペンションとは、各輪のサスペンションを電子制御し、硬軟を瞬時に変えられるもの。デフォルトの「オート」のままでまず不満は出ませんが“Audi ドライブセレクト”を呼び出せば、状況に合わせた走行モードを選べます。

アウディ Q7

エアサスペンションを備えた3リッターV6モデルのドライブフィールは、ガッシリしたボディと、穏やかな足まわりのコンビネーションが印象的で、安心感高く、快適そのもの。ステアリングも程良くシャープで、かつての“クロカン4駆”というよりは、いかにも“背の高いワゴン”を運転している感覚で、良くも悪くも、オンロードで乗りたいクルマです。

アウディ Q7

左手をトンネルコンソールに伸ばせば、タッチセンサー付きコントロールパネルを持つ“MMIナビゲーションプラス”を操作でき、一方、目の前、メーターナセル内の12.3インチディスプレイには、スピード&タコメーターに加え、ナビゲーションの地図なども表示されます。

アウディ Q7

新型Q7に乗ると、近未来のドライブ体験が待っている…、スイマセン、あまりに陳腐で恐縮ですが、そんなキャッチコピーが浮かぶ“Audiバーチャルコクピット”(2リッターモデルはオプション)です。

汗臭くない大型SUVが欲しい方、はたまた、生活感を消したピープルムーバーを求める向きに、Q7はピッタリ。ただし、街中で冷や汗をかかないために、オールホイールステアリングは必須ですよ!

アウディ Q7

<SPECIFICATIONS>
☆3.0 TFSIクワトロ
ボディサイズ:L5070×W1970×H1705mm
車重:2140kg(エアサスペンション装着車)
駆動方式:4WD
エンジン:2994cc V型6気筒 DOHC+スーパーチャージャー
トランスミッション:8AT
最高出力:333馬力/5500〜6500回転
最大トルク:44.9kg-m/2900〜5300回転
価格:929万円

(文&写真/ダン・アオキ)

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