「ソルテラ」はスバルらしいクルマになっているのか? はじめて触れるソルテラの、何より注目したい部分はそこだ。
ソルテラとは、スバル初となる専用の車体設計で作られた市販EV(電気自動車)のこと。この夏ともいわれている市販を前にプロタイプ(試作車)に試乗する機会を得たのだが、まず驚いたのはその試乗ステージ。なんと、スバルは雪が降り積もったコースを選んだのである。今回は、そんなソルテラの「スバルらしさ」に焦点を当てて、キャラクターに迫っていこう。
■スバル“らしさ”はどこにあるのか
なぜ「スバルらしさ」を気にするのか? スバルのクルマなんだからスバルらしくて当然じゃないか?
そう思う人もいるかもしれない。しかし、あえてスバルらしさを探したくなるのは理由がある。それは、ソルテラはトヨタとの共同開発車であり、トヨタ版として「bZ4X」という兄弟が存在するからだ。そんな兄弟がいるからこそ、スバル車はやっぱりスバルらしくあってほしいと思うのは、筆者だけではないだろう。
ところで、スバルらしさの前提としてまず驚いたのが、クルマの開発手法だ。通常、複数のメーカーをまたいで基本設計を共通するモデルはどちらかの会社が開発を担い、それをアレンジして別メーカーの車種として展開するのが一般的だ。たとえばトヨタの中でも人気車種となっている小型SUVの「ライズ」やコンパクトハイトミニバンの「ルーミー」はそれぞれダイハツ仕様(「ロッキー」&「トール」)が存在し、開発はダイハツが担当。トヨタ仕様は、それをベースに一部のデザインなどを変更するのみに留まる。
しかしソルテラとトヨタ版であるbZ4Xの開発はどちらかのメーカーが専任でおこなうのではなく、トヨタ内にトヨタのスタッフとスバルのスタッフが集められて会社の垣根を超えたプロジェクトして開発したのだという。それは共同開発の新しいスタイルにほかならないし、関わるエンジニアの比率はスバルとトヨタでほぼ半分ずつだったそうだ。
ある意味、ソルテラとbZ4Xはスバルとトヨタの両社の技術と知見が込められたクルマといえるだろう。総合安全性能や走行性能などはスバルの得意領域、いっぽうで環境性能、快適性、内外装の質感、コネクテッド機能などの先進領域はトヨタの知見が多く活用されいている。だから、よくあるメーカーをまたいだ兄弟車とはちょっと…いやかなり違う。それを知れば、ソルテラに関して「ただのバッジエンジニアリングでは…?」なんて誤解することはなく、商品を正当に判断できるはずだ。
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