スバル車といえば、質実剛健で4WDシステムの走破力の高さはお墨付きですが、「でも、少々野暮ったいんだよねぇ」と評されるのがこれまでの常でした(失礼!)。
スバルもその点は重々承知。実直に改善に努めていて、XVハイブリッドやレヴォーグに加え、「フォレスター」、「XV」、そして「クロスオーバー7」と、最近のラインナップは随分スマートになったのではないでしょうか(上から目線でスイマセン)。
そして、XVハイブリッド tSコンセプトは、いわば生真面目なスバル車を、目いっぱい“ハジけさせた”モデルです。
STIのイメージカラーといえば、ご存知“チェリーピンク”。しかしこのクルマでは、トレンドカラーであるオレンジを使い“ポップ&カジュアル”な路線を追求しています。いわゆるコアなスバルファンではなく、より一般的なユーザーにアピールしたい…。そんなSTIの思いをカタチにしたコンプリートカーなのです。
もちろん、内外の挿し色に凝っただけでなく、フロントスポイラーとサイドスカート、ルーフエンドスポイラーには専用品がおごられ、STI自慢のボディ補強パーツ「フレキシブルタワーバー」「フレキシブルロードスティフナー」も装着されます。ダンパーを中心に、アシまわりのセッティングも見直されました。
ステアリングホイールを握って走ってみると、なるほど、STIが手掛けたクルマらしく、フラットで締まった乗り心地。モデルの特性を考慮して車高は変わっていないので、高めの視点はそのままに、コーナリング時のロールが抑えられています。ちょっと大袈裟ないい方をすると“背の高いミズスマシ”のよう。
全く個人的な嗜好なのですが、XVとXVハイブリッドは、キュッキュと向きを変えてすばしっこく走るより、“シャコタカ”ワゴンらしく、やんわりとロールする方が“らしい”気がします。スバルの中に、のんびり走るクルマがあってもいいんじゃないでしょうか。STIモデルにして「オリジナルより“レス”スポーティなセッティングにしたら…」なんて、ありえませんね。
いよいよ次世代モデルの声も聞こえてきたXVとXVハイブリッド。もしかしたら、異色の“tS”が、同モデルのラストを飾ることになるのかもしれません。
もう1台の試乗車は、レヴォーグの「1.6GT-S EyeSight」をベースにしたチューンドバージョン。
サスペンションはノーマルのまま、STI謹製の19インチホイールを履かせ、前後左右にSTIのエアロパーツを装着しています。
リアに回れば、STIの文字が入ったマフラーエンドが、さりげなく“チューンド”レヴォーグであることをアピール。STIエグゾーストキットを組み込むことで、背圧は約40%低減されるといいます。
また、キャタライザー、メインマフラーなどを含め、3.5kgの軽量化も果たすのだとか。心地良い排気音に加え、ターボエンジンのスロットルを開けた時にトルクの立ち上がりが良くなるのがうれしいポイントです。
「フレキシブルタワーバー」「フレキシブルロードスティフナー」といった、ボディ補強パーツも装着されます。これらは、ボディを単純に硬めるのではなく、柔軟性を維持しつつ、必要な時に有効に働いてくれる優れモノ。今回新たに、リアのサブフレームの剛性をコントロールする「フレキシブルサポート」が開発されました。
いずれも、いかにもスバル車向けらしい、いぶし銀のチューニングパーツです。ご自分の愛車に少しずつ導入して、都度、その効果を実感する…。そんな楽しみ方って、いかにもスバリストっぽいですよね!?
(文&写真/ダン・アオキ)
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