日本初の無人自動運転バスはフランス車だった!

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DeNAがフランスのフランスのEasyMile S.A.と業務提携し、まずは8月からイオン幕張新都心(千葉市)の前にある豊砂公園で運行開始する、無人運転バスを利用した交通システム「Robot Shuttle(ロボットシャトル)」。

それに先立ち、ロボットシャトルで使用されるEasyMile製「EZ10」に試乗しました。

この「EZ10」、あらかじめ入力された地図データとルートを元に、カメラ、各種センサー、GPSを用いて自車位置を測定しながら自動走行します。ルート上に障害物を検知した場合は、自動的に減速・停車して危険回避します。

試乗では10km/hまでの走行でしたが、運転手もレールもないバスは初体験。走行システムを理解していても、子どものように「すごーい! すごーい!」と連呼しながらカメラのシャッターを押していました。

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既存のバスを自動運転に改造したのではなく、独自の車体を採用。他にはないデザインは「自動運転のクルマだ」と周りに知らせる意味でも有効です

 

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当たり前ですが、運転席がない! 最大12人乗りで、3人掛けのシートが2つ、対面で設置されています。天井も高く、立っていても閉塞感は感じません。観光地にあるゴンドラのような印象

 

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唯一残念だったのが、床面が高いこと。車いす用の可動式スロープを装着していますが、足の不自由なお年寄りや子どもには乗り降りしにくいかも…

 

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短い乗車時間を想定してるため、シートはベンチのように硬く簡易的。万が一車内に閉じ込められたら、柱に取り付けられた赤いハンマーで側面の窓を割り、脱出できます

 

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天井と窓付近にモニターが設置されています。電車内のモニターと同じく走行ルートと、現在どの辺りを走っているのか分かります

 

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ドアの横には、開閉ボタンに加えて赤いSOSボタンを配置しています。未知なる乗り物でも、緊急の際の装置が分かりやすく目の付く所にあると安心感は高まります

 

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モーターによる走行音はほぼ皆無。ショックもなくスーっと過減速します。さらに4輪が操舵する(4WS)ため、最小回転半径は4.5mと小回りが効きます

 

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車体の四隅に、障害物を検知するセンサーを配置し衝突や巻き込みを防ぎます。ちなみにタイヤはミシュラン製で、サイズはコンパクトカーなみの185/65R15です

 

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前方、後方とも同じデザインで、電車のように折り返し運転もできます。ブレーキランプやウインカーランプに加えて、運行状況を知らせるランプも装着しています

 

まずは決められたルートを20km/h以下で

実は、自動運転技術はすでに多くの大手自動車メーカーで確立しています。しかし「絶対に事故を起こさない」と言えるくらい自信を持てないと、メーカーとして販売できません。ある自動車メーカーの開発者は「予想できる千通り以上の危険な道路状況を再現し、そこを自動運転で安全に走行できるか実験を繰り返さなければならない」と話していました。

「EZ10」を利用したロボットシャトルは、決められたルートのみを20km/h以下の低速で走るため、実証実験も少なく早期に実現できるんですね。

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また、公道での自動運転は法律で制限されていますが、国家戦略特区の私有地内の運行のためクリアできています。

ロボットシャトルは今後、各地のショッピングモールなどに導入される予定ですが、まずは8月から豊砂公園内にて運行が開始されます。夏休みに、未来の乗り物を体験してはいかがでしょう。

ちなみにこのバス、実際の製造はフランスのマイクロカーメーカー、リジェが担っています。この名前、聞き覚えがある人は往年のF1ファンですね。そう、1970~90年代にF1に参戦していたあのリジェです。現在は、ピアッジオ傘下で超小型車の製造を行っています。これを聞くと、ますます乗りたくなったりしませんか?

EasyMile「EZ10」
車両サイズ:全長3928×全幅1986×全高2750mm
車両重量:2750kg
最高速度:40km/h
http://dena.com/jp/

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やまぐちきよのり/エディター・ライター

(取材・文/山口清憲)
1978年生まれ。大学工学部卒業後、自動車専門誌の編集部勤務を経て2010年に独立。主に乗りものやメカニズム系のジャンルを得意としている

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