本来であれば3個のツールが必要なところを2個で済ませられるという点では、トングが主役といってもいいかと思います。BBQではトングは欠かせないツールではありますが、肉や魚介だけでなく、野菜にフルーツ、そして米や麺も扱う場合、トングだけでは不便に思えるシーンがあるハズです。
総合的にスマートな流れでグリルやコンロの前でその腕を振るうならばフォークやターナーもまた必須のアイテムといえるでしょう。
グリップ部分は木製です。熱が伝わり難く持ちやすい。ちょうど良い加減の幅で握りやすく力が入れやすいと感じました。
ツールを収納するナイロン製のケースにはベルトループがあり、ベルトやエプロンにぶら下げられます。調理器具であるなら、その他の食器類と一緒にケースに入れればいいわけですが、あえてナイロンケースが付属している点が「ただの調理器具」ではないと自己主張しています。つまり、調理する人が身に着け、焼き場をコントロールする者だけが身に着けることが出来る「装備」であると感じました。
ケースに入った状態ではフォークとターナーは重なり合うように合体しています。これを分解するには、ターナー側の側面にある黒いロックボタンを押しながら上下にスライドさせる必要があります。
柄は木製でおしゃれな感じ。展開したフォークとターナーは全長約29cm。充分な長さを確保できます。展開したツールにロック機能はありませんが、使用上大きな問題があるとも思えません。展開部のカナメはしっかりとしています。
そして最大の肝であるトングへの変形は、ふたつのツールの内側にある凸部と凹部を合わせて下にスライドさせると合体します。つまり、最初に収納されていた時に合体していた部分が反転しただけです。
フォーク側の基部にバネが内蔵されていてそのテンションでトングとして使用できる仕組みです。一般的なバーベキュー用のトングに比べてはるかに幅広であるのが特徴で、重い肉も持ち上げやすく、場合によってはフォークで刺して肉を固定し、ナイフで切り分けることも容易です。豪快に分厚いステーキ肉を焼くのであれば、このトングは確実に役立ちます。
肉が終わったら次は焼きそばだ!となるかは分かりませんが、再び分離してフォークとターナーを使って別の調理に移れます。この一連の合体と分離のギミックこそがユーザーをその気にさせてくれるのです。鉄板の上を踊るように食材が調理されて行く様子に友達も家族も目を輝かせることでしょう。
調理が一段落したらターナーに付いている栓抜きでビールやコーラをプシュッと開けて瓶のまま煽る。「最高の休日だ」と感じる訳です。
* * *
このツールは、BBQをやりたいなと思わせてくれるアイテムです。もちろん、収納性や携帯性など実用面もあります。自転車やバイクなどでのキャンプツーリングを考えている方であれば、確実に軽量化、省スペース化に寄与します。
このツールの核心は、焼き場に立って額に汗しながらも家族や友人のためにひたすら焼く人に気持ちよく、そしてかっこく作業してもらうためのツールなのです。この夏、バーベキューでその腕を振るいたい人におススメのマルチツールです。
<取材・文/GOL>
GOL|歯科技工士、ECディレクター、webライターまで幅広く活動しております。指先に伝わるハンドツールの質感や重さ、音などアナログな部分に惹かれて今に至ります。一番好きなのは懐中電灯。
【関連記事】
◆ギア好きに刺さる財布!マルチツールの機能を備えた「DANGO WALLET」
◆抜群の切れ味と耐久性!折り畳めるハサミ型マルチツール、レザーマン「ラプター レスポンス」
◆斧だけどコンパクトでしかもマルチツール!? STILVOLLE TOOLS「AXE9」
- 1
- 2