■ロッドの命“ブランク”を選ぶ
ロッドはシャフト部分の「ブランク(ブランクス)」と、ラインを通す「ガイド」、そしてリールを取り付ける「リールシート」と握りの「グリップ」で構成されますが、まずはロッドの性能を決定づけるブランク選びが肝心。
今回は、東京・葛飾にあるブランクメーカー・リチャーズが手掛ける「SUZUKI Blanks RXFS-5LB-652」を選択しました。
40年以上の歴史を持つリチャーズは、世界中の釣具メーカーのOEMを手掛ける釣り竿の老舗ブランド。東京の下町にロッドブランドがあるなんて驚きです。早く組み立ててブランクのポテンシャルを味わいたくなります。
■パーツはロッドビルド専門店で揃えよう
パーツ選びでお世話になったのが、東京・日本橋にある「サバロ」。日本人で初めてIGFA(国際ゲームフィッシュ協会)が認定する世界記録を樹立した、丸橋英三さんが創業したショップです。
様々な種類のロッドがあるだけに、部品も多種多様。ロッドビルドに特化した専門店まであるなんて、さすが“趣味の王様”ともいわれる釣りですよね。
今回はアジングロッドに最適という、富士工業のトルザイトガイドとリールシート、バットエンド(竿の後端につける部品)等を購入しました。
■設計は既存のロッドを参考に
自作ロッドの魅力は、グリップやガイドの位置をアレンジして自分好みのアクションが生み出せること。とはいえ、初心者がいきなり設計するのは厳しいですよね。なので、まずは手元にあるロッドや人気モデルを参考にするのがベターです。
■竿の背骨“スパイン”を探す
リールシートやガイドを取り付ける際に重要なのが、英語で背骨を意味する“スパイン”。ブランクはシート状のカーボンファイバーを巻いて製造するため、シートの端の部分が背骨のように硬くなります。ガイドを乗せる面はスパインを考慮する必要があるので、まずはスパインを探し出します。
ブランクの後端を机などに押し付け、先端と中央に手を添えながら転がすと、硬い部分とそうでない部分がわかります。この硬い部分がスパインで、スピニングロッドの場合は「スパインの反対面にガイドを乗せる」のが一般的です。
実はこのスパイン、ロッドビルダーの間でも議論の的で、“ガイドをスパインに乗せるか否か”は、識者の間でも意見が分かれていますので、最初はあまり深く考えないでOKです。
■リールシートを接着する
リールシートの内径はブランクよりも太いので、タコ糸と瞬間接着剤を使用して差を埋めます。
リールシートの接着は、主剤と硬化剤を混ぜて使用するエポキシ系接着剤を使用します。
エポキシ系接着剤の硬化時間には5~90分と幅があり、硬化時間が長いタイプほど強度があるといわれています。自分は90分硬化型を使用していますが、それほどこだわる必要はないようです。
■ガイドを取り付ける
ブランクの先端にトップガイド(先端のガイド)をつけます。ここでもエポキシ接着剤を使いますが、短時間の固定で済む5分硬化型の方が便利です。
リールシートとトップガイドの接着剤が硬化したら、いよいよガイドを取り付けます。ガイドの間隔を決めるのは初心者には難しいので、ガイドメーカー・富士工業のカタログに掲載されている数値をそのまま採用するのも手です。
ガイドには下ごしらえが必要で、ブランクに乗せた際に段差ができないよう、エッジの角張った部分をサンドペーパー等で軽く落としてあげます。
ガイドを設計通りの位置に、細めのマスキングテープで仮固定します。写真ではわかりやすいよう、大きなガイドと太いタコ糸を使って説明します。
ガイドのロッド先端側にスレッドをマスキングテープで留め、ブランクをクルクル回し、ガイドを通り越すように巻きおろします。
巻き始めの位置まで来たらスレッドを交差させます。ガイドは後ほどするコーティングでしっかり固定できるので、スレッドを巻くときには軽くテンションを掛ける程度で、ぎゅうぎゅうに巻きつける必要はありません。
交差したスレッドを4回転ほど巻き込んだら、余分なスレッドをギリギリの位置でカット。
再びスレッドを巻き進めます。できるだけ隙間ができないようにするのがコツです。
巻き終わりまで5mmほどきたら、輪にした糸をガイドの裏側の位置で巻き込み、終点まで巻き上げます。
スレッドが緩まないよう注意しながら、抜糸の輪にスレッドを通し、抜糸をゆっくり抜いていきます。
抜糸がスレッドの下に少し潜り込んだら飛び出たスレッドを切り、そのまま抜糸を引き抜きます。
爪の先やプラスチックの定規などで糸目を軽くこすって整えればOK。すべてのガイドを巻き終えたら、設計通りの位置で一直線に並んでいるか確認します。もし曲がっているようなら、ゆっくりガイドを動かして位置を調整しますが、それほど神経質にならないでも大丈夫です。