■ただの防水布バッグじゃありません
サヴォッタの「ウォーターバッグ」は、パッと見エコバッグ。口部分はギャザーというか、ほぼ均等にたたんで縫い付けられていて、なんだかオシャレです。
素材はサヴォッタのレインカバーやポンチョと同じ、ポリウレタンコーティングを施したポリアミド。縦と横に太い糸を織り込んでいるリップストップ生地で、ちょっとくらい引っかけても穴はあきそうにありません。長時間水を入れていると表面がじんわり濡れますが、水が漏れる感じではありません。
エコバッグ並みにしなやかで、丸めてポケットに突っ込んでおけるほどコンパクトに持ち運べます。
口の部分は、ほぼ均等にたたまれて縫い付けられています。これが美しい。縫い目の乱れもありません。
ただ気になるのは、ハンドルは×型に縫い付けられているものの、本体の縫い目は1本。ふにゃっとした素材とともに縫い目が1本なのは、ちょっと頼りなく感じます。
ところが、水を汲むとこの通り! フタや蛇口なんてものはありませんが、きれいに丸く広がって水を蓄えます。
容量は12Lなので、満タンにすると10kg以上にもなるんですが、縫い目もハンドルもまったく不安はありません。
蛇口がないと不便に思えますが、バケツみたいに口からシェラカップを突っ込んで汲むことができるし、吊した「ウォーターバッグ」の底をつまみあげて注ぐなんてことも可能です。
要はバケツといっしょでしょ? なんて思いますが、そんな単純なものではありません。
バケツは縁の形が変わることがないので、水量のコントロールをしにくいのですが、「ウォーターバッグ」はそっと底を持ち上げれば口が細くなって少量の水を注げるし、ガバッと大胆に傾けると一気にたくさんの水を注げます。
■地面に置いてもこぼれません
ふにゃっとした「ウォーターバッグ」ですから、吊せないと使えないんじゃないの?と思ってしまうわけですが、これ、地面に置いてもいいんです。
トライポッドからおろして、そっと地面に置いたら、このとおり。
たとえば水をためたレジ袋を地面に置くと、あっという間に水が流れ出てしまうのですが、「ウォーターバッグ」は口がしっかり立ち上がり、ダムのように水をせき止めています。単純な構造ですがスゴイ!
何度か使っていたところ、口の一部が折れているのに気づかず地面に置いたら、折れ目部分の堤防が水面と同じ高さになって、そこから水が流れ出てしまいました。地面に置く前にチェックすることをオススメします。
サヴォッタの母国・フィンランドは、国土の75%が森林で、18万8000もの湖がある森と湖の国。人々はテントを持って自由に森に入り、休日を過ごしています。
そんなお国柄ですから、この「ウォーターバッグ」は湖に身を乗り出し、水を汲むために作られました。何度も汲み直すのではなく、一度で多くの水を汲めるよう、この大容量なのでしょう。半分しか水が入らなくても5Lは汲めるんですから。
ちなみに水道の水を汲む場合、つい、めいっぱい水をいれて運ぼうと張り切っちゃうわけですが、一度に10kg以上の水を運ぶのはかなり重い! 少なめに汲んで運ぶのが現実的。
とはいえ小容量だと、だらーんと細長くなって見た目がちょっとかっこ悪い。3Lや5Lくらいのものがあればいいのですが。
使用後の陰干しは、表と裏をきれいにひっくり返して。素早く隅々まで乾燥できるとストレスがありません。
「ウォーターバッグ」に野菜をいれて持ちかえるなんてとき、万一、土や葉っぱが落ちても、隅々まで洗って確認できる。これがいいんです。
* * *
ハードタイプのバケツやジャグとは違い、火の粉にめっぽう弱いのは、ほかのペラペラジャグと同じ。それに加えて「ウォーターバッグ」はフタがないのでゴミが入りやすいし、水を入れると重く、肩に掛けられないので、長距離を持ち歩くのは不向きです。保冷性もありません。
デメリットはありますが、バックパックに入れても邪魔になりませんし、おいそれと壊れることもなく長い付き合いとなりそう。
なによりも、水をためた「ウォーターバッグ」はぷにぷに・ぽよぽよしていて癒やし度大。質実剛健を身上とするサヴォッタですが、笑顔がかわいいワッペン「ハッピーパッチ」という癒やしアイテムをラインナップしています。「ウォーターバッグ」に「ハッピーパッチ」を付けられれば…そう願わずにいられないキュートさもたまらないのです。
<取材・文/大森弘恵>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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