主力車種である「ゴルフ」にPHEVの「GTE」を導入し、話題になったフォルクスワーゲンが、今度はフラッグシップモデルである「パサート」のセダンとヴァリアント(ステーションワゴン)に「GTE」を設定してきました。
搭載するシステムは、基本的にゴルフ GTEと同じもの。1.4リッターのTSIターボ(156馬力/25.5kg-m)とギヤボックス(デュアルクラッチを備えた6速DSG)の間に、モーター(116馬力/33.6kg-m)が組み込まれます。
電力を供給するバッテリーはリチウムイオンで、リアタイヤ前方の床下に設置。バッテリー容量は9.9kWnで、これもゴルフ GTEと同じ数値です。充電時間は約4時間。
パサート GTEは、セダンが1720kg、ワゴンが1770kgと、ゴルフ GTEの1580kgより重いこともあってか、純粋にEVとして走れる距離のカタログ値は、ゴルフの53.1kmから51.7kmへとちょっぴりダウンしました。とはいえ、近所の買い物や、子供の送り迎えに使うくらいなら、全く十分! 日常で、ガソリンスタンドに立ち寄る回数が激減するメリットも、はかりしれません。
走行モードは4種類。蓄えた電気だけで走る「Eモード」、エンジンと協調する「HVモード」、ハイブリッドシステムのモーターを、いわば電気ターボとして1.4リッターエンジンのアウトプットに上乗せする「GTEモード」、そして、バッテリーへのチャージを優先する「バッテリーチャージモード」が用意されます。
個人的には、バッテリー残量を気にしないでEV走行を堪能できるEモード(デフォルトです)こそ、GTEモデルの醍醐味だと思いますが、フォルクスワーゲン自慢のGTEモードも捨てがたい。
エンジンとモーターを併せると「ゴルフ R」を上まわる駆動力を発生。わずか7.4秒で停止状態から100km/hに達するとか! 高速道路に入る、料金所からのダッシュで重宝…するかもしれませんが、まあ「やるときゃ、やるぜ」と心に秘めて、普段はEまたはHVモードでいいかもしれません。
高速道路といえば、パサート GTEには“コースティング機能”が備わります。高速巡航で負荷が減ると、エンジンとモーターを切り離し、フリクションロスを減らす仕組みです。いかにもヨーロッパ生まれらしい工夫です(Eモードでアクセルペダルを離すと、回生機能が働きます)。
また、なんとなく「エコ=おとなしい」イメージが強いハイブリッドシステムですが、パサートのそれはむしろ、いきなり最大トルクを発生する“モーターゆえの出足の良さ”を実感できる、力強い走りが印象的。1.4リッターターボだけでも、意外なほど高い動力性能を示すパサートですから、モーターがアドオンされたGTEの活発さは、容易に想像がつきます。
先進の動力システムに加え、フラッグシップらしく、安全装備も充実しています。車間距離を保ちつつ前車に追従するクルーズコントロール、自動で“ストップ&ゴー”をしてくれる、渋滞時にありがたい“トラフィックアシスト”、車線逸脱や、死角からの他車を警告するシステムも標準で装備されます。
価格は、パサート GTEが519万9000円、パサート ヴァリアント GTEが539万9000円。それぞれ、レザー内装がおごられ、ヘッドアップディスプレイやアラウンドビューカメラなどを備え、18インチホイールを履いたadvance仕様も用意されます。その場合、セダンが579万9000円、ワゴンが599万9000円となります。
☆GTE
ボディサイズ:L4785×W1830×H1470mm
車重:1720kg
駆動方式:FF
エンジン:1394cc 直列4気筒 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6速AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:156馬力/5000〜6000回転
最大トルク:25.5kg-m/1500〜3500回転
モーター出力:116馬力
モータートルク:33.6kg-m
価格:519万9000円
☆ヴァリアント GTE
ボディサイズ:L4775×W1830×H1510mm
車重:1770kg
駆動方式:FF
エンジン:1394cc 直列4気筒 DOHC 16バルブ ターボ
トランスミッション:6速AT(デュアルクラッチ式)
最高出力:156馬力/5000〜6000回転
最大トルク:25.5kg-m/1500〜3500回転
モーター出力:116馬力
モータートルク:33.6kg-m
価格:539万9000円
(文&写真/ダン・アオキ)
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