いまやポルシェでさえ、収益の多くをSUVに頼る時代。なので、4ドアのスポーツサルーンを得意とするジャガーがパフォーマンスSUVをリリースしても、驚くには当たらないかもしれません。
2016年6月13日、ジャガー初のSUVである「F-PACE(エフ・ペース)」の日本でのデリバリーが始まりました。
ネーミングの由来は、創始者であるサー・ウィリアム・ライオンズが掲げたジャガーブランド創設時の理念「Grace Pace and Space」という言葉から。要するに、ジャガーのクルマは優雅で、速くて、広くなければならない、ということです。
いまや押しも押されもせぬプレミアムブランドとなったジャガーですが、歴史をひも解けば、当初は「ほどほどの性能のシャーシに」「カッコいいボディを載せ」「リーズナブルなプライスで売る」という手堅い商売でのし上がってきました。
もし今もライオンズ卿がご存命なら「ジャガーからSUVを出すのか!?」ではなく、「SUVを出すのが遅すぎる!」と、ご立腹されるかもしれません。
F-PACEの属するプレミアム・ミッドサイズSUVの市場は、なかなかの個性派ぞろい。BMW「X4」にアウディ「Q5」、メルセデス・ベンツ「GLCクーペ」、そして、ポルシェ「マカン」と強豪がひしめいています。
そこに殴り込みをかけるF-PACEの“ウリ”は? スバリ「実用性の高さ」でしょう。
“ちょっと外した”スタンスを採るライバルたちと比較して、やはりある種“オルタナティブ”の仮面を被りつつ、しかし、2875mmという長いホイールベースを活かした“Pace”ならぬ“Spacy”な室内がジマン。特にリアシートの広さは、ライバルを圧倒する、はず。そしてラゲッジスペースは、508リッターの容量を誇ります。
といっても、ただ使いやすいだけのクルマ、と思われたら困ります。そこで、ジャガーがF-PACEのために掲げたフレーズが、なかなか振るっているのです。「究極の実用的スポーツカー」…。うまいこというもんです。
ライオンズ卿の言葉、Pace and Spaceは備えている、と。では、Graceはどうか? それはぜひ、ご自身でご判断ください。
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