【F-PACE 試乗】ジャガー初のSUV上陸!軽快な走りはスポーツカー顔負け

ただし、次に乗ったディーゼルモデル、20d Prestige(663万円)では、時にジャガーらしからぬ、路面からの突き上げを感じることがありました。特にリアシートに座っていると、“生な”振動を感じることも。

ジャガー F-PACE 20d Prestige

個体差やタイヤサイズの違いもあるでしょうが、おそらく、35t R-Sportには付いていたアクティブサスペンション“アダプティブダイナミクス”(20万5000円のオプション)の有無が大きかったのでは、と推測します。

これは、走行中のホイールやボディの位置を常時モニターし、ダンピングをコントロールするシステム。車両の挙動を1秒間に最大500回モニタリングし、その上で、運転者のドライビングスタイルに合わせて足の硬さを瞬時に調整してくれるのです。35t R-Sportで感心させられたまろやかな乗り味の“ヒ・ミ・ツ”ですね。F-PACEジマンのリアシートに人を乗せる機会が多い、と予想される方は、購入時にぜひ検討いただきたいオプション装備です。

そして、もう一点だけ粗探しをさせていただけるならば、静止状態からの全力加速時に、ディーゼル版のF-PACEは最初の一瞬、少しばかりドライバーをやきもきさせます。

2リッターの“インジニウム”ディーゼルターボは、わずか1750回転で最大トルクの43.9kg-mを発生する優れたエンジンですが、それでもターボがきっちり働き始めるまでは、2リッターの排気量で2トン弱のボディを動かさなければなりません。意地悪く観察してみると、タコメーターの針が元気よく回り始めるまでは少々元気が足りない、と感じることがあります。

ジャガー F-PACE 20d Prestige

といっても、普通にドライブしている限り、非力さを感じることはまずないでしょう。むしろ、2000回転を超えて過給機が本領を発揮し始めると、2リッターとは信じがたい力強さで、ミッドサイズのSUVをスイスイと走らせます。例えば、高速道路を長距離移動するようなシチュエーションでは、ドライバーを疲れさせることなく、快適に目的地へと誘ってくれるはずです。

ジャガー F-PACE 20d Prestige

“究極の実用的スポーツカー”を謳うジャガー初のSUVですが、そのフレーズにこだわりすぎたようです。ジャガー初のプレミアムSUVは、どちらかというと、“実用的スポーツカー”というより、“スポーティなSUV”といった方がいいのではないでしょうか。あまりに当たり前な結論に、我ながらビックリしてますが…。

およそ600万円から1100万円までという広い価格帯をカバーする、SUV界のニューカマー。ジャガーの個性派SUVが市場でどのように受け入れられるのか? とても興味あるところです。

ジャガー F-PACE 35t R-Sport

<SPECIFICATIONS>
☆35t R-SPORT
ボディサイズ:L4740×W1935×H1665mm
車重:1980kg
駆動方式:4WD
エンジン:2994cc V型6気筒DOHC+スーパーチャージャー
トランスミッション:8AT
最高出力:340馬力/6500回転
最大トルク:45.9k-m/3500回転
価格:849万円

☆20d Prestige
ボディサイズ:L4740×W1935×H1665mm
車重:1920kg
駆動方式:4WD
エンジン:1999cc 直列4気筒DOHCディーゼル+ターボ
トランスミッション:8AT
最高出力:180馬力/4000回転
最大トルク:43.9kg-m/1750〜2500回転
価格:663万円

(文&写真/ダン・アオキ)

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