■兵庫県の地場産業がコラボしたお香
マッチ箱のような入れ物に入っていて、スリーブ内側のケースを少し引き出すと、マッチの頭薬(火をつける部分)が現れます。中身までマッチそのものですが、それもそのはず。「hibi 10MINUTES AROMA」は兵庫県の老舗マッチ会社・神戸マッチが考案したものなのです。
今の時代はマッチが売れないからと、同じく兵庫県の地場産業であるお香会社・大発とコラボして、3年かけてマッチ要素を残したお香を生み出したのだそう。
バックボーンを知ると、より愛しく思える商品がありますが、hibiもその1つ。試行錯誤した開発背景やマッチとお香のエキスパートが生み出したアイテムだと知って、より魅力を感じるようになりました。
お香とマットのケースは別々になっていて、それぞれロゴが入った外側のスリーブを外すと、内側のケースに入った中身がでてきます。
お香は計8本。波状になっている段ボール素材の敷物の溝に1本ずつ納まっているので、箱の中でぶつかり合って折れる心配がありません。
使い方は簡単。マットが入ったケースのスリーブを外して、そのまま不燃性マットの上に、火をつけたお香を置くだけ。
マットケースは断熱性があるので、そのままテーブルに置いたり、少し移動させるために手に乗せたりしてもOK。ケース裏の熱さは、紙コップに入ったコンビニのホットコーヒーをスリーブなしで持ったとき程度です。
そのままテーブルに置いてOKとはいっても、それなりに熱くなるので、念のためマットが入ったケースは、そのケースのスリーブに載せて使っています。丁寧な印象になるし、少し回転させて載せれば、下のスリーブの青色がチラッと見えてアクセントにもなるんです。
もっと見た目にこだわりたい場合は、お気に入りの小さい耐熱皿に乗せてもよさそう。
画期的なのが、マッチと同じように着火できること。お香が入っているケースのスリーブに付属する側薬(こする部分)にお香をこすって摩擦を起こし、マッチのように点火させられるので、着火する道具が不要なんです。
こする動作が楽しいし、こすった瞬間のシュッという音、火がついた瞬間のシュボッという音も魅力。
マッチは久しく使っていなかったので、うまく火がつくか少し心配でしたが、初回は案外すんなりと着火しました。でも、2本目以降は、なかなか点火しなかったり、こすった際に折れてしまったりもしたので、やっぱりコツが必要です。
先端の頭薬以外はお香になっており、火は約20秒かけてお香部分に移動すると、自然と消えます。なんだか線香花火のようでテンションが上がりました。
ケースはそれぞれH57×W56×D9mm。コンパクトなので、セットで持ち運んでも、かさばりません。
携帯しやすく、これ1つあれば、いつでもどこでも使えるので、出先や旅先でも活躍。自然豊かな場所で使えば、なんとも心が落ち着きます。
外で使う場合は、灰やお香、香りが吹き飛ばされないように、風が強くない日を選ぶと安心です。
実際に外に持ち出してみて、意外な利便性にも気付きました。使用後の灰や燃え残りを捨てる場所がなくても、火がしっかりと消えたのを確認すれば、そのまま箱に入れて持ち帰れるのです! これは想定していなかったので、便利で少し感動しました。
deepシリーズの香りは大人向けで、Oak moss(オークモス)、Cedar wood(シダーウッド)、Ambergris(アンバー)の3種類をラインナップ。それぞれ頭薬の色が異なり、もし他の香りのものと交ざってしまっても見分けられます。
Oak moss(オークモス)は苔の香りですが、リネンのような、なんともいえない優しい香り。Cedar wood(シダーウッド)は杉林の香りで、ちょっと分かりにくいですが、海外の歴史的な図書館のような、ずっしりとした香りです。Ambergris(アンバー)はオリエンタルで甘い香りがします。
買うのは1つにしようと思っていたのに、どれもいい香りで選びきれず、全て買ってしまいました。
■気分に合わせて使い分けられる
せっかく香りがそろっている上に、10分間で使い切れて、さまざまな香りを楽しみたいときにぴったり! ということで、1日中家にいて抑揚がなくなりがちなテレワークの日に、3つの香りを使い分けてみました!
■【6:30a.m.】朝は優しい香りでスタート
寝起きに選んだのはオークモス。全て好きな香りで、どれにしようか迷いましたが、柔らかい香りをチョイス。穏やかに1日をスタートできました。
お香は実質13分程持ち、7畳ほどの部屋だと、窓を開けなければ半日程は香りが残る印象。朝の換気後は、窓を閉めてエアコンを付けるので、午前中はしばらく香りを楽しめました。お香をたいている最中よりも、残った香りの方がアロマを感じやすいです。
ちなみに香りの比率は、一般的なお香の香りが8割、種類ごとのアロマの香りが2割くらい。火をつけると、つける前ほどアロマは香りませんが、確かに自然派でオシャレな香りがします。ただのアロマとは違い、お香特有の香りから、ふわっと香ってくるのがたまりません。
マットに置いて使うため、折れて灰が飛び散る心配がなく、燃焼後はケースごとひっくり返せば、お香の形のまま、きれいに灰を落とせるのは、意外なメリットでした。
■【3:00p.m.】集中力に欠けてきたらお香で一息
朝から働いて、そろそろ気分転換したくなって使ったのは、シダーウッド。朝の優しい香りとは違って厳かな香りですが、深い香りのためか、少しアロマを感じにくい気がしました。
セミの鳴き声が方々から聞こえる中お香をたいていたら、なんとも夏らしい気持ちになって、夏が好きな私はテンションアップ! 香りが心にもたらす影響力は偉大だと改めて実感。
そんなことを感じた後は、残ったシダーウッドの香りの中で仕事を再開。気が引き締まる香りなので、気持ちを切り替え、集中して作業を行えました。
■【10:00p.m.】1日の終わりは甘い香りで締める
夜はアンバーの香りをチョイス。疲れた体を甘い香りが癒してくれました。甘くて分かりやすいためか、一番アロマを感じやすいです。寝る前に読書をしながらまったりするのにぴったりの香りでした。
* * *
今回買ってみて、ついにお香デビューを果たせてよかったです。香りを使い分けたら生活にメリハリが出たし、想像以上に気分が上がって大正解でした!
<文/栗原伶奈(&GP)>
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