1.紐のプロが手がけるロープブランド「UUU JAPAN」
作業現場でお馴染みの黄色と黒のトラロープやトラックの荷台で活躍する綿ロープ、古新聞の運び出しに欠かせないビニール紐など、さまざまな現場で活躍する、荷造り用品や各種ロープ類の加工や卸売を本業とする三友産業。
2019年、そんな“紐のプロフェッショナル集団”から新しいアウトドアブランドが生まれました。それがアウトドア愛好家のためのロープブランド「UUU JAPAN」。
「UUU JAPAN」では、主にアウトドアで活用されるロープとアクセサリーを開発、特にナイロン素材の頑丈なロープは、国内の工場で生産されており、発色の良さや、しなやかながら芯の詰まった安心感のある手応えが特徴。
もちろんロープは頑丈なだけではありません。アウトドアフィールドに程よく馴染むアースカラーのバリエーションも豊富で、テントやタープの張り紐や、斧やナイフのハンドルカバー、各種アウトドアグッズの飾り紐など、アイデア次第で個性豊かに活用できるのも魅力的です。
またロープ類の他にも、本業の梱包資材のノウハウを生かした便利グッズを色々と開発しているので、これからの商品展開に注目していきたいですね。
>>UUUジャパン
2.「革×デニム生地」の新提案グローブ
東京消防庁即応対処部隊に、航空自衛隊ブルーインパルス、全日本ラリー選手権出場チームなど、官公庁をはじめ過酷な作業現場で働く人たちから絶大な支持を受けるグローブメーカー富士グローブ 。
同社のグローブは単に布や革で手をカバーするだけでなく、厳選された素材の使用と高度な縫製技術で、ありとあらゆる使用環境に対応できるよう、幅広いラインナップが用意されているのが最大の魅力です。特に刃物を扱う現場では、同社の耐切創性グローブの安心感は絶大で、DIYマニアからも厚い信頼を得ています。
そんなグローブ専門の会社が、キャンプ用の手袋として新しく提案するのが「デミニストグローブDM-01」。ありそうでなかった「革×デニム生地」の組み合わせは、まず見た目のコントラストが鮮烈で、なかなかにお洒落な印象です。
しかしこの組み合わせは、単にお洒落のためだけではありません。掌側には高級な牛吟皮が使われており、柔らかく、しなやかで着用感が最高。ゴワツキがまったくないので、作業に支障をきたしません。
そして甲側はジーンズパンツでお馴染みのデニム。頑丈なのはもちろん、肌触りや通気性が良いので革手袋使用時の不快な感じがありません。この2つの素材の組み合わせ、なぜ今までなかったのか不思議なぐらいです。
>>富士グローブ
3.スタイリッシュな脚立&足場台
ハシゴや脚立のメーカーとして有名な長谷川工業のブースでは、脚立や足場台の新しい使い方が提案されており、多くの人で賑わっていました。
同社の脚立や足場台の頑丈さと安定感は、様々な現場で活躍するプロからも絶大な信頼が置かれています。それゆえ逆に、保守的な商品ラインナップばかりだと思わっている人も多いのではないでしょうか。
そんな長谷川工業が業界をアッと驚かせたのが、2021年に発表した「ブラックレーベル」シリーズ。安全のための性能は妥協せず、そのうえで細部に至るまで全てのカラーを黒で統一し、ワンポイントで鮮やかなレッドを入れたデザインは、プロたちの間で大歓迎されました。
そんなスタイリッシュな「ブラックレーベル」シリーズの脚立や足場台に、ホームセンターで手軽に購入できる板材を組み合わせれば、あっという間にテントサイトで便利に使えるキャンピングラックの完成です。当たり前ですが、その安定感は他の追随を許しません。もちろん板を外せば、便利な脚立や足場台としても利用可能です。
>>長谷川工業
4.大工道具専門メーカーの切り出しナイフ
「EARTH MAN」ブランドの電動工具や、職人御用達のノコギリ「シャークソー」シリーズで知られる高儀の創業は江戸時代までさかのぼることができます。金物職人の街である新潟県三条のノコギリ鍛冶がその歴史の始まりで、その歴史は150年を超えるという大工道具の老舗企業なのです。
そんな大工道具専門企業が、全く新しいアウトドアシリーズをスタートさせました。特に注目は、同社の専門性を生かしたキャンプ用ノコギリの「愉し火 焚き火鋸」と、薪割り用の小型斧「愉し火 ハンドアッキス」。どちらも鍛冶屋が祖業の会社の製品らしく、機能からデザインまで秀逸で使いやすいです。
その他にも、金属加工の街に本社を置く強みが生かされ、メスティンや簡易コンロ、シェラカップなどいろいろな金属製アイテムが揃っていますが、特に私が注目したのはノコギリや小型斧と同じシリーズの「愉し火 切り出しナイフ」です。素晴らしいデザインと、完璧な切れ味を合わせ持ちながら、価格は驚きの2400円。ブッシュクラフトに釣り、キャンプ中のちょっとした作業に欠かせない切り出しナイフが、この価格で手に入るとは、凄いことですよこれは!!
>>高儀
5.ドリルの専門メーカーが作る木の棒!
本当にいろいろと面白い提案があるのが楽しいDIYショーでしたが、そんなバリエーション豊かな数々の展示ブースのある会場で、私の足を思いがけず止めたのがこの1本の「木の棒」でした。
提案するのは、木工用ドリルメーカーのスターエム。金属加工専門会社が集まる兵庫県三木市で1923年からドリル刃を製造するスターエムは、大工さんが使う手持ちの電動工具用ドリルから、巨大な木工加工用機械の刃まで多様な「穴あけ」のためのパーツを作っており、木工のプロからもDIY愛好家からも、絶大な信頼が置かれています。
そんなドリルの専門メーカーがアウトドア・ブッシュクラフト愛好家のために開発したのが、電動工具用のドリルを手回しで使えるようにするハンドル「No.38K Craft Handle」です。
使い方は簡単で、市販の電動工具用ドリルの刃を、ハンドルに付属の金具に差込み、蝶ボルトで固定するだけ。これだけで、電源のないところでもドリルが使えるのです。木材を加工する時、ナイフやナタだけでは加工しづらい穴あけ作業も、これならテントサイトで簡単に挑戦できますね。
ハンドルの金具には、電動工具で定番規格の根本が「6.35mm六角軸」と「10mm六角軸」のドリルの刃がセット可能。ただし、あまりに大きなドリルだと腕力だけでは苦しいかと思いますが…。
この便利アイテムが登場した背景には、ブッシュクラフト愛好家からの熱烈なリクエストがあったようです。というのも、この商品が開発される以前、スターエムには「ハンドルD型」という似たような製品があったのです。ただしこちらはあくまで、屋内での補助的な使用が前提の商品で、しかも数年前に廃盤となっていました。しかし廃盤の発表と同時に、多くのブッシュクラフト愛好家から、その復活を望む声が同社に届き、担当者はその使用方法の多様さに驚いたのだとか。
そんな愛好家たちの声で復活を果たしたクラフトハンドル。電源のない大自然の中、アイデア次第でいろいろなアイテムを作ることができるようです。スターエムのwebサイトでも丸太を使ったロケットストーブの作り方や、ウッディなキャンプサイドテーブルの作り方を紹介しているので、一度覗いてみてはいかがでしょうか?
>>スターエム
6.樽メーカーが提案するクーラーボックス
大正7年創業の老舗の樽メーカーが石山です。元は醤油醸造所向けに醤油樽を製造していたそうですが、その後にプラスチック容器の製造に移行。現在では特に発泡スチロールを使った製品が主流で、食品メーカーをはじめ多くの企業で同社の商品が使われています。
その石山が2022年2月に発表したのが、高機能保冷×収納性をテーマにした折り畳めるクーラーボックス「FLOBBLE 」なのです。食品保存容器を得意とするメーカーなので、このクーラーボックスの保冷・保温のための断熱機能は折り紙付き。にもかかわらず、使わない時には折り畳んで収納できる優れもの。
このクーラーボックスがあれば、キャンプが終わった後の撤収作業の時に、車のラゲッジルームに空きスペースができて助かりますね。また平たくなるので、常時車に積んでいても邪魔にはなりません。急に出先で鮮魚やデザートのお土産を買いたくなっても安心です。
石山では、このクーラーボックスの他にも、発泡スチロールの機能を最大限活用した、面白いアイテムをいろいろと開発してるそうですので、アウトドア好きとして、これから同社の新製品に注目したいと思います。
>>石山
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プロ向けの専門性の高い資材から、日常生活で役立つ便利グッズまで、豊富なアイテムが並んだ「JAPAN DIY HOMECENTERショー2022」。今年の展示の特徴は、レジャーの選択肢として完全に定着の兆しが見えるアウトドア・キャンプブームに対して、アウトドア専門メーカー以外から新しいアプローチが目立ったことでしょうか。
そんな多様なメーカーが提案するアイデアは、今までにないアイテムが多くて、とても楽しかったです。今回ここにあげた6つの商品以外にも、驚くようなアイデアのアイテムも試作品として出ておりましたので、「キャンブ道具」好きとしては目が離せませんね。
またこうして数多くの企業がアウトドア・キャンプ業界に参加することで、よりこの分野が活性化し、その愉しさがドンドンと大きくなっていくことにも期待したいところです。
<写真・取材・文/阪口 克>
阪口克|旅と自然の中の暮らしをテーマに国内外を取材するフリーカメラマン。秩父郡長瀞町の自宅は6年かけて家族でセルフビルド。著書に『家をセルフでビルドしたい』(文藝春秋)、『ビジュアル版焚き火のすべて』(草思社)、『ファイアーサイドクラフト』(山と渓谷社)ほか多数
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