■パーツはわずか4つだけ
「TRY AND GRILL」はA4サイズにおさまる薄型収納で持ち運びが楽。各パーツはシンプルかつ美しいんです。
ほぼA4サイズの薄型なので、バッグやコンテナボックスの隙間に無理なく差し込めます。
火床とスタンド、炭床、焼き網というシンプルな構成。スリットの入り方やリブ加工も美しいですね。中でも焼き網は、ヘッドホンに採用されているハニカムパンチングケースをイメージしたデザイン。遊び心と堅牢性を兼ね備えているのはさすがです。
組み立ては、まず3面からなるスタンドを広げることからスタート。
同じく3枚のプレートからなる火床を広げて、スタンド上に設置。スタンドの突起に火床のスリットを差し込むと安定します。
ヒンジは熱による破損が不安ですが、何度も燃焼テストを重ねているそうです。ご安心を。
火床の中に炭床を置きます。炭床の突起を火床に差し込んで、ぐらつきがないことを確認しましょう。
最後に焼き網を載せたら完成! 説明書を見なくても、30秒ほどで組み立てられました。ソロ〜デュオにちょうどいいサイズで、思いのほかどっしりしています。
金属プレートを差し込むシステムの焚き火台は、ゆがみで苦戦しやすくなるのですが、「TRY AND GRILL」は広げて置くを繰り返すだけ。片付けだって簡単ですし、切欠を用いているので不意にズレる、崩壊するなんてことはありません。
■燃えすぎず安定感あり
「TRY AND GRILL」のスリットは必要十分な空気を取り入れる形ですが、メッシュ火床のように空気をグイグイ取り入れないので、灰が詰まる心配はなし。
縦・横に伸びるスリットが吸気口となっています。立ち消えせずきれいに燃えますが、燃えすぎて薪の追加がせわしない、なんてことはなし。目詰まりして消えそうになることもなく、安定感があります。調理にピッタリの熱を生み出してくれるんですね。
それによく見ると、直線的ないわゆる“ゲタ足”ではありません。不安定な地面に対応しやすいのは好感を持てます。
炭床が入っているので、薪や炭が入る量は少なめ。少々心許なく感じますが、少量の薪でも熱が逃げにくい構造でもあるんです。
それに、火床のスリットが少なめなのに対して、炭床には雪の結晶のように広がるステキな吸気口が備わっていて、燃焼に必要な空気を下から十分に取り入れられるというわけ。つまり、少ない薪でほどよく燃える!
気になるのは、焼き網を載せたときの薪の追加ですが、火床のヒンジ部分と焼き網を載せない面は少しだけ切り込みが入っているので、長い薪を差し込みやすくなっています。
あまりに太い薪や長い薪は、加工するか焼き網を外す必要がありますが、一般的な市販薪であればまず大丈夫。
構造上、どうしても灰や細かな燃えかすが落ちてしまいますから、草地では焚き火シートがマスト。
現在は「TRY AND GRILL」に載せてピザや燻製ができる「COOKING SHELTER」(1万9800円)や火起こしもできる風防「THREE FACE」(1万7930円)なんていうユニークな関連ギアが登場していて、今後も拡張性が期待できます。
超軽量ではないけれど、タフで持ち運びが苦にならない重量、ルックスも◎。燃えすぎない省エネ設計もいい感じ。
しかも組み立て・撤収が簡単なので、キャンプ地に到着したらパッと組み立てて焚き火をはじめ、帰宅間際まで焚き火を楽しめます。
キャンプはもちろん、日帰りでちょっとだけ焚き火をしたい人にもピッタリの焚き火台です。
>> AUTEC CAMP
<取材・文/大森弘恵>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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