■ノイキャン性能も外音取り込みも最強かも
まずは外見からチェック。デザインが新しくなって先代と比べてグッと小さくなりましたね。イヤホン本体は前モデルに比べて約1/3で重量は片側で約6.5g。デザインは耳元から小さめにアンテナが伸びるスマートな形状になりました。IPX4の防水にも対応しています。
そして最大の新機能がBose CustomTuneテクノロジーです。実はこれ、既存ユーザーには気づきにくい形で搭載されていて、イヤホンをケースから取り出して装着するたびに「ジャーン」という起動音が鳴り、その際に耳の中の反響特性を計測。毎回自動で個人の耳の形状に合わせてサウンド周波数プロファイルとノイズキャンセル効果を調整しています。
このBose CustomTuneテクノロジー、前提としてイヤホンのフィット感がとても重要になります。実はイヤーチップの構造が先代から大きく変更されていて、一般的なイヤーチップに近い形状になりました。サイズはS/M/Lの3つ。そしてイヤホンを固定するスタビリティバンドが3サイズ付属しています。
バッテリー持続時間は最大6時間で、充電ケース使用で最大3回分のフル充電が可能。つまり充電ケース込みで最大24時間と、バッテリー性能はソコソコ。でも、充電ケースを見ると納得というか、先代と比べて充電ケースがかなりコンパクトになっています。
ノイキャンについては、イヤホン内外の合計8マイクでノイズを収集。Boseによると、今年6月20日の時点で米国の基準で最もノイズキャンセル性能に優れた製品とのこと。比較対象はBose製はもちろん、市販されている他社製のイヤホン・ヘッドホン全てを含んだ上とのことです。
では実際にノイズキャンセルを体験してみましょう。
出荷時の状態ではノイズキャンセル最強の「クワイエット」(Quiet)と外音取込みモードにあたる「アウェアー」(Aware)のふたつが用意されています。ちなみに登録したモードの切り替えは左右イヤホンどちらでも長押しです。
まずは「クワイエット」を体験してみると…ノイズキャンセル性能が凄まじく優秀。屋内で装着してみるとほとんど周囲が無音というレベルで騒音を低減。
そしてこの「クワイエット」、一般的にノイキャン機能が苦手とする人の声の周波数帯域への騒音低減効果が抜群に優秀。静かな部屋でテレビ音声を聞いても音量1/5くらいまで抑えます。これって、つまり耳栓的な効果を得られるということ。
さらに外音取り込みの「アウェアー」も優秀で、ハッキリ言ってイヤホンを付けていない状態とほぼ変わりません。AirPods Pro(第1世代)と同等以上ですね。
屋外に持ち出してテストしてみると、「クワイエット」では地下鉄の車内の騒音もゴーと響くような重低音系の騒音はほぼ消えて中高域の加速音などが残るのみ。ノイキャン性能は業界トップだと思います。無音でテストすると人の声やアナウンスは少し聞こえるかな程度。街なかの雑踏はほぼ無音に近いレベルまで抑えます。ただ、それだと外では危険なわけですが、「アウェアー」を使えば音楽を聞きながら周囲の音も聞こえる。使い分けとしても完璧ですね。
なお、ノイキャン/外音取り込みの強さは10段階で調整できて、3つまでのモードを記憶可能。試しに、真ん中のレベルであるノイキャン5の状態をテストしてみると、ノイキャンと周囲の音のバランス型としても使えました。
続いて音質もチェックしていきます。
まずはiPhoneと接続して宇多田ヒカル『あなた』を聴くと…「あれ、Boseってこんな音だったっけ?」というのが第一印象。女性ボーカルの歌声は少し高域がハスキーになるけど、音場が広く楽器の音の臨場感、スケール感があって音数豊富。でも、そこまで繊細志向でもないところは、やっぱりBose。一方、重低音のディープさは相変わらずのBose流で、BrunoMarsの『24K Magic』は男性ボーカルも空間の中でクラブミュージックらしいサウンドを聴かせてくれます。ちなみに、小音量でも低音はズンズン響くようになっています。
AndroidのXperia1IVで試聴してみても、Bluetoothの接続はAACコーデックなので傾向はほぼ同じ。若干音が滑らかなくらいで相変わらずの空間再現の上手さ。Bose CustomTuneテクノロジーで、個人の耳に対して音をパーソナライズしている部分が効いていますね。
最後にMacとペアリングしてZoomでマイク音質もテスト。室内通話では若干空間の響きも含めて拾っていましたが、マイクのビームフォーミングというのはBoseの得意技なので、騒音下も得意なはずです。
Boseが約2年ぶりに送り出した完全ワイヤレスイヤホン「QC Earbuds II」。Bose自身が6月20日時点で最高のノイズキャンセル性能だと言っていますが、僕の感想としても9月22日時点で業界トップ。特に数値上の性能を稼ぎやすい重低音側だけでなく、中高域の人の声の帯域にまで効果があるところが衝撃的。そして外音取り込みの自然さもトップ級。
ノイキャン重視なら、Boseを選ぶべき。「QC Earbuds II」はそんな、期待通り、いや期待をかなり上回る超高性能なイヤホンでした!
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<取材・文/折原一也>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
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