■新しいカメラやアクションモードは魅力的
一方、iPhone 14 Proシリーズのカメラには、メインカメラの画素数が48MPになったり、レンズの焦点距離やf値が変わっていたり、と仕様面での変更がありました。さらに、Photonic Engineに対応したり、アクションモードでの動画撮影に対応したり、とiPhone 14シリーズにも共通するソフトウエア面での進化も果たしています。
使ってみて特に面白いと思えたのは3点。
(1)高解像度撮影ができること
(2)望遠撮影で2倍と3倍を選べるようになったこと
(3)アクションモードでの動画撮影
まず、48MPでの撮影はメインカメラで行えます。わざわざメインカメラで撮影した画像を、撮影後に拡大しなくてはならない場面は限られるでしょうが、とにかく進化がわかりやすい。一般に「ピクセルビニング」と呼ばれる4つの画素をひとつとして扱う手法にも対応しているので、上の画像のようにメインカメラで撮影しても、1200万画素として撮られていることもあります。
ちなみに、メインカメラの通常撮影(1200万画素扱い)では、撮影したデータの容量は2.1MBでした。これが、Apple ProRAWでの撮影になると、4800万画素か1200万画素かを、設定から手動で選べます。撮っていた画像を比べてみると、4800万画素のRAW撮影が71.6MB、1200万画素のRAW撮影が28.6MBでした。
RAWで撮るようなカメラに詳しい方に向けてあえて言うまでもないことでしょうが、4800万画素のRAW撮影をすると、大体15枚撮ったらストレージを1GB使うということになります。Apple ProRAWを目的とする場合には、大容量モデルを選んでおくことは必須ですね。
続いて、カメラアプリのUIとしては、「2倍」が追加されています。iPhone 13 Proシリーズだと1倍の次が3倍だったので、単純に2倍が追加されて使いやすくなりました。仕組みとしては、48MPのメインカメラの2倍ズームに相当する一部画素を使って撮影しているというものです。
ちなみに、デジタルズームを組み合わせた最大倍率は従来通り15倍。光量が十分な環境ならば、風で揺れてる花を10倍以上に寄って撮影してもブレずに写るので、ほぼ何でも撮れます。13 Proの時もそうでしたが、相変わらずフォトウォークが楽しい。
そして、アクションモードでの動画撮影は手持ちなのに、ジンバルを使ったくらいに揺れが補正されるというもの。階段を上りながら撮影してみましたが、本当に人間が手持ちで歩行しているとは思えない映像に仕上がりました。
こちらはProではないiPhone 14でも使えますし、シリーズを通じての目玉機能と言えるでしょう。
その他の撮影機能としては、フラッシュの進化が気になるところ。「アダプティブTure Toneフラッシュ」といい、焦点距離に合わせて9つのLEDのパターンと明度を調整し、被写体に常にベストな光を当てるとされる機能です。詳細が明らかになっていないので、どんな被写体に対してどの程度の変化があるのかは分かりませんが、ひとまず暗所でフラッシュをした撮影では、シーンによっては写りが大幅に異なることを確認しました。
■A16 BionicとA15 Bionicでベンチマークはどのくらい違う?
iPhone 14/14 Plusでは5コアGPU版のA15 Bionicを、iPhone 14 Pro/14 Pro MaxではA16 Bionicを搭載しています。ここではiPhone 14とiPhone 14 Pro Maxについて、「GeekBench 5」でのベンチマークスコアを測定してみました。
iPhone 14 Pro MaxのスコアはCPUのシングルコアが1875、マルチコアが5049、Computeは15470でした。iPhone 14の結果と比べても、上位モデルらしい数値になっています。
ただし、A15 Bionicを搭載するiPhone 13 ProやiPhone 14でも十分高性能なので、どのモデルを選んでも日常のエンターテインメント用途などでスマートフォンに期待される処理に関して、困ることはないでしょう。
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価格感も鑑みてiPhone 13シリーズからの乗り換えは現実的ではないでしょうが、iPhone XS/XRやiPhone 11シリーズからの乗り換えとなると、従来機から踏襲した特徴を含めてかなり進化を実感できるはずです。
筆者のおすすめは、望遠カメラが備わったiPhone 14 Proシリーズ。たとえApple ProRAW撮影を利用せずとも、iPhone 14 Proの新しい望遠カメラを片手に散歩に出るだけで、とても楽しめると思いますよ。お財布との相談は必要ですが…。
>> Apple「iPhone 14 Pro/14 Pro Max」
<取材・文/井上 晃>
井上 晃|スマートフォンやタブレットを軸に、最新ガジェットやITサービスについて取材。Webメディアや雑誌に、速報、レビュー、コラムなどを寄稿する。Twitter
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