■根気よく丁寧にナイフを研ぐ
今回のチップは、私が今まで見た中で、トップレベルの大きさでした。測ったら2mmもあったので、ちょっとびっくりです。
ナイフが大きいので、冒頭の写真ではそのチップの大きさがわかりにくいかもしれませんが、相当な大きさです。1mm以下のチップは何度も直したり、先端が欠けてしまったものも復元したことはあるのですが、正直、この大きさは直せるか不安でした。
最も粗い番手の#150から使います。チップしていない時は、ダイヤモンド砥石を使うことはありませんし、#150を使ったのは、ナイフの形状を自分好みに変えようと思った時以来です。
今回は大きなチップだったので、この面を使ってやってみます。砥石を手前から、奥へとゆっくり動かして刃を研いでいきます。
奥まで行ったら手前に戻すのですが、この時は研ぐというよりも、ただ戻すことを意識しています。大事なことは、刃と砥石の角度が常に一定になることです。
ナイフの形状によっては奥にいくに連れ少し角度を変えながら行うこともあるのですが、一定の角度を保つことが本当に大事です。なので慣れないうちは、とにかく、ゆっくりでもいいので角度を保つことを意識してください。
私はナイフの根本から先端へ順番に研いで行くのですが、場所によって、角度が変わるので、これも注意が必要です。ダイヤモンド砥石で数回研げば、必ず傷がつきます。その傷(研ぎ跡)を確かめながら、自分が研ぎたい部分を研げているか確認してください。
今回は、大きなチップだったので、片面すべての刃に対して約50回くらい行いました。この回数は、どれくらい形状を変更する必要があるかによって変わりますので、何度も試してみてください。
研いだら、ナイフの反対側の刃を触って、コバ(出っ張り)ができているかどうかを確認します。これが、刃の全体に同じくらいの大きさでできていれば、まんべんなく研げているということ。そして、もう片方も同じように50回ずつ研いで確かめます。必ず、裏表と同等の回数を研ぐようにしましょう。
だいぶ修復できたら、次は#600で同様に研いでいきます。今度は30回くらいずつ研ぎました。これでほとんどチップが目立たないようになりました。その後はダイヤモンド砥石から、普通の砥石#1000にシフトしていきます。
ほとんど、チップ部分がわからなくなりましたよね? ただ、かなり粗い状態ですので、ここから砥石を使って刃の形状を戻していきます。
根気のいる作業ですが、ここからが本番です!
#1000、#2000、#5000と順番に、各10回から20回ずつくらい研いでいきます。大事なので繰り返しますが、刃と砥石の角度に気をつけてください。そして毎回、ちゃんと刃全体が研げているか、指で確認してください。
両面均等に研いで#5000も終わったら、最後はコバが出ている部分だけ軽く研いで、コバをなくしていくイメージです。これは数回ずつ研いでいきます。
砥石の#5000まで研いだら、仕上げは革砥石です。刃をまんべんなく、下から上に向かって、革に擦っていくイメージです。
片方研いだら、反対にして、下から上に擦りつけるイメージです。砥石を動かす方向が逆になるので注意してください。
慣れてくると、研げてくると感覚的に摩擦の感じが変わるのがわかってきます。
しっかり革砥で研げると、刃の部分にツヤが出てきます。刃のちょっと上の研ぎ跡と比較するとわかるかと思います。鏡面的になると説明した方が良いかもしれません。
ここまでできれば刃の部分は完成です。あとは、刃より上の部分を砥石や、革砥で研いできれいに消すこともあります。本当はやったほうが良いのかもしれませんが、私はそこまではやりません。
やらない理由は、割とガンガン使うので、すぐに傷ができてしまうからです。刃がしっかり研げていれば、ナイフとしての役割はちゃんと果たしますので(笑) 本物の研ぎ師の方には叱られてしまうかもしれませんが…。
さて、いかがだったでしょうか? この工程で約2mmの大きなチップは見事に直すことができました! かなり根気がいる仕事ではあるのですが、ナイフが研げると、アクティブに使っていけるので、安心です! 皆さんもぜひトライしてみてください!
>> 連載 [不自由を自由にする野営スタイル]
(文・写真/RYU)
RYU/「不自由は自由だ!」をモットーに、年間数十泊の野営を行う。 経験、スタイルを問わず、少しでも参考になる情報を発信して行きたいと思います。Instsgramアカウント:@ryu chikazawa、YouTubeアカウント:Ryu outdoor ch #不自由は自由だ #アウトドアをこじ開けよう「初代 @sotoshiru アンバサダー」「@tobuy_official インフルエンサー」
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