■アウトドア向きの仕様
Apple Watch Ultraのデザインは、他のApple Watchとは異なっています。ケースサイズは49mmと大きく、素材にはチタニウムを採用。ディスプレイは少し飛び出ており、エッジ部分は鋭くなっています。
Digital Crown(デジタルクラウン)やサイドボタンは少しベースが飛び出るような形状になっていて、反対側の側面にはグローブを装着して使用することを想定して「アクションボタン」と呼ばれるもうひとつの物理ボタンも搭載されました。
一応、補足しておくと、従来のApple Watchシリーズでも、アウトドア用途に使えないわけではありませんでした。例えば、「オープンウォーター」と表現する用途。すなわち、サーフィンやトライアスロンなどで海を泳ぐ際にも、Apple Watchは使えました。また、スキーの滑走記録を残すためのアプリなども、サードパーティではありますが、既に展開されてきました。
しかし、Apple Watch Ultraは、通常のApple Watchでは対応できない、より過酷な条件下でも使えるように設計されています。米国国防総省が定める物資調達基準「MIL-STD 810H」(いわゆるミルスペック)に準拠する耐久性を備えていて、動作可能温度は通常のApple Watchが0℃~35℃であるのに対し、Apple Watch Ultraは-20℃~55℃まで対応します。
例えば、ウィンタースポーツや、登山、冬の気温が氷点下になる寒冷地では、従来モデルよりも安定した挙動が期待できるでしょう。
また耐水性能については、他のApple Watchが「50m」であり、泳ぐ際に使えるとされているのに対し、Apple Watch Ultraでは「100m」という表記になり、ダイビングアクセサリの技術標準機核である「EN13319」にも準拠。具体的には、水深40mまでのレクリエーションダイビングに使えるとされています。
ちなみに、水温センサー搭載の水深計も搭載しており、水深1m以上潜ると「水深」アプリが自動で起動する仕組みになっています(水深アプリの詳細についてはこちらを参照)。
ほかにも、画面輝度が最大2000ニトに向上し、直射日光下でも文字盤を視認しやすくなり、L1+L5の高精度2周波GPSに対応し位置測位を正確に行いやすくもなっています。さらに非常時用のサイレンを鳴らせること、通常モードでのバッテリー持ちが他モデルの18時間にくらべApple Watch Ultraでは最大36時間まで強化されていること、などもアウトドアユースを追求したからこその特徴です。
■梱包とデザイン、装着感
Apple Watchシリーズを既に使ったことがある方はご存知かと思いますが、他モデルの製品パッケージは縦長の紙箱でした。しかし、Apple Watch Ultraの梱包は、より幅の広い長方形です。開封するとアウトドアを想像させる写真が広がり、Ultraだけの「特別感」が演出されています。
装着してみると、49mmケースの文字盤はかなり大きく感じます。そのため、表示される情報は見やすく、キーボード入力なども行いやすい印象です。
一方、ケース素材がチタニウムなので、ケース重量が61.3gもあり、ややずっしりと感じます。例えば、Apple Watch SEの40mmケース・GPSモデルは26.4gなので、それと比べると約2.3倍。長距離走で使うには、装着時の存在感が少し強いかもしれません。
検証時のバンドは「トレイルループ」を使いました。このトレイルループは、スポーツループバンドと同様、バックルに相当する部分が面ファスナーになっています。ただし、少しタグが飛び出しており、グローブを装着したままでも着脱が行いやすくなっている点が異なります。
このタグがあるため、厚手のグローブを装着した状態でも扱いやすいのですが、反面素手で扱う場合には通常のスポーツループバンドの方が着脱しやすい印象です。また、普段スポーツループバンドを使っている筆者としては、少々肌触りが硬く感じます。Apple Watchシリーズでは、バンドを簡単に交換できるので、日常用には別途バンドを調達した方が快適かもしれません。