総菜店でもいがめんちは手に入る。弘前駅から程近い「虹のマート」へ行ってみた。スーパーマーケットのような名前だが、中へ入ると市場のような独特の雰囲気で、鮮魚、乾物、総菜店などがひしめいている。総菜店はみんな店の奥が厨房になっており、その場で作ったお惣菜を提供している。いくつかの店でいがめんちを出しており、そのうちの1店「わしお」で購入してみた。ここでは週に2回くらい、いがめんちを作っている。イカ、ニンジン、玉ねぎのみのシンプルないがめんち。ごろんとやや肉厚で、ちょっと懐かしい素朴な味わい。イカは足とミミだけを使うそうだ。
弘前の中心地、土手町にある「弘前中央食品市場」にも行ってみた。ここも野菜や総菜が売られており、鰻の寝床のような京都の長屋風の細長い建物である。山田商店は秋から冬の間だけ売っている大学芋が人気の店だが、ここにもいがめんちがある。午前中に行くと、店の中でちょうど揚げているところで、揚げたてを食べられる。匂いにつられて、つい買ってしまいそうだ。
ここもシンプルないがめんちで、キャベツ、玉ねぎ、ニンジン、ネギが材料。イカはゲソのみを使う。さつま揚げのような平べったいかたちで、食べ歩きもしやすい。元々は市場内の別の店で作っていたそうだが、そこが辞めるとき、山田商店が引き継いでいがめんちを作り続けた。「だからウチはまだ、10年くらいなのよ」と山田さんが話してくれた。
総菜店のものは飲食店と違い、素材もシンプルで、昔ながらの素朴なお母さんの味といった風情のものが多かった。部活帰りの中学生が好みそうなお惣菜である。ひとつ買ってその場でぱくっと食べたくなる。