■張り付くような安定性と耐久性の高さ
実際、走りの楽しさは特筆ものでした。猛然とスタートダッシュし、カーブでは路面に張り付くように安定しています。高速コーナーには高めの速度のまま入っていって不安感なし。
コーナーが連続するちょっとテクニカルな部分では、低くなったとはいえ全高が1.6mを超えるクルマとは思えない、軽快な身のこなしを見せてくれました。
想像していたより少なめの操舵量(カーブでステアリングホイールを動かす量)で、車体の傾きも少なく、すいすいという感じの動きです。ブレーキの効きもすばらしく、減速、曲がり、そして加速すべてにおいて、冒頭で触れたとおり、まるでスポーツカーなのです。
サスペンションは、あえて金属バネ採用です。
「減衰のカーブがなめらかなのでサーキットなどでは扱いやすいんです」。
現場でランボルギーニの技術者が教えてくれました。それに電子制御ダンパーが組み合わされています。
あまりにも路面に張り付くように走れるので、ひょっとしたら一般道での乗り心地がよくない? と思って、上記の技術者に印象を尋ねると「けっしてそんなことはないと思いますよ」とのことでした。
「競合が出てきても負けるつもりはない」といったヴィンケルマンCEOの言葉のリアリティが、運転していると、よくわかりました。
もうひとつ、私が感心したのは、耐久性の高さです。サーキットでの試乗だったので、入れ替わり立ち替わり、世界中から招かれた腕自慢の自動車ジャーナリストが思いっきりクルマを走らせるのですが、何周しても、クルマは”ピンピン”しているのです。
最初に乗ったときと、2時間後に乗ったときも、印象がほとんど変わりません。コンパウンドが柔らかめのピレリの高性能タイヤがややグリップ力を失ってきたかな、というぐらいで、ここまで“攻める”ことができるなんて、ある種の芸術品だと感心しました。
■新ドライブモードでどこでも最高の走りを楽しめる
ペルフォルマンテは、従来のウルス同様、ドライブモードセレクターをそなえています。そこに今回「ラリー」というモードが設定されたのもニュースです。
バレルンガでは、サーキットの横にオフロードのコースがあります。そこでラリーモードを試す機会がありました。見どころは、アクセルペダルの踏みかたによっては、後輪をさっと流して走れること。軽いドリフトでカーブを曲がれるのです。
生粋のラリーカーならいざ知らず、これは大型でSUVで、しかもぜいたくな作りの高価格車です。それが、基本は車両がトルク制御をうまくやってくれながら、それでもドライバーが自分の思うようにクルマの動きをコントロールするという、ドライブの醍醐味を提供してくれるのです。
「レーストラック、日常、オフロード、どこでも最高のファントゥドライブを味わえますよ」。ヴィンケルマンCEOの自信に満ちたコメントは、まったくもって嘘ではなかったわけです。
【Specifications】
☆Lamborghini Urus Performante
全長×全幅×全高:5137x2026x1618mm
ホイールベース:3006mm
エンジン:3996cc V型8気筒ターボ 全輪駆動
出力:490kW@6000rpm
トルク:850Nm@2300~4500rpm
変速機:8段オートマチック
最高速度:306kph
加速性能:0-100kph 3.3秒、0-200kph 11.5秒
価格:3181万6785円(税別)
>> Lamborghini Urus Performante
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
【関連記事】
◆初の4ドアボディ!「サラブレッド」の名がふさわしいまったく新しいフェラーリが誕生した背景
◆これぞスーパーカー!熱狂 ガルウィング名鑑<ランボルギーニ編>
◆史上初が目白押し!オープンの開放感と刺激的な走りが同居した「コルベットコンバーチブル」