アルミポールとスチールペグ、張り綱も付属しているのでこれだけで設営できます。ポールとペグが小分け用袋に入っているのがいかにも日本ブランドです。
設営手順は一般的なシェルターと同じ。ファスナーが閉じていることと前後を確認したら本体を広げて後部2か所をペグダウン。ポールを差し込み立ち上げたら、両脇2か所、前部2か所の順番でペグダウンしていきます。
難燃加工、はっ水加工を施した厚手コットンで、裾はパイピング加工済み。へんな伸びがなくきれいに張れるのが気持ちいい!
ソロ用のパップテント型シェルターはだいたい高さ110〜120cmなので10cmほどノッポ。フロアサイズは似たような感じなので、背が高い分、ファスナーまで手が届きやすくデッドスペースも少なくなっています。
気になったのは張り綱でしょうか。黒は格好いいのですが見づらくて。軍用をモチーフにしているので仕方ないのですが、一般キャンパーにとってはステルス性能がちょっと危険。澤村は反射材が入ったロープに交換するそうです。
■試される仕様「キャンプ中級者以上モデル」
サブポールはないので手持ちのポールを使ってパネルを跳ね上げます。
公式サイトには「キャンプ中級者以上モデル」と明記していますから、「ポールは余っているヤツを使うか、その辺に落ちている木を使ってね」ということなのでしょう。また、裾のスカートはありません。寒がりの澤村ですからこれで冬を過ごせるかちょっと心配ではありますが、シートで防ぐもよし、落ち葉で隙間を埋めるもよし。
ヘリノックス「コットワン」とグランドトランクブランドとして再発進した「メイフライチェア」、そしてこのテントにあわせて購入したというウルフアンドグリズリー「ファイヤーセーフ」を置いて、澤村のベースキャンプが誕生しました。
よく晴れた日に濃い目の影ができ、遮光性のよさがうかがえます。
雨での実力は確認できていませんが、はっ水加工のおかげで水を弾くし、ポール差し込み部分にも雨が入りづらく加工されています。
ファスナーはフラップなし。はっ水ファスナーのようにも見えますが、公式サイトに記載がないので確認できません。
一番知りたいのは難燃素材、ブレイズシールドの実力です。
燃える薪をテントに近づけたかったのですが、さすがにおろしたてのため却下されてしまいました。
80年代、難燃素材のフライトジャケットに「燃えないんだぜ」とライターの炎を近づけて穴をあけた編集者がいましたが、さすがにモノメディアの編集長だけあり危険を察したようです。
ブレイズシールドは自己消火性にすぐれた素材で、万が一炎が触れても炭化するという生地。火の粉が触れても穴があきにくい、炎や熱い煙突が触れても燃え広がりにくいだけです。
とはいえソロキャンプならそれほど大きな焚き火をしないし、テントの近くで焚き火ができるのはうらやましい限り。従来の難燃素材の5倍もの強度を備えていることもポイントです。
出入り口にはバックルが3つ付いていて、パネルを内巻きにして留められます。パネルを跳ね上げないときは、パネルを後ろにまくるだけでもいいのですが風で落ちることもあり、これが結構うっとうしい。
「FIREPROOF GS TENT」は紐ではなくバックル。サッと準備ができるのがいいですね。澤村もご満悦。
* * *
「FIREPROOF GS TENT」のルーツとも言えるパップテントがなぜこの名前になったのかは諸説あるようで、南北戦争時に使われていたこの小さなテントは床がなくて浸水しやすく、兵士たちは人間用ではなく仔犬(PUP)用のテントだと呼んでいたのがはじまりだとも。
160年の時を経て2020年に登場した「FIREPROOF GS TENT」は、ファスナーで簡単に開け閉めでき、コットンに燃えにくさとはっ水性をもたせるなど順当に進化していますが、それでいてスカートなし。ユーザーに「これを使いこなせるかな」と挑んでいるような仕様です。ハイスペック素材で多機能な今どきテントとは違い、ほどよくキャンパーをあおる「FIREPROOF GS TENT」。澤村を見ているとその絶妙なさじ加減が魅了される理由だとよくわかりました。
>> GRIP SWANY
<取材・文/大森弘恵 写真/田口陽介>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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