2種類のハイブリッドシステムを用意!走りを楽しむならクラウン・クロスオーバー「RS」という選択肢

■上級グレード「RSアドバンスト」の走りを箱根で体感

▲大きなメッシュグリルだけれどほぼダミー(エアインテークはサイド)

クラウンには、従来からRSモデルが設定され、スポーティな味付けのモデルが存在してきました。しかし、今回は、キャラクターが従来以上にはっきりと分けられていて、「RS」の走りはスポーティです。「E-Fourアドバンスト」なる全輪駆動システムは、走りによっては後輪に80%ものトルクを配分します。

「ハイブリッドシステムといっても多様で、パワーある走りもご提供したかった」(開発を指揮した皿田明弘チーフエンジニア)というだけあって、さらに、「RS」にはナビ連動型の可変連続ダンパーと、後輪操舵システムまで備わります。

エンジン自体のパワーを比較しても、先発の2487cc4気筒が137kWの最高出力と221Nmの最大トルクを持つのに対して、2393cc4気筒は200kWと460Nmを誇ります。

モーターのトルクも、2.5リッターがフロント202Nm、リア121Nmである一方、2.4リッターは292Nm、169Nmとなっています。

実際に「RSアドバンスト」という上級グレードに乗りましたが、箱根のワインディングロードで走らせると、たしかに、2.5リッターとはかなりの違いがありました。

▲「RSアドバンスト」だとリアシートの電動調節機構が選べる

▲シフターは電気信号を送るタイプ

開発エンジニアの狙いどおり、走り出しからパワフルで、ターボエンジンは低めの回転域から太いトルクを出して、気持ちよい加速感が味わえます。エンジン音も、2.5リッターよりいい感じだと思います。

路面に合わせて減衰力を調整する電子制御ダンパーのおかげで、路面に張り付いたような感じで走り、カーブを曲がるときも車体の傾きは抑えられます。これ、ほんとにクラウン? と思わせられました。

ステアリングホイールを操作したときの車体の動きもクイック。

後輪操舵システムによって、後輪が前輪と逆位相(反対方向)を向くため、結果として直進に近いような姿勢でカーブを曲がることになります。外側前輪が外に押しだされると、物理の法則で、前に進む力が弱くなります。それを抑える効果が発揮されるわけです。

▲太いグリップのステアリングホイールが「RS」のキャラクターを物語る

快適志向の人は、一方で2.5リッターが良さそうです。チーフエンジニアの言葉どおり、異なった好みを持つドライバーにもクラウン・クロスオーバーのブランドで対応していこうという意気込みやよし、と私は思いました。

大型セダンでも、スポーツモデルを設定して、しかもそれが市場で好調なセールスを記録するのが、昨今のトレンドです。そう考えると、GRスポーツのようなトンガッたモデルがあってもいいのかもしれません。でもRSは適度で、後席も使いたい、自分で運転も楽しみたい、ってドライバーにはぴったりです。

▲ドライブモードによってキャラクターは明確に変わる(個人的にはSPORTが好みだった)

燃費は、2.5リッターと2.4リッターではけっこう違います。2.5リッターはリッターあたり22.4キロ(WLTC)で、かつ燃料はレギュラー。2.4リッターは15.7キロ(同)になり、燃料はハイオク指定です。

価格は、2.5リッター「X」が435万円、グレードが豊富な「G」は475万円から。いっぽう2.4リッターターボの「RS」は605万円で、標準装備もオプションも豊富な「RSアドバンスト」は640万円です。

▲12.3インチの液晶モニターでナビゲーション、オーディオ、音声認識システム、エアコン、シートヒーターなどさまざまな操作を行う

▲「除電」機能を持ったシートは乗員の静電気を除去し車体周囲の風の流れを整流し空力に寄与するもの

▲トランク容量は450リッター

【Specifications】
☆Toyota Crown Crossover RS
全長×全幅×全高:4930x1840x1540mm
車重:1900kg
エンジン:2393cc直列4気筒ターボ+モーター(ハイブリッド)
駆動方式:全輪駆動
最高出力:200kW@6000rpm
最大トルク:460Nm@2000〜3000rpm、フロントモーター最大トルク292Nm、リアモーター最大トルク169Nm
価格:605万円

>> トヨタ「クラウン」

<文・写真/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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