■アジングでよく使うトリプルエイトノットの結び方
釣り糸の種類は数種類あり、中でも現在のアジングでもっとも使われているのが、ポリエステル製のエステルライン。
糸が伸びにくいため小さなアタリを感じることができ、ルアーに細かなアクションを与えることもできる。
しかし、エステルラインはルアーに結ぶと強度が大幅に下がってしまう特徴があるため、他の素材の釣り糸をルアーの手前側に結ばなければならない。
この部分の糸は“リーダー”と呼び、アジングでは本線となるメインラインの2倍程度の強度があるフロロカーボン製ラインをリーダーにするのが一般的。
今回は糸と糸を結ぶときの結び方であり、リーダーを結ぶときにも最適なトリプルエイトノットを解説しよう。
手順1…結ぶ2本の糸を並行に重ねる
トリプルエイトノットの場合は、リーダーで使う分の長さをまずカットします。
ルアーフィッシングでリーダーを結ぶ主な目的は、魚がヒットしたときに水中の岩礁に糸が擦れる「根ズレ」や魚の歯などで糸が切れないようにするため。もっとも切られやすいルアー周辺の1~2mだけ太くすることでメインラインを細くでき、飛距離を出しやすくなります。
アジングでのエステルラインでリーダーを結ぶ目的は、結束部の強度低下を防ぐためなので、リーダーの長さは20cmほどで十分。むしろ長くしてしまうと、ルアーのアクションが悪くなるなどのデメリットが大きくなります。
リーダーはフロロカーボンの3lb(0.8号)程度を使うのが標準です。
リーダーは20cmほどでOKですが、40cmほどにカットしておきます。
メインラインとカットしたリーダーを平行に並べ、重なる部分は20cmほどにします。写真はわかりやすいように太い糸を使っていて、上がリーダーです。
手順2…重ねた糸を輪にする
重ねた2本の糸で輪を作り、端糸から3cmほどの場所を指先でつまみます。
このときに、リーダー本線とメインライン端糸を利き手側にしておきます。画像では太い糸を使ったためリーダーの端糸が右側へ曲がっていますが、実際は左側にきます。
写真だと輪は小さめですが、輪が小さいと後の工程がやりにくくなってしまうため、輪が小さい場合は重ねる部分を少し長くしてみましょう。
手順3…約3回ひねる
輪に指先を入れて3回ほどひねります。ひねる回数が少ないと結び目がすっぽ抜けやすくなり、多いと最後の締め込みが不均等になりやすく、強度は変わらないものの結び目が大きくなりメリットはありません。アジングで使うような細い糸であれば、3〜4回がベスト。このノット名のトリプルは、3回ひねることから付いた名です。
手順4…輪にリーダーを通し切る&メインラインの端を通す
リーダー本線とメインラインの端糸を手順3の輪の中に通します。手順2でリーダー本線を効き手側にしたのは、この工程をやりやすくするためで、リーダーをあらかじめカットしたのもこの工程があるためです。そのため、極端に長いリーダーは結びづらいですが、アジングのような短いリーダーなら問題ありません。
手順5…糸を締め込めば完成
あとは両側にある2本ずつの糸を持ち、締め込めば完成。
このときの注意点は、ゆっくりと締め込むこと。急激に締め込むと摩擦熱で糸が傷んでしまう場合があるので、締め込みの最後は水や舌先で軽く湿らせておくと摩擦が減り、糸が痛みにくくなります。
最後に余った糸をカットします。ギリギリでカットするとすっぽ抜ける場合もあるので、3~5mmほど残しておきましょう。
また、釣り人の「あるある」ですが、端糸と本線を間違えてカットしてしまうことがあります(私も年に数回はやってしまいます)。せっかく結んでもやり直しになってしまうので、気を付けましょう。
■これがあると便利!
トリプルエイトノットをする際に便利なのが、「速攻8の字むすび」。
本来は手ではやりにくい極小のチチワ結びを作るためのアイテムですが、ほぼ同じ工程となるトリプルエイトノットにも効果抜群!
使い方ですが、手順3の指先を使ってひねる代わりに、先端部の銀色のパイプを輪に通して3回ひねります。
黒いレバーを前方にスライドさせるとパイプの先端から小さなフックが出てくるので、そのフックにリーダー本線とメインラインの端を掛けます。レバーを離すとフックがパイプに戻るため、その状態で速攻8の字結びを引き抜けば、トリプルエイトノットの完成。
慣れると5秒もかからずに結べます。手だと夜間や風の強いときに手こずることもありますが、コレを使うといとも簡単に結べるため、忘れたときはテンションが爆下がりするほど今では欠かせないアイテムになっています。
サイズはSとMがあり、私はMを使っています。
<文/渡邉長士 写真/須田俊哉>
渡邉長士|1981年生まれ、千葉県出身。地元の房総半島を中心に旬なターゲットを狙うプロ釣り師。海のルアーフィッシングが得意。アジをルアーで釣る“アジング”を提唱したパイオニアで、全国にブームを広めた1人。釣り具メーカー「ダイワ」「オーナーばり」と契約し、数々のアジング製品の監修、プロデュースやテレビ、雑誌などで釣りの楽しさを発信している
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