■まずはロッドの操作方法をマスターする
ロッドの持ち方ひとつでルアーのアクションや小さなアタリを感じ取る感度、さらにヒットしたあとのやりとりのしやすさも大きく変わります。
ロッドの持ち方を見ればその人の経験値や実力がわかってしまうほど、アジングでは大事な要素になります。
アジングのような軽量のタックルを使う釣りでは、キャストの時と、それ以降のリトリーブをする時とで、少しロッドの握り方を変えます。
キャストする際は中指と薬指の間でリールの足を挟み、ロッドのグリップを手の平全体でグッと握りますが、リールのベールを戻して糸を巻ける状態にしたら、手の平がリールに向くようにして、人差し指を竿にあてます。この時グリップに当たる部分が手の平ではなく、指先になるようにして浅く持ちます。手の平はグリップに触れず、グリップに当たるのは小指側の手首のすぐ上あたりです。
中指、薬指、小指の指先をリールの足やグリップに当て、その上下の人差し指と手の平の下側でロッドをホールドします。
要は、キャスト時には内側を向いていた手の平を正面に向けるようにして、ふんわりと軽くロッドを握るようにします。
こうすることで、ロッドを細かく震えさせるシェイキングなどのアクションや、竿先をわずかに動かす程度の繊細なアクションも行いやすくなります。
また、余計な力を抜くことで、アタリを感じる感度も大幅に上がり、ロッドを上に向けた時に手の平が正面を向くことで、野球のボールを投げる時と同じように手首のスナップを効かせられるため、鋭くロッドを動かしてルアーにキレのあるアクションを出しやすく、瞬間的なアワセ(魚の口に針を掛けること)も行いやすくなります。
ちなみに、私がジグヘッド単体の釣りで使うタックルは以下の通りです。
【ロッド】ダイワ「月下美人 EX 66L-S 凛(RIN)」(6万8000円)
【リール】ダイワ「エアリティLT2000S-H」(10万2000円)
【ライン】ダイワ「月下美人 TYPE-E 白 1.25lb」(1750円/200m)
【リーダー】ダイワ「月下美人フロロリーダー 3lb.」(1240円/30m)
ロッド、リールともに最上位機種のためお値段は張りますが、超軽量&高感度の間違いなく最高のアジングタックルです。
アジングでは、写真のようにギュッとロッドを握ってしまうのはNG。
キャスト時はこの状態で人差し指の指先にラインを軽くかけて投げますが、釣る際にそのまま同じようにロッドを持つと、細かいロッド操作がしにくいです。また、強く握ると小さなアタリを感じ取りにくくなってしまい、感度も落ちてしまいます。
さらに、手の平が内側を向いた状態では手首のスナップを効かせにくいため、アクションやアワセも行いにくくなります。
ルアーをキャストするとリールからラインが出ていきますが、人差し指をリールのスプール(糸を巻きつける部分)に当てて、出ていくラインにブレーキをかけるのが「サミング」です。
アジングでのサミングは、キャスト時に余分なラインを出さないようにするのが主な目的。ルアーが着水してからもリールのベールをそのままにしておくと、ラインはパラパラと出て行ってしまいます。ルアーが着水したらすぐにサミングをすれば、余計なラインが出ずに、すぐにリトリーブを始められて、ラインを素早く張れるため、ルアーが沈んでいく途中のアタリをとりやすくなります。
無風であれば、サミングしなくてもさほどラインが出ることはありませんが、特にサミングが重要になるのが風の強いとき。
ルアーの着水後にリールのベールを戻すのが遅れてしまうと、ラインはあっという間に流されて、大量の糸フケ(糸のたるみ)が出てしまいます。
糸フケがありすぎるとアタリをとれず、風で流されたラインにルアーが引っ張られていき、思うようにルアーを操作できなくなるので、サミングでそれを防止するわけです。
サミングの方法は、人差し指で行う他に、もう片方の手の親指や人差し指を使ってもOK。
ちなみに、サミングは他にもルアーの飛距離をコントロールしたり、着水直前にラインを止めて着水音を小さくしたりするときにも使います。
現在のアジングでは軽めのジグヘッドリグをゆっくり、ふわふわと操作して、小さなアタリでも感度の高いタックルで感じ取り、アワセを入れていくのが主流になっています。
そのため、ロッドは上向きにして釣りをするのが基本になります。
ロッドを上向きにすることのメリットですが、
・アタリをとりやすい
・アワセをしやすい
・ジグヘッドをよりゆっくりと落とせる
などがあります。
まず「アタリをとりやすい」理由は、ロッドとラインの角度が直角になるため。
アタリなどでラインが引かれた時に、もっとも竿先が曲がる角度が直角になり、ロッドでアタリを感じ取りやすいのが、ロッドとラインが直角の90度ほどといわれています。
魚がルアーを食べてラインが引っぱられるアタリや、魚が食べた後に手前に来るなどで逆にテンションが抜けるアタリなど、そのようなラインを伝わってくるシグナルが竿先に現れやすく、結果的に感度が良いということになります。
もしロッドとラインを一直線にしてしまうと、魚がラインを引いてもロッドは曲がらず、ロッドにアタリのシグナルが伝わりにくい状態です。
厳密には、このような時でも、リールの巻き抵抗の変化でアタリを判別できるのですが、これはロッドでアタリを感じるよりもかなり難易度が高くなります。
「アワセがしやすい」というのは、ロッドを立てた状態(といっても、ラインと90度程度の角度にすると45度くらい)だと、例えばロッドを真上までアワセた時でもアワセしろが充分あり、素早く鋭いアワセがしやすくなります。
「ジグヘッドをよりゆっくりと落とせる」というのは、ラインに角度がつくことで、ジグヘッドが沈もうとする力を相殺でき、より沈みが遅くなります。沈むのが遅くなるとスローに攻めることができ、水中では波や流れでソフトルアーに浮遊感が生まれるため、よりアジがバイト(魚がルアーを食べること)しやすくなります。
以上のような理由から、アジングではロッドを上向きにして釣りをするのが基本となります。
アジングではロッドを上向きにするのが基本と解説しましたが、すべての状況でそれがベストというわけではありません。
その最たるものが、風のある時です。
ロッドを上向きにすると、空中にあるラインの部分が多くなり、風の影響を大きく受けてしまい、釣りをとても行いづらくなります。
そこで、風の影響を最小限にするために、ロッドを下向きにしてラインを海面につけるようにします。
ラインが海面についていれば、風の影響を大幅に減らせて、その先にあるジグヘッドの操作もしやすくなります。
この時もラインとロッドの角度を90度程度にしておけば、感度を保てて、アジの小さなアタリを感じることができます。
ただし、アワセが少ししにくいのがデメリットです。足元には堤防があるためアワセしろがなく、強くアワセてしまうと堤防にロッドをぶつけてしまうことにもなりかねません。
ですので、ロッドを下向きにしている状態でアワセる時には、リールをクルッと巻きながらの「巻きアワセ」がオススメです。
ロッドをあおって(上に上げること)ラインを引き、魚の口に針掛かりさせるのがアワセですが、ロッドで足りない部分をリールを巻くことで補うのです。
このような対処法を取れば、強い風が天敵となるアジングでも、充分釣りが可能になります。