博多から小倉駅へはJRで約1時間20分、特急を使えば約40分、新幹線なら約20分で到着します。小倉駅北口から小倉港方面に向かいましょう。
駅から目的の「小倉渡場」までは徒歩5分となっていますが、もう少し時間に余裕を見ておいたほうが安心です。
小倉渡場に着いたら待合所で切符を購入し、乗船を待ちましょう。小倉~藍島は往復800円。なかなかリーズナブルですね。
夏場は海水浴や釣り客も多く、この日も筆者が乗った便に50名近くが乗船していました。
藍島までは約40分のクルージング
小倉からまずは馬島を目指して出発です。
この日は天気も良く、まさに夏!
途中、貨物船と並走したり、どんどん離れていく工場地帯を眺めているうちに、約30分で馬島に到着。さらにそこから10分で、目的の藍島に到着します。
乗船場には、夏休みで帰省してきた家族を待つ島の人の姿が多く見受けられました。
さっそく、ねこ歩きのスタートです!
藍島では50メートル間隔でネコに遭遇
藍島は漁業が中心の島で、主に鯛・アワビ・ウニ・サザエが漁獲されています。2016年の調査では、人口は285人。自動販売機はありますが、飲食店はありません。
のどかな場所だなと思いながら歩いていると、第一島ネコをフェリーの待合所で発見。
島に上陸して1分でネコに出会うとは、さすがネコ島。この子は待合所に来る人に餌をねだっていましたが、実はこの島、定められた場所でしか餌をあげてはいけないのです。餌をあげていい場所には、こういった張り紙があります。
これも人とネコが上手く共存するために定められたルール。島を訪れる人は必ず守ってくださいね。
さて、島のなかを進もうと、50メートルほど歩くと、2匹目の島ネコに遭遇。
手をたくさん怪我しているので、ケンカでもしたのでしょうか。やはり島ネコとはいえ野良猫。大なり小なり怪我をした子が多かった気がします。さらに50メートルほど進むと……み、見られている!
ふと気付くと、視界のなかにネコがいるんです。さすがネコ島。これは東京暮らしの身にはあまり経験がありません。
ここからは島で見かけたネコさんたちの写真をどうぞ。
藍島のネコは一時期よりもかなり減少傾向に
写真を見てお気付きかもしれませんが、この島のネコたちは耳が少し切れています。これは猫を保護し避妊去勢手術を施して戻した印です。そのため、たしかに藍島で子猫に出会うことはありませんでした。
島で商店を営む方に聞いたところ、「ネコの数はどんどん少なくなっている」とのこと。たしかに、日中とはいえ2時間ほど島の住宅街を歩き回って、筆者が遭遇したのは30匹程度だったのです。ピーク時には300匹いたと聞いていたので、随分少ないと感じていました。
実際、インターネットでこの島について調べると、ネコ島としてブームになったことで、観光客によるマナーのない餌やりや住居の敷地内への勝手な侵入、増えすぎたネコたちの糞尿が問題になったようです。その結果、ネコたちの数をこれ以上増やさず、将来的にはゼロを目指すことが決められました。
もともとは漁船に穴をあけるネズミを捕獲する猫を大事にしてきたという背景と、島にはほとんど車がなく、天敵もいないため、繁殖しやすかったことが藍島でネコが増えた理由。単純に「ネコがたくさんいる島なのか!」と興味本位で訪れた筆者も、いろいろ考えさせられました。
先述の商店の方によれば、「隣の馬島にもまだネコはいる」とのこと。せっかくなので、小倉に戻る前に急遽馬島にも立ち寄ることにしました。
馬島のネコはふくふくで人懐っこい!
再びフェリーで馬島に移動。藍島からは約10分です。
馬島は福岡県最小の有人島で、2010年の調査では人口わずか40人。商店や飲食店、宿泊施設は一切ありません。
フェリーを降りて、港沿いを歩いて行くと、さっそく第一島ネコに遭遇しました。
す、すっごい寝てる!
ぱっと見た感じだと、藍島のネコよりも毛艶がよく、ふくふくしています。野良猫というとりも、飼猫の雰囲気すら漂っていました。
続いて、別のネコたちがこちらに向かって歩いてきます。
なんだか美人な雰囲気のネコです。
近くで見ても、やっぱりつやつや。この島の子たちは島民のみなさんに可愛がられているようですね。
馬島も藍島と同様、2014年にNPO団体の支援を受けて、島の全猫に対する避妊去勢手術が行われたそうです。今後、ネコが自然繁殖することはないので、徐々に数が減っていくのでしょう。
今回訪れた藍島も馬島も、どちらも観光地ではなく、島民の方々のゆったりした時間が流れる生活の場です。そんな場所だからこそ、最低限のマナーを忘れてはいけません。とはいえ、都会で暮らす筆者にとって、ひたすらネコを探して、海を眺めるのは貴重な経験になりました。福岡から日帰りで行ける離島で普段とはひと味違った時間を過ごしてみませんか?
(文/今西絢美)
編集プロダクション「ゴーズ」所属。スマートフォンなどのデジタル製品を中心に、アプリや関連サービスに関する記事をウェブや雑誌で執筆中。趣味は食べ歩きで、食にまつわるサービスや製品のチェックがライフワーク。
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