広い車内空間を実現したアウディのプレミアムコンパクト電動SUV「Q4 e-tron」のキモはデザインにあり!

■ユニークなボディデザインと広い車内空間

電気自動車の開発に熱心なアウディ。日本では、大型SUV「e-tron」と「同スポーツバック」、そして、 スポーティな4ドアグランツーリスモ「e-tron GT」に続く第3弾となります。

今回は、MEBと呼ばれるピュアEV専用プラットフォームを使用。日本には夏に導入されたフォルクスワーゲン「ID.4」の姉妹車となります。スタイリングは、VWはVWらしいし、アウディはアウディらしい、と個性がしっかり守られています。

Q4 e-tronでたいへんユニークだと思ったのは、ボディデザインです。Aピラーの付け根がうんと前の方にあります。従来のICE(ガソリンやディーゼルの内燃機関搭載車)ではありえないことです。

実はこれが、アウディによるピュアEVのデザインのミソ。従来ではできなかったパッケージが可能になったことが謳われています。

「車内中央のキャビンスペースは面積が広がり、大きなホイールを外側に出すように設定しました。ボンネットの下にはエンジンがないので、Aピラーは今までよりもぐんと前に。長いホイールベースに大きな車輪、そして短いオーバーハング」

アウディデザインを統括するマルク・リヒテ氏の言葉です。「完全に生まれ変わった新しいプロポーションこそが、電気自動車の大きな特徴なのです」。Q4 e-tronの特徴をそう説明しています。

それがどれだけ私たちのメリットなのか。室内に入ると、すぐにわかります。私はびっくりしました。とりわけ後席の広さ。

「Q3とQ5の間に位置するコンパクトなボディサイズながら、インテリア長はQ5をしのぎ、室内空間、荷室は上位モデルにかなうスペースを実現」しているとは、アウディのプレスリリース中の文言。

ホイールベースは2765mmと、4590mmの全長に対して、ずいぶん長めにとられているうえ、トランスミッションや燃料タンクをクリアするための出っ張りがありません。

前出のリヒテ氏は、審美的な面からQ4 e-tronのいいとこを強調していましたが、機能面でもちゃんと恩恵があるのです。後席は、どちらのQ4 e-tronもスペースがたっぷり。足元の広さは、ビッグサイズな感じです。

運転席は、センタークラスターがドライバーの方に向けられた、いわゆるセントラルテーマが採用されています。10.25インチの計器盤や11.6インチのインフォテイメントシステム用モニター、さらに空調の吹き出し口や、シフターなどのセンターコンソールといったものがひとつずつ、かたまりとして、建築物のように組み合わされています。

基本的には昨今のアウディ車に共通するデザインテーマで、審美性が高い一方、ピュアEVだからといって奇をてらったようなところはありません。ナチュラルな雰囲気こそ、Q4 e-tronが新世代のピュアEVであるゆえんではないでしょうか。

一方、操作の“お作法”は独自。例えば、ドライバーズシートに着席してスタートボタンを押すのは従来どおりですが、ブレーキペダルを踏むだけでシステムが目覚めるのは、実際に使い勝手がよさそうです。

■スムーズな加速とフラットな高速走行

私が乗ったのは「Q4スポーツバックe-tron S line(エスライン)」。S lineはスポーティな仕上げをもっていて、アウディではつねに人気の高いグレードです。

今回日本に導入されたのは「40」なる出力と関連するサブネームを持っています。正式車名は「Q4 40 e-tron」。そのうち、高性能だったり、モーター2基搭載の上記モデル(本国には45クワトロとか50クワトロあり)が導入されるかもしれません。

40が非力かというと、市街地を走った限り、まったくそんな印象はありませんでした。むしろ走り出しは、乗員の頭が後ろにのけぞらないように、アクセルペダルの踏み方を控えめにしてトルクをコントロールする必要があるほどでした。

発進してしまえば、加速はスムーズです。操舵への車体の反応もいいし、ブレーキもしっかりしているうえにフィールもいいので、ドライブに違和感は皆無。どころか、爽快に感じられます。

私がドライブしたS lineは先述のとおりスポーティ仕様なので、専用のバケットシートをそなえているし、タイヤサイズも扁平率の低い20インチです。

タイヤのせいか、市街地の舗装があまりよくない路面だと、ややゴツゴツ感がありました。不快というほどではなく、速度があがっていくと、フラット感がでて、いい感じになります。高速が得意なんだろうなあと思わせられる出来なのです。

フル充電からの航続距離は594km(WLTC)。アウディ日本法人はいま、ポルシェとVWの日本法人とともに、CHAdeMO規格150kWの急速充電器を設置したディーラーを拡充中なので、そもそも長い距離走れるうえに、旅先での不安がけっこう安らぎそう。

フロントカメラ、車体前後の中距離レーダーと超音波センサー、車体前後と左右ミラーに計4つの360度周辺環境カメラを搭載。

従来のアダプティブクルーズコントロールとアクティブレーンアシストを統合した「アダプティブクルーズアシスト」、死角を並走する車両を検出する「アウディサイドアシスト」、後方から近づく 自転車や車両をセンサーで監視する「エグジットワーニング」などもそなえています。

価格は、ベースモデルといえる「Q4 40 e-tron」が599万円。装備が豊富になった「Q4 40 e-tronアドバンスト」が662万円、さらにスポーティな「Q4 40 e-tron S line」が689万円です。

スポーツバックボディでは、「Q4スポーツバック40 e-tron」は688万円。今回乗った「Q4スポーツバック40 e-tron S line」は716万円です。

【Specifications】
Audi Q4 Sportback 40 e-tron
全長×全幅×全高 4590x1865x1630mm
電気モーター1基 後輪駆動
最高出力 150kW
最大トルク 310Nm
バッテリー容量 77kWh
航続可能距離 594km(WLTC)
価格 688万円

>> アウディジャパン Q4 e-tron

<文/小川フミオ、写真/五十嵐真(igasta)、アウディジャパン>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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