■1つのボディに最大トルクの違う2モデル用意
日本にはモーター1基の後輪駆動のみ、という点で、ID.4とQ4 e-tronは共通です。ただし後者では、SUVタイプとクーペSUVタイプ、2つのボディが用意されるのに対してID.4はひとつ。
一方、Q4 e-tronは「40」なる最高出力150kWと最大トルク310Nmのモデルのみの設定ですが、ID.4は2モデル。
「ID.4 Lite Launch Edition」と、「ID.4 Pro Launch Edition」の2モデル。前者は、52kWhの駆動用バッテリーを搭載し、125kW の最高出力と 310Nmの最大トルクです。
ID.4 Pro Launch Editionは、より出力が上がります。77kWhのバッテリーで150kW と 310Nm。アウディと同等です。
巡航距離も、「ライト」と「プロ」とでは異なります。前者の388kmに対して、後者は561km(ともにWLTC)。130万円を超える価格差と、日常的な使い勝手で選べるようになってます。
■期待以上にスポーティな「ID.4 Pro Launch Edition」
今回はプロをドライブしました。印象は、ひと言でいうと、期待以上にスポーティでした。
静止から時速100kmまで、2140kgの重量をものともせず、8.5秒で加速させる力強い加速感は、ピュアEVの面目躍如です。
操舵による入力に対して、車体が反応する時間は速く、運転を楽しませようという意図がはっきり感じられます。
乗り心地はやや硬めで、高速道路でそれが顕著でしたが、これはフロントが235/50、リアが255/45という20インチタイヤのせいでしょうか。扁平率60パーセントの18インチタイヤを履いたライトを試せていないのが残念です。
「重量のあるバッテリーを前後アクスル間のアンダーボディに格納することで車両の低重心化と最適な前後重量バランスを実現」というのが、メーカーが挙げる特徴。確かに安定感はかなりあります。
風切り音や路面からの侵入音はしっかり抑えられていて、かつ室内は広く、エンジンや大型のトランスミッションを持たないピュアEVの特長をしっかり感じられました。
■計器盤は小さく必要最小限に
ダッシュボードの造型も、私が好きな点です。計器盤は小さくてシンプル。このところTFT液晶の大きさ競争が続いていただけに、必要最小限の情報だけ表示するほうが、デジタル時代に合っているように感じられます。
デジタルキーを持っていれば、シートに着座してブレーキペダルを踏むだけでシステムが起動。変速機はダッシュボードから生えているレバーをひねるだけ。
新しいけれど、使い勝手の良さが最優先でデザインされているようなコントロール類の数かず。ここも、こなれた感があって、好感度ポイント大です。
日本には「ID.4 Lite Launch Edition」(499万9000円)と、「ID.4 Pro Launch Edition」(636万5000円)が導入されました。
Launch Editionの特徴は下記となります。買取価格保証型残価設定ローン「フォルクスワーゲン ソリューションズ」の5年後特別残価設定、家庭用普通充電器設置費用10万円サポート、PCAの年会費ならびにフォルクスワーゲン販売店における充電器ご利用料金毎月60分までを1年間無償。
PCAとは、アウディ、ポルシェ、フォルクスワーゲンの3ブランドによる独自の充電ネットワーク「プレミアムチャージングアライアンス」のことです。
12月には、しかしながら、商品がはやくも品薄となったため、フォルクスワーゲンジャパンでは、「Launch Edition」に代わり、「標準グレード」を「Lite」と「Pro」に設定すると発表。
標準グレードは2023年以降生産モデル。バッテリー容量などはLaunch Editionと同等。ただし、制御にかかわるハードウェアおよびソフトウェアの改良により、航続距離をさらに延伸しているのです。
「Lite」では388kmが435kmに、「Pro」は561kmが618kmにと、けっこう伸びてます。いっぽうで、特別な残価設定ローンと、普通充電器設置費用サポートは廃止。
標準グレードの価格は「Lite」が514万2000円、「Pro」が648万8000円になります。独自の充電ネットワークにおける急速充電器利用料金の60分/月無償提供(登録から1年間)は標準モデルにおいても一部内容を変更して継続とのこと。
【Specifications】
☆Volkswagen ID.4 Pro Launch Edition
全長×全幅×全高 4585x1850x1640mm
電気モーター1基 後輪駆動
最高出力 150kW
最大トルク 310Nm
バッテリー容量 77kWh
航続可能距離 561km(WLTC)
価格 636万5000円
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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