■薪ストーブなのに箱形じゃない
「FIRE PIT-40」は3つの使い方ができるわけで、3つのユニットに分かれています。一番大きなBユニットにすべてのパーツが入るので、コンパクトに収納できるんですよ。
AユニットとCユニットをひっくり返して、Bユニットの上に載せるという収納方法。脚や丸い五徳を紛失しないよう注意が必要です。
■Bユニットの有無で表情が変わる焚き火台
Cユニットだけならシンプルなオープントップの焚き火台、その上にBユニットを載せると、みんな大好きな二次燃焼型たき火ボックスとなります。
Cユニットに脚を取り付け、ロストルを置くだけで焚き火台が完成します。長さ35〜40cmの市販薪を切らずに載せられるので手間いらず。
ファイアグリルみたいな浅いベースに大きめの穴がついたロストルを載せ、さらに2面に開閉できる空気孔を備えています。だからよく燃える!
脚は蝶ねじでCユニットの底に取り付けます。万一蝶ねじをなくしても、ホームセンターで購入できますが、組み立て前だと悲惨です。地面には熱が伝わりにくい高さですが、蝶ねじ紛失予防のためにも大きめの焚き火シートを広げ、その上で作業するといいでしょう。
Cユニットの底に敷いていたロストルを取り外し、Bユニットを置いて箱形焚き火台に。2面が二重壁になっていて、Cユニットの空気孔を開くと二次燃焼がおきるというユニークな焚き火台です。
ほぼ同じ量の薪を使って焚き火をしました。Bユニットを載せると風の影響を受けにくく、炎も豪快。写真ではわかりづらいのですが、二次燃焼も確認できました。
専用オプション「EX-OPTION」は2段スタンドと五徳のセット。Cユニットに蝶ねじでスタンドを取り付けて高さをかせげば、極太の薪をくべて料理ができます。
BユニットとCユニットは、高さが違っても幅と奥行きはほぼ同じなので、Bユニットにも五徳を載せられます。この場合はスタンドは不要です。
いろいろアレンジできる「FIRE PIT-40」ですが、スタンドは蝶ねじを使って固定するし、Bユニットを載せるにはCユニットのロストルを取り外す必要があるわけで、焚き火途中で「やっぱり箱形にしたいからスタンドをはずそう」なんていうときは焦り禁物。冷めるまで待たないと危険です。
■薪ストーブは煙突の延長も可能
最後にAユニットを載せれば薪ストーブの完成です。φ6cmの煙突が3節で、スパークアレスター付きを一番上、ダンパー付きをAユニットの穴に差し込みます。
重厚感あるつや消しブラックボディですが、じつはこれ、ステンレスに耐熱塗装をかけていて、総重量は8.54kg。似たサイズの鉄製薪ストーブに比べると、かなり軽くなっています。
さらに3つのユニットに分けて持てるし、各ユニットにはワイヤーの持ち手が付いていて、組み立て・撤収時にがっちり持てる。そのおかげで思った以上に楽に扱えるんです。
Aユニットを裏返すとバッフルプレートが付いていることがわかります。Bユニットで二次燃焼を促し、Aユニットで効率よく空気の流れを生み出すというわけ。
煙突にはスパークアレスターが付いていますが、バッフルプレートのおかげでダンパー全開時でもより火の粉が飛びにくく、雨の影響を受けにくくなる点も見逃せません。
ご存じの通り、煙突は長いほどよく燃えます。オプションの煙突で延長可能ですが、長くなるほど不安定になるもの。煙突の雨よけには穴が空いていて、ワイヤーを通してペグで固定できるようになっています。ワイヤーは煙突の長さに合わせたモノを自分で用意しましょう。
ちなみにオプションで煙突カバーもありますよ。
薪ストーブに火を入れると、最初は本体から煙がたちます。「組み立て式は結局、煙が漏れるのか」と落胆しましたが、これは製造過程でついた油脂のせい。最初の30〜40分は少量の薪で油脂を燃やし尽くします。こうしておけば、その後は本体から煙が立つことはほぼありません。
トビラには耐熱ガラスが装着されています。内側にはガードが付いていて、そのおかげで煙突収納時に傷がつかず、また長い薪でも安心してくべられます。
コンパクトな薪ストーブはたくさんありますが、庫内が狭く燃焼時間が持続しないし、熱対流も起こりません。とはいえ庫内を広くすると、燃焼時間が長くなって対流が起こりますが、大きく重く、持ち運びに不便。
コンパクト性と広い庫内という相反する部分を解決している。これが「FIRE PIT-40」最大の特徴です。
ちなみに天板の丸いふたをあけ、付属の五徳を載せて調理をすることもできます。底が丸い中華鍋なら、五徳を使わずそのまま穴に載せてもよさそう。
「FIRE PIT-40」は1台3役、真冬だけでなくオールシーズン活躍します。しかもメインともいえる薪ストーブは、二次燃焼、バッフルプレート、エアーカーテンなど大型薪ストーブに引けを取らない機能を搭載していて満足度高し。使用後は本体丸ごとではなくBユニットだけをひっくり返せば、灰をきれいに取り除けます。軽くて作業しやすいのは本当にありがたい!
「FIRE PIT-40」はなかなかの価格ですが、オールステンレスの薪ストーブで、2種類の焚き火台も付いていると考えれば、かなりオトクです。デイキャンプはCユニットだけにするなど、季節・目的にあわせて身軽に持ち運べるのも便利。
鎌倉天幕は、有名ブランドのテントを手がけてきたニューテックジャパンが、キャンプ仲間のために作ったレーベル。「FIRE PIT-40」もニューテックジャパン代表が、「コンパクトに収納できて軽い薪ストーブがほしい」と研究を重ねたプロダクトです。
基本的に3つのユニットを順番に載せていくだけなので、組み立て・分解は簡単。次も持って行こう、そう思わせる薪ストーブです。
>> ニューテックジャパン
<取材・文/大森弘恵>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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