■組み立てはブースターのみ
キャンプ用の調理器具というと、ハンドルを取り外してコンパクトに収納できるものが多いのですが、「焚火パラパラ炒飯セット」の中華鍋とオタマはどちらも組み立て不要です。
中華鍋はφ23.5cmで、ハンドルは約14cm。無造作に置いてもひっくり返らない絶妙なバランスとなっています。
オタマのすくう部分はφ7cmで、容量は約50mL。目盛りはありませんが、水やスープを加えるときにおおよその目安になるんです。
オタマと中華鍋の裏には、タキビズムのロゴが刻印されています。
中華鍋の吊り下げ用フックとハンドル、そしてオタマのハンドルは溶接されていてぐらつき知らず。安心して鍋をガチャガチャ振れます。
持ち手はブラックウォールナットで気品があります。ほどよいふくらみがあり、手になじむのもいい感じ。
ブースターは煙突効果によって、炎を集中的に高く上げるためのもの。これだけ3分割になっています。
両端にスリットと突起が付いているので、それらを合わせていくだけ。
ひとつだけ突起に切り込みが入っているので、これを最後に引っかけます。この手の金属プレートを組み立てる製品は、組み立て途中で崩れたり片付けに手間がかかったりしますが、この切り込みによってあまり力をかけずとも組み立て・片付けができるんですね。
タキビズムの「ジカビ」には3つのサイズがありますが、ブースターはいずれの「ジカビ」にも対応しています。シンプルな作りなので、「ジカビ」のようなほかの皿型の焚き火台に載せても使えそう。
ロゴと反対側は、薪をくべられるようぽっかり穴が空いています。
中華鍋の内側にブースター、オタマを重ねられるので、収納サイズは思ったよりもコンパクト。ハンドル部分もすっきりまとめられ、これならわざわざハンドルを取れるシステムにしなくてもいいでしょう。
■ブースターのおかげで調理が楽
焚き火台にブースターを載せて炒飯を作ってみました。中華鍋は1〜1.5人分の炒飯作りにちょうどいいサイズ。2人分でもいけますが、豪快に中華鍋を振り、オタマをガシガシいわせるとご飯が飛び出しそうで気を使います。
ブースターを搭載したおかげでしょう、炎が勢いよくあがります。こうなったら中華鍋をかけて調理開始です。
小ぶりな中華鍋なので腕に負担がかからず楽に扱えます。力の弱い人でも無理なく振れます。それに焚き火の熱が中華鍋の底に集中されるためでしょう、中華鍋のハンドルは短めですが、強火のわりに熱くありません。
ブースターに載せるとこのとおり。安定感が違います。
炒飯は強火で手早く炒めますが、時間をかけて加熱する料理では手を離せるのがいいですね。
ブースターは中華鍋とセット使用が基本ですが、タキビズムの「フライパンディッシュ」を載せても使えるそうです。
適当に作った割りに、パラッとほどける炒飯ができました。
そもそも炒飯がパラパラにならないのは、ごはんのデンプンが溶出してご飯がくっついてしまうからといわれています。料理店のコンロは高火力でデンプンが溶出する前にできあがるし、高温によって油が米をコーティングしてデンプン溶出を防ぐとも。
「焚火パラパラ炒飯セット」の場合、料理店のコンロほど火力を安定させることはできませんが、ブースターによってパワーアップした火が確実に鍋底を包みます。それにほどよいサイズの中華鍋だから、素早く全体に火が通る。理にかなったセットとなっているんですね。
* * *
中華鍋とオタマは、さすがにIHでは無理ですが、自宅のガスコンロでも使えます。
それに、ブースターを使うと薪がよく燃えて燃え残りが少ない! 調理後はブースターをはずして焚き火を楽しみ、焚き火終わりに向けて最後にブースターを載せて一気に燃やし尽くすなんて使い方も。それに分離型シングルバーナーに限りますが、バーナーヘッドだけをブースターの中に入れれば五徳兼風防となり、火力調節しながら炒飯を作れます。思った以上にお得なセットになっています。
<取材・文/大森弘恵>
大森弘恵|フリーランスのライター、編集者。記事のテーマはアウトドア、旅行、ときどき料理。Twitter
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