新型「ルノーカングー」は、耐久性が高く荷物をいっぱい積めて乗用車としての乗り心地も向上

■ガソリンエンジンモデルとディーゼルエンジンを設定

▲「Cシェイプ」デイタイムラニングライトと、クロームで縁取られたグリルで今回は上質感を強調

今回のカングーの特徴は、1.3リッター4気筒ガソリンエンジンに加えて、1.5リッターディーゼルエンジンが同時に設定されたことがあげられます。

車体寸法は、全長が従来型より210mm延長されて4490mm、全幅は30mm拡大して1860mm、全高は据え置きで1810mm。ホイールベースは15mm延びて2715mmになりました。

▲リアコンビネーションランプにも「Cシェイプ」モチーフが採用されている

荷室容量は115リッター増えて775リッターとかなりのもの。しかも隅っこまできちんと使えるような設計が、ルノーの自慢とのことです。

荷室のゲートは観音開き。このあたりの、独特のレトロ感というか、狭いところで使いやすい機能優先のデザインが、また日本のクルマ好きの心をくすぐるのでしょう。

▲リアゲートは左右非対称のサイズの観音開きというのがユニーク

▲荷室は隅まで使えるよう直角を意識した形状

 

■乗用車であることを意識したエンジンレスポンス高めの加速性能

実際に、期待以上によく走ります。ガソリンエンジンは、日産と三菱とダイムラーの共同開発だけあって、実力はすでに実証済みです。ごく低いエンジン回転域からしっかりトルクがでます。

ディーゼルは、先代で限定的に販売したところたいへん好評だったので、今回ラインナップに加えたというもの。こちらも、まったく不満のない性能ぶりです。

変速機は、今回新採用の7段湿式ツインクラッチ式。アクセルペダルの踏み込みに対するエンジンレスポンスを上げるのが目的だったといいます。

すぐ加速に移れるようにでしょうか、1500rpmあたりをキープする設定。実際、ルノージャポンの説明どおり、アクセルペダルを軽く踏み込むだけで、さっと加速します。

ディーゼルエンジンに関していうと、独特の機械音はほとんど意識されないし、好評だったという理由がよくわかります。

意外というか、印象に残ったのは、ハンドリングです。ステアリングギア比が従来型よりクイックになっていて、操舵したときの車体の反応が速く感じるられます。

「今回は乗用車として乗っていただけることをとくに意識しました」というルノージャポンの言葉に納得でした。

■スペースたっぷりの固定式リアシート

シートアレンジは、2列で5名乗車。競合のプジョーリフターやシトロエンベルランゴが3列7人乗りまであって、シートが個別にスライドするのに対して、カングーの後席は固定式。

実はルノー的には、そこもこだわりだとか。シートが固定されているのも、後席用スライドドアが電動でないのも、耐久性を重んじた結果だと説明されました。

▲質感がうんと高くなり乗用車的な印象の前席空間。ホールド性にすぐれるファブリック張りのシートがそなわる

▲後席ドアは左右ともにスライド(手動)で開閉して乗降性を高めている

▲前後のスライド機構などはないがおとなが3人並んで座っていられる

カングーのリアシート、角度は人間工学的に決定したそうです。クッション性といい、快適です。スペースはもちろんたっぷり。

▲先代では限定で発売して人気が高かった「ブラックバンパー」がカタログモデルとして設定された

さて、ガソリンとディーゼル、どっちを選ぶべきか。ーーいい質問です。ガソリン車は395万円、ディーゼル車は419万円。燃費は前者がリッターあたり15.3km、後者が17.3km。

「遠出の多いかたはディーゼル、街中中心のご使用ならガソリン、でしょうか」。ルノージャポンの広報担当者はそう言います。実際、どちらを買っても不満はなさそう。悩ましい選択です。

【Specifications】
Renault Kangoo
全長×全幅×全高 4490x1860x1810mm
ホイールベース 2715mm
車重 1560kg
1333cc 直列4気筒ガソリン 前輪駆動
出力 95kW@5000rpm
トルク 240Nm@1600rpm
変速機 7段ツインクラッチ
価格 395万円

>> ルノー・ジャポン ルノー カングー

<文/小川フミオ>

オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中

 

 

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