シンプルにして合理的。カメラ好きのツボを押さえた良作マルチツール

▲明確なコンセプトが導く合理的なツール配置

4種類あるトルクレンチは同じ側面に収納。M3とM4、反対側にはM2.5と3/16を配しています。使用する機材や仕事にもよりますが、M3とM4の出番は多いと思います。そして、それを交互に使うことも多いと思われます。つまり、M3とM4が同じポイントにあり、それを完全に折りたたむことなく連続して使えます。

プラスドライバーとT25トルクスは、六角レンチとは異なる場所で使われる可能性が高く、反対側に配されたと思われます。ユーザーが実際に手にし、ひとつの作業だけでなく、次の、その次の作業を行う事を考慮したツール配置が特徴です。

またトルクレンチのサイズをよく使うものに限ったのも潔くて良い。選定されているレンチサイズは、カメラアクセサリーを熟知したブランドならではであることも秀逸です。

▲レバーで押してツールを展開

意外とありそうで無かった機能がレバー操作。片手で扱えるのが良いですね。最初は固めですが、一度トルクをかけると馴染みます。ツールを展開しきるとねじれ防止になり、安定した使用感が得られます。

▲幅広い用途のあるスライド式マイナスドライバー

スライド式のマイナスドライバーは、展開を完了すると自動でロックが掛かり、収納する際はリリースボタンを押しながら下げます。親指で操作すると片手で使えます。なかなかギミックが凝っていておもしろい。幅広なのでトルクも掛けやすく、ねじれやガタツキもありません。

▲ボディに開いたネジ穴の謎

ボディにはネジ穴が6カ所開いています。付属品のようなものはなく、ユーザーが自身の工夫でアクセサリーを付けられるようにしたもののようです。持ち運び用のリングホールとかクリップとか、とりあえず外した蝶ネジとか、そんなものを挿しておくのにも便利かと思います。工夫次第ですね。

▲必要なツールを必要なだけ

そして無駄に栓抜きや缶切りなど付けていないのが良い。もちろん、それらがあってもいいのですが、目的がハッキリとしているからこそ、完成度の高さが際立つのだと思います。

丁寧に面取りしたハンドル部、ガタツキのないツール基部、ユーザーの使い勝手を考慮したツールの配置など非常に好感の持てるドライバーキットです。撮影現場でアクセサリーの着脱に困ることのないシンプルにして合理的な構造。ナイフレスなので日頃から気楽に持ち歩けるのも好印象。“何でも使える”だけが「マルチ」じゃない。ユーザーが本当に使えると思える道具こそ「マルチツールである」と示した良品です。

>> [連載]男前マルチツールの世界

<取材・文/GOL

GOL|歯科技工士、ECディレクター、webライターまで幅広く活動しております。指先に伝わるハンドツールの質感や重さ、音などアナログな部分に惹かれて今に至ります。一番好きなのは懐中電灯。

 

 

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