クロカン4WDの頂点に君臨するといっても過言ではない、トヨタ・ランドクルーザー。2023年8月2日に、新型車「ランドクルーザー250」が発表されました。
21年に発売され、いまだに品薄状態が解消されていない「300」に連なるモデルで、従来の「プラド」の後継にあたります。
しかし、「これが本当のド真ん中のランドクルーザー」(トヨタ自動車チーフテクノロジーオフィサーの中嶋裕樹副社長)と、今回のモデルは「250」として新たなラインナップに組み込まれそうです。
つまり、プラドの名前はここで廃止。なんでそうなるかというと、「原点回帰」という言葉を中嶋副社長は使いました。プラドという派生車種を持たない、って意味でしょうか。
もうひとつ考えられるのは、ランクルというブランドを正面に据えての縦展開の計画。まだうわさですけれど、さらに小型のランクルのモデルも予定されているとか。
かつて、三菱はパジェロ全盛期に、パジェロ、パジェロの下に、パジェロ・ジュニアとパジェロ・ミニを展開。そのことが頭をよぎりました。
■現行プラドより洗練された面づくり
発表会でお披露目されたのは、三眼式ヘッドランプと、LEDを丸く配した丸目2灯式ヘッドランプの2台。
スタイリングは、いままでのプラドよりぐっと洗練された面づくりとなっていて、質感の高さは、現行のランドローバー・ディフェンダーを連想させます。
プラットフォームは300と共通。2850mmのホイールベースを持つラダーフレーム型シャシーに、全長4925mm、全幅1980mm、全高1870mmの4ドア+テールゲートのワゴンボディを搭載。
現行プラドと比較すると、ホイールベースは60mm延長され、全長で100mm延び、全幅で95mm拡大し、全高は20mm高くなっています。
ユニークなのは「購入した後で交換可能」というノーズのアイディア。開発を指揮したトヨタ自動車MS(ミッドサイズビークルカンパニー)の森津圭太チーフエンジニアが説明してくれました。
三眼式ヘッドランプの車両を購入したあとで、ディーラーで丸型ヘッドランプに交換してくれるそうです。この説明を受けて「へえー」と、ジャーナリストたちは感心の声をあげていたのが印象的です。
「グローバルで販売しますが、とくに北米ではカスタマイズが人気なので、なるべくそれに対応できるよう考えています」(デザイン担当の渡辺義人主査)
分割式バンパーなど交換可能なパーツが多いそうです。加えて、ルーフ近くのピラーに設けられた切り返しにも注目です。
そこに、渡河用のシュノーケル型の排気管など、アクセサリーが取り付けられるようにしたデザインなのです。
■日本発売はふたつのエンジンタイプ
エンジンバリエーションは多く、なかでも今回、2.4リッターターボを使ったハイブリッドシステム(最高出力243kW、最大トルク630Nm)が話題を呼んでいます。
日本で売られるのは、2つのエンジン。ひとつは2.7リッターガソリン(120kW、246Nm)、もうひとつは2.8リッターディーゼル(150kW、500Nm)。
「エンジンはベーシックなものかもしれませんが、改良を施しているうえ、シャシーが変われば、操縦性がまったく変わることを体感していただきたいと思っています」(前出・森津チーフエンジニア)
並行して、上記のハイブリッドユニットも「日本で販売するため、いま調整中」(森津チーフエンジニア)だそう。
洗練された印象のスタイリングですが、「主要な部分はオフロードでの取り回しを考えてきちんと面取りをしています」と、前出・渡辺主査は強調。
同時に、デザイン統括のサイモン・ハンフリーズ チーフブランディングオフィサーは「泥だらけになってもカッコいいデザインを目指しています」と答えてくれました。
日本をはじめ、グローバルに販売が展開されるのは、2024年。価格は未定。ただし……「なるべく現行プラド(の価格)に引き寄せたものにしたいと考えています」(中嶋副社長)とのことです。
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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