Newインプレッサのボディは、これまでどおり2種類が用意されます。5ドアハッチバックの「インプレッサ スポーツ」と、4ドアセダンの「インプレッサ G4」です。
どちらも、新プラットフォームを得た証拠として、ホイールベースが先代より25mm延びて、2670mmになりました。偶然にもこの数値は、いまだに根強いファンが多い4世代目「レガシィ」(BL/BP型)と同じです。
新型インプレッサのボディは、旧型よりやや大きくなったとはいえ、4世代目レガシィよりはひとまわり小さい。時代とともに、全長に対するホイールベースの比率が大きくなり、併せてキャビンが広くなったわけです。
エンジンは、2リッター(154馬力/20.0kg-m)と1.6リッター(115馬力/15.1kg-m)の2本立て。もちろん、いずれもボクサーこと水平対向エンジンで、前者は直噴化されました。
トランスミッションは、どちらにも“リニアトロニック”ことCVTが組み合わされ、“シンメトリカルAWD”ことスバル自慢のフルタイム4WD、または、FF(前輪駆動)の駆動方式を採ります。
今回、試乗車として用意されたのは、インプレッサ スポーツの2リッターモデル。「早く乗りたい!」と気持ちははやりますが、それをグッと抑え、まずはおさらいとして、従来型インプレッサに乗ってみます。
改めて見ると、外観はややコンサバティブですが、いまだに色あせない、実直なデザインですね。モデル末期になっても人気が衰えなかった理由が分かります。ステアリングホイールを握って走り始めると、いかにも素直でスムーズ。ちょっとしたスポーツ走行も楽しげにこなします。見た目同様、ドライブフィールも、まるで古くなってはいません。
「新型はどれだけ変わっていることやら…」と、懐疑的な気持ちで新型に乗り換えます。ゆっくりと動き出すやいなや…「ややっ!」。なんだかグッと落ち着いた”大人なクルマ”になっています!!
いいクルマは「タイヤのひと転がり目から分かる」といわれますが、感覚の鈍いワタシの場合、フツーは3ないし4転がりくらいしないと判然としません。ですが、Newインプレッサは、それでも如実によくなっているのが分かります。「重厚」と表現すると、スポーティなNewインプレッサにふさわしくありませんが、いわゆる“車格”が上がったかのような、しっかり、カッチリした、クルマ全体の高い剛性感が印象的です。イチから作り直したプラットフォームの恩恵ですね。
サスペンションがよく機能していることも、そして、そのことが鈍めのワタシにも分かることが驚きです。この日はクローズドコースでの試乗でしたが、例えば、従来型ではタイヤが鳴り始めるタイトなコーナーや、少々オーバースピードで突っ込んでアンダーステアを出してしまった(恥ずかしい!)ようなカーブでも、新型はシレッとこなします。
レーシングスピードでカッ飛ぶような走りでなくとも、50、60km/hの常用域でも、足回りがよく動いて、タイヤのグリップをきれいに引き出していることを体感できます。今回、Newインプレッサの試乗車は、タイヤサイズが17インチと18インチの2種類が用意されていたのですが、タイヤそのもののグリップに頼らない前者の方が、動的質感の向上が顕著に伝わってきました。
Newインプレッサの足回りは、セッティング変更はもちろん、ジオメトリーの見直し、例えば、リアのスタビライザーをボディとサスペンションの間のサブフレーム、ではなく、ボディ側に直接取り付けることで効果の最大化を図る、なんてこともやっています。いうまでもありませんが、そうした努力が実るのは、土台となるプラットフォームがしっかりしているからこそ、なのです。
パッと見のルックスは従来モデルのイメージを踏襲しつつも、しかし、内容は劇的に変わっている。クルマの進化をドライブフィールでもって知らしめる、スバル開発陣の意気や良し! インプレッサはいつの間にか、ポルシェ「911」のようなクルマになっていました…というのは、贔屓の引き倒しでしょうか。
<SPECIFICATIONS>
☆スポーツ 2.0i-Lアイサイト(プロトタイプ)
ボディサイズ:L4460×W1775×H1480mm
車重:1320kg
駆動方式:フルタイム4WD
エンジン:1995cc 水平対向4気筒 DOHC
トランスミッション:CVT
最高出力:154馬力/6000回転
最大トルク:20.0kg-m/4000回転
(文&写真/ダン・アオキ)
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