■充電1回あたりの走行距離400km以上!
1充電あたりの走行距離が400kmを超える一方、価格は政府や自治体の補助金を引くと200万円台の車種もあるドルフィン。
だからといって、クオリティに手を抜いている感じはいっさいありません。
なにより感心させられるのは、走りの性能のよさ。加速性能はいいし、乗り心地も快適。そして、ドアの開閉音にはじまり、細部に至るまでの作りこみも上等です。
最高出力70kW、最大トルク180Nmで、1充電あたりの走行距離400kmの標準モデルと、150kWと310Nm、それに476km走れるロングレンジモデル。
BYD車を特徴づけている、このメーカー独自のコンパクトでありながら容量が大きな、リン酸鉄リチウムイオンを使うブレードバッテリー採用です。
■価格が安いだけではない走行性能と乗り心地
BYDは23年初頭に「ATTO3(アットスリー)」という、ひとまわり大きなサイズのクロスオーバー型EVを日本発売しています。
私は、このクルマに乗ったときも、走りの性能に感心した記憶が強く残っています。
ドルフィンは、そのときの印象をいい意味で上書きしてくれました。加速はスムーズ。ドンっと力が出るのでなく、スムーズに気持ちよく速度を上げていきます。
ハンドリングは期待以上で、ハンドルを切るのに合わせて、車体は気持ちよく動きます。このときも、やたらスポーティでなく、自然な動きです。
もうひとつの感心ポイントは、乗り心地。路面の凹凸もうまくこなします。あたりはよく、いっぽう、けっしてフワフワとはしていません。
内装は作りがよく、車体色に合わせて3色用意されています。合成樹脂の部品も、全体に合わせて色合わせしてあるという凝りかた。黒一色なんてことはありません。
装備では、ダッシュボード中央の12.8インチのモニタースクリーンが目を惹きます。iPadのような縦づかいがデフォルトのようですが、電動で90度回転して横型として使うことも可能です。
■“たいていの装備はそなわっている”運転支援システム
安全支援システムと走行支援システムは充実。乱暴にいってしまうと、たいていの装備はそなわっています。
さらに、「ドライバー注意喚起機能」「幼児置き去り検知」「誤発進抑制」「フロントクロストラフィックアラート」そして「フロントクロストラフィックブレーキ」「ペダル踏み間違い時加速抑制装置」などは、先行発売されたATTO3にない、ドルフィン専用です。
価格は、標準モデルが363万円。CEV補助金(65万円)を得られれば200万台で購入可能。自治体からの補助金があれば、さらに安くなります。
ロングレンジは407万円。こちらもCEV補助金(65万円)の対象だし、自治体によっては独自の補助金を上乗せしてくれるところも。
日本には、23年10月にまず標準モデルの「アーバングレー」車体色のモデルが導入される。続いて11月に標準モデル(「コーラルピンク」と「サンドホワイト」)とロングレンジ(「スキーホワイト/アーバングレー)。ロングレンジの残り3色は12月だそう。
【Specifications】
BYDドルフィン「ロングレンジ」
全長×全幅×全高:4290x1770x1555mm
ホイールベース:2700mm
車重:1530kg
駆動形式:前輪駆動
出力:150kW
トルク:310Nm
一充電走行距離:476km
価格:407万円
>> BYD DOLPHIN
<文/小川フミオ>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
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