特殊部隊用ナイフを起源とする“SOG”の無骨で小さなマルチツール「POWERPINT」

▲ミニサイズながらプライヤーは高性能

本体素材はステンレス鋼。プライヤー先端部の幅は約2mm。ストレートタイプのプライヤーではかなり細い部類です。内側には滑り止めの溝が刻まれ、中心部にボルトを掴むグリッパー、基部にワイヤーカッターを備えてます。

小さなハンドルにも関わらず、力を込めて握ると微かにしなり、しっかりと対象を掴めます。このわずかな「しなり」は、ねじる時も切る時も有効に働きます。最近のマルチツールはバネを内蔵してこの効果を得ようとするものが多いのですが、単純に掴んで保持する作業であれば、私はこちらが好みですね。

▲充実したハンドル外側のツール類

ハンドルを閉じた状態でも10種のツールが使えます。全体的に小さなツールになるので細かな作業に適しています。とはいえ、さすがにドライバー類は小さなビスくらいしか回すことができません。その代わりに別売のビットキットが用意されています。

▲拡張性の高いビットキット(別売)

ハンドル基部にある左右の歯車はコンポジットレバレッジ(訳すと複合的てこの原理?)と言い、ハンドルの開閉をスムーズに行うための補助装置です。この基部の間にヘキサタイプのビットを差し込んで閉じることでドライバーへと変身します。よく使うビットであれば差し込んで持ち歩いても良いかも。

▲鋭さ充分のナイフ

ナイフの製造が母体のブランドだと切れ味に対する評価が辛口になる傾向があり、SOGもそんなブランドのひとつなのですが、個人的には刃渡り5cm程度のナイフであればこんなものだと思います。充分切れるし使えます。先端部は尖っており、木や皮に穴を開ける作業にも適しています。

▲安全で便利なロックシステム

ハンドル外側にあるツールは、その内側にある黒いレバー式のロックで管理されていて、ツールを開き切ると自動で固定されます。外側にあるすべてのツールに対してこのロック機能が働きます。解除する際は、黒いレバーを押し下げながらツールを折りたたみます。ハンドルを閉じた状態で押しにくい場合は、ハンドルを少し開いて押すとやりやすくなります。

▲もう少し開きませんか?

そしてマルチツールでは定番のミニハサミ、なのですが、このサイズのモデルに付いていることは稀です。ほつれた衣服の糸を切ったりするのに便利ですが、ハサミの開きがとても狭い。糸や紙を切るならこれで充分ですけどね。あまり太いものや厚いものは切らないでね、という意図を感じます。

▲把持力のあるクリップ

SOGのロゴが付いたクリップはグリップ力があり、布にもベルトにもしっかりと固定できます。軽量でコンパクトなアイテムなので嵩張らず重くないので身に着けていても苦になりません。

*  *  *

長いことマルチツールを紹介していましたが、SOGを紹介したのは初めてでした。やっぱりカッコいいな!と改めて関心しました。ストーンウォッシュの無骨な表面仕上げ、使用目的に対して過不足ないスペック、何よりもツールの出し入れが非常に滑らか。これらは使い込むユーザーであれば非常に重要なポイントでしょう。軽量、コンパクトでありながら日常の様々な状況に対応できる非常に優れたマルチツールです。

>> SOG Specialty Knives & Tools(本国サイト)

>> [連載]男前マルチツールの世界

<取材・文/GOL

GOL|現在、東京近郊の山村と都会で二拠点生活をしています。ライター業がメインですが、地方の魅力発信にも力を入れています。実地でのレビューがしやすい環境を活かしてアイテムを紹介していきます。

 

 

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