【Check 1】外見と装着感
実は Bose「QC Ultra Earbuds」とApple「AirPods Pro 2 USB-C」両機種とも先代からデザインの変更はありません。
「QC Ultra Earbuds」はサイズが大きく見えますが、イヤーピースが浅くBose Fit Kitというバンドでガッチリと固定する形式。
「AirPods Pro 2 USB-C」は耳にかけるイメージ。両機種とも操作はタッチセンサー式で、上下フリックで音量調整が可能などひと通り機能は揃っています。
「QC Ultra Earbuds」はランニングをしても落ちない固定重視。「AirPods Pro 2 USB-C」は、着け外しの簡単さやラクさの面で優位です。
【Check 2】充電ケースとバッテリー性能
「AirPods Pro 2 USB-C」が名前通りにUSB-C端子搭載となり話題となった充電ケース。もっとも、Boseは前世代からUSB-C端子なので業界標準に揃ったと捉えていいでしょう。
ただ充電端子以外には違いがあります。「AirPods Pro 2 USB-C」は、MagSafeやQi規格のワイヤレス充電もできる上に超コンパクト。「QC Ultra Earbuds」はサイズが大きい上にワイヤレス充電非対応。ワイヤレス充電が可能になる「Bose ワイヤレス充電ケースカバー」も登場しましたが、別売り7150円といいお値段だったりします。
バッテリーの仕様は、「QC Ultra Earbuds」がイヤホン単体で最大6時間(Immersive Audioモードを使う場合は最大4時間)の連続再生、充電ケース込みで最大24時間。
「AirPods Pro 2 USB-C」はイヤホン単体で最大6時間再生(空間オーディオとヘッドトラッキングを使うと最大5.5時間)、ケース込みで最大30時間再生です。
バッテリー周りは、充電の自由度や取り回しの良さなどで「AirPods Pro 2 USB-C」が便利ですね。
【Check 3】ノイズキャンセル性能
「QC Ultra Earbuds」と「AirPods Pro 2 USB-C」ともに、ノイズキャンセルに対応しています。自宅デスクで騒音低減をチェックしてみると、どちらもPCのファン音などはほぼ聞こえないレベルで優秀でした。
難易度の高い電車内の騒音低減は「QC Ultra Earbuds」の優秀さが際立ちます。電車走行時の重低音がほとんど消えるだけでなく、ガタガタと聞こえる音、車内アナウンスまで遠くに追いやるような強度。前モデルからレベルアップしているようです。
AirPods Proシリーズは発売後のアップデートで騒音低減の強度や挙動が変化していて、今回の「AirPods Pro 2 USB-C」で試した最新の効果では、低域は強いが中高域は電車内の騒音には負け気味。
2機種を比べると、ノイズキャンセルは「QC Ultra Earbuds」ほうが強力です。
また、「AirPods Pro 2 USB-C」には新機能として“適応型オーディオ”が追加されました。これは実際に試すと、弱めのノイズキャンセルのような働きでした。
一方「QC Ultra Earbuds」はアプリから11段階でノイズキャンセル/外音取り込みの度合いを調整してプリセット登録できます。これらカスタマイズ自由度でも「QC Ultra Earbuds」がリードしています。
【Check 4】外音取り込み性能
ノイズキャンセルとは反対に、周囲の音を聞く「外音取り込み」機能を活用したいシーンもあります。
「QC Ultra Earbuds」の外音取り込みは、前モデルから自然さがアップして、以前のような高域部が強めに聞こえるクセもなく、周囲の音が聞こえるようになりました。
一方「AirPods Pro 2 USB-C」の外音取り込みは極めて自然で、イヤホンを着けていない時と違いが分からないレベル。
「QC Ultra Earbuds」と「AirPods Pro 2 USB-C」、どちらも空間を感じられるし、外音取り込みは自然です。強いて良し悪しを決めるなら、「AirPods Pro 2 USB-C」のほうが中高域側の聞こえ具合が自然で、若干リードしているといったところでしょうか。
【Check 5】音楽リスニングの音質
そして気になる音質。まずはiPhoneで宇多田ヒカル『badモード』を聞いてみます。
「QC Ultra Earbuds」はディープな重低音に空間の遠くに歌声を浮かぶ、臨場感重視のサウンド。これは前モデルと同じです。
「AirPods Pro 2 USB-C」は若干シャープで伸びやかな高域や女性ボーカル、強めのリズムの刻みとナチュラルにひと手間加えたサウンドです。
なお「QC Ultra Earbuds」は、最新のAndroidスマホで採用されているaptX Adaptiveコーデックに対応しています。対応スマホ「Xperia 1Ⅳ」で聴くと、ベースの低音も引き締まる上に中高域もクリアになり音質がアップします。
両機種とも音質は最高というほどではなく、iPhoneユーザーがどちらを求めるかは好み次第。ただ、aptX Adaptive対応Androidスマホでの音質アップは大きいので、該当ユーザーなら「QC Ultra Earbuds」は選ぶ価値アリですね。
【Check 6】空間オーディオ
「QC Ultra Earbuds」注目の新機能が“Bose Immersive Audio”です。ヘッドトラッキング対応で、コンテンツ問わずスピーカーで聴くような立体音響を実現する機能になります。ただこれはイヤホン側の後処理機能です。一方のAppleは、業界に空間オーディオを広めた本家本元。Apple MusicではDolby Atmos音源とデコードまで提供しています。
そこで、Apple Musicで空間オーディオ対応で提供されているAdo『クラクラ』を聴いてみます。
「QC Ultra Earbuds」の“Bose Immersive Audio”は空間に音源がクリアに浮かぶ感じで、低音の迫力まで表現。ヘッドトラッキングも的確で、予想以上に魅力的なサウンドです。
「AirPods Pro 2 USB-C」は、これまで通り音を空間に散りばめる正確さ重視のサウンドになります。
音楽体験での空間オーディオは、正しさで考えると「AirPods Pro 2 USB-C」、のはずですが、体験としてはどちらを選ぶか好み次第。ただNetflixやPrimeVideoなど動画サラウンドの用途なら、背後まで音の回る「AirPods Pro 2 USB-C」が優秀でした。
【Check 7】通話マイク性能
通話マイク性能は、Zoomのオンライン会議で録音した音声を聴き比べしてみました。
「QC Ultra Earbuds」は声に厚みのあるサウンドで、元のマイク音質は良さそう。ただ、騒音が入るとデジタル処理のノイズが入るため、聞きにくくなる所がありました。
「AirPods Pro 2 USB-C」は人の声をクリアに拾っていて、通話用の音質としては聞き取りやすさがとても優秀。騒音が入っても低下が小さく、実用性では「AirPods Pro 2 USB-C」が優秀でした。
<取材・文/折原一也 取材協力/Bose>
折原一也|1979年生まれ。PC系出版社の編集職を経て、オーディオ・ビジュアルライター/AV評論家として専門誌、Web、雑誌などで取材・執筆。国内、海外イベント取材によるトレンド解説はもちろん、実機取材による高画質・高音質の評価も行う。2009年によりオーディオビジュアルアワード「VGP」審査員/ライフスタイル分科会副座長。YouTube
【関連記事】
◆iPhone15と同時にUSB-C化した「AirPods Pro(第2世代)」レビュー。音質やノイキャン性能の違いは?
◆ソニー「WF-1000XM5」全方位レビュー。アップル「AirPodsPro(第2世代)」、テクニクス「EAH-AZ80」と比較も
◆2023年完全ワイヤレスイヤホン最強候補、テクニクス「EAH-AZ80」レビュー。アップル、BOSE、ソニーと比較も
- 1
- 2