■LEXUS初採用の“E-KDSS”で操縦安定性と悪路走破性を両立
GXは、今回で第3世代。これまで、ランドクルーザープラドのレクサス版ともいえ、日本市場での発売はありませんでした。
今回はプラドがランクル250に名称変更されたのと機を一にしてのモデルチェンジで、日本でも発売されます。
注目点はそれだけでありません。シャシーや足まわりに独自の技術を投入しているのです。
内容的なコンセプトは「各部位の高剛性化やEPSの採用などによりもたらされるリニアなステアリング応答性など、本格オフローダーでありながらもLEXUSらしい乗り味を実現」とされます。
とりわけ、強調されているのは、LEXUS初採用のE-KDSS(Electronic-Kinetic Dynamic Suspension System)。
スタイビライザーは、左右のサスペンションをつなぎ、動きをある程度抑制して操縦安定性を向上させるのが役目。
実は、高速道路などの操安性と、悪路での走破性は背反する関係にあります。昔のランドローバーやレンジローバーはスタビライザーをあえて持たず、悪路ではうんとサスペンションが伸びて路面を捕まえて離さなかったのをおぼえています。
その反面、高速道路では“矢のような直進性”というわけにはいかず、ある範囲内ですこしずつ蛇行するように動きながら走っていく独特の走行性でした。
E-KDSSは、走行状況に応じて、電子制御でスタビライザーをオンあるいはオフにするシステム。あいにくオンロードでの走行は知りませんが、悪路のモーグルや岩石登坂路で駆動力をしっかり発揮してくれました。
同時に、新型GXはステアリングシステムが、現行の油圧式から電動式に変わります。これも悪路での操作性向上に大きな役目を果たしています。キックバックといって、路面の影響でハンドルが左右にとられることを、極力抑える働きを見せてくれました。
■「いかなる環境でも、快適な移動体験を提供」というレクサスの精神が期待を高める
フレームは従来どおり、セパレートフレーム式。悪路走破性を考慮しての設計を捨てないのは、さすがです。ランドクルーザーだってレンジローバーだって、悪路走破性はつねに前面に押しだしています。それを連想しました。
GXは、機能主義的といってもよい、ダッシュボードをはじめ、前後席の空間づくりですが、それでいて、シートにはたっぷりしたクッションが入っていて快適。
「いかなる環境でも、快適な移動体験を提供」するというレクサスの言葉もあながち誇張ではなさそうです。
このさきマーケットに登場するモデルには、3.5リッターV6ツインターボと、2.4リッターターボ4気筒ハイブリッド、2つのドライブトレインが搭載されるといいます。
私が乗ったのはプロトタイプなので量産モデルとは異なるかもしれませんが、GX550というネーミングからして3.5リッターではないかと思われます。トルクがたっぷりあって、ほとんどアクセルペダル踏まずに、急な登坂路をぐいぐい行きました。
一方、2.4リッターターボハイブリッドは、クラウンクロスオーバーをはじめ、いくつものモデルで、実力を発揮してくれているスポーティなユニット。
2つともパワフルなユニットなので、どんな走りを体験させてくれるのでしょう。いろいろ、楽しみが詰まっているような、次世代レクサスGXです。
【Specifications】
全長×全幅×全高:1950×1980×1865mm
ホイールベース:2850mm
エンジン:3.5リッターV6ツインターボ、2.4リッター直4ターボハイブリッド
※その他の詳細は未発表
>>レクサス GX
<文・写真(一部)/小川フミオ、写真/レクサスインターナショナル>
オガワ・フミオ|自動車雑誌、グルメ誌、ライフスタイル誌の編集長を歴任。現在フリーランスのジャーナリストとして、自動車を中心にさまざまな分野の事柄について、幅広いメディアで執筆中
【関連記事】
◆クルマ好きの心をくすぐる加速感!レクサス「IS500 F SPORT Performance」は俊敏で立派なスポーツセダン
◆5代目の新型「レクサスRX」は個性が異なる3モデル!搭載エンジンの違いとそれぞれの乗り心地は
◆クロカン4WDの頂点!新たなトヨタ「ランドクルーザー250」は"本当のド真ん中"
- 1
- 2