【ボルボ V60 ポールスター試乗】サーキット直結ワゴン。その走りは想像を超えていた!

北欧随一のハンサムカーを用いた60系のスペシャルバージョンは、従来の3リッター直6ターボ(350馬力/51.0kg-m)に代わり、今回から、新世代の2リッター直4“Drive-E”ユニットを搭載します。

ボルボ V60 ポールスター

ターボチャージャーの大型化、スーパーチャージャーの強化、吸排気系のチューンに、コンロッド、カムまで変更してハイブースト化を実現。最高出力367馬力(T6 AWD Rデザイン比で61馬力アップ)、最大トルク47.9kg-m(同7.1kg-mアップ)を得ています。

エンジンアウトプットの増大に合わせ、燃料ポンプも大容量化しするという抜け目のなさ…と聞くと、燃費が心配になるかもしれませんが、カタログ燃費は、S60ポールスターが12.2(同13.6)km/L、V60ポールスターが11.2(同12.8)km/Lですから、まずまず許容範囲に収めています。

新しいエンジンは、アイシン製の8速ATと組み合わされ、4輪を駆動します。FF(前輪駆動)をベースとしたAWDシステムは、電子制御多版クラッチを用いて、後輪へ常にわずかなトルクを流すことで応答性を上げています。当然ながら、駆動力の前後配分にも、ポールスターのスパイスが利いています。より積極的に後輪にトルクを送ることで、さらにスポーティな走りを狙っているのです。

そのほか、ソフトウェアチューンが得意なポールスターらしく、ステアリングの電動アシストも変更され、また、ドライブモードには、通常の「SPORT」に加え、「SPORT+」が設定されました。

価格は、S60ポールスターが839万円。V60ポールスターが859万円です。日本への割り当て台数は、セダンのS60ポールスターがわずか35台(青10台、白7台、黒18台)。ワゴンのV60ポールスターが65台(青20台、白15台、黒30台)。両車合わせても100台となります。

さっそく、V60ポールスターに乗ってみましょう。フロントバンパー下部のリップスポイラーやリアバンパー下部のディフューザー、そして、大型のルーフエンドスポイラーがスポーツモデルであることを強調します。これらのパーツはすべて、ボルボの風洞を使って開発されたものだそうで、ワゴンのルーフスポイラーは、Rデザインのそれより、22kg大きいダウンフォースを得られるのだとか。

ボルボ V60 ポールスター

ドアを開ければ、ヌバックとレザーを用いたコンビネーションシートが待っています。座面、背もたれとも、しっかりしたサイドサポートを備えていますが、サイズ自体には余裕があって、恰幅のいい人が厚着して乗っても大丈夫そうです。インテリアは、全体に黒とシルバーでまとめられたスポーティなもので、ポールスターらしい、淡いブルーがアクセントカラーとして使われます。

ボルボ V60 ポールスター

S60/V60ポールスターは、いうまでもなく足まわりにも手が入れられており、Rデザイン比でスプリングは80%、スタビライザーは同じく15%も強化されています。「さぞやハードだろうな」と覚悟して走り始めたのですが、意外や、ゴツゴツ感は皆無。むしろ「滑らか!」と形容できる乗り心地です。

専用デザインの20インチアルミホイールに巻かれるタイヤは、高いスポーツ性能がジマンのミシュラン「パイロットスーパースポーツ」。245/35R20と、薄く大きな径のタイヤです。絶対的にはやや硬めながら、ひと昔前では考えられなかったスムーズな乗り味を提供してくれます。

ボルボ V60 ポールスター

車体の揺動を抑えるショックアブソーバーは、ポールスターとオーリンズが共同開発したもの。贅沢なデュアルフロータイプで、路面の小さな凹凸をいなす機能を備えます。真円性の高いミシュランタイヤと併せ、効果的に路面からのノイズを除去します。

貸し切りのクローズドコースでいざ、スロットルペダルを床まで踏み込みフラットアウトを試してみると、1速で約50km/h、2速で約90km/h、3速で早くも約140km/hに達します。タコメーターの針は、1速→2速の時は4800回転、2速→3速の時は4600回転と、キレイにトルクバンド(3100〜5100回転)に落ち、息つく暇もなくスペシャルワゴンを加速させます。

ボルボ V60 ポールスター

資料によると、V60ポールスターの0-100km/h加速は4.8秒(S60ポールスターは4.7秒)。これは、6気筒時代に比べ、0.2秒速い数値です!

ブレーキは、フロントに強力な6ピストンキャリパーが奢られました。ベンチレーテッドディスクは、スリット入り。十分なストッピングパワーが得られます。

ドライブモードを「SPORT+」に設定すると、ギヤチェンジがこれまで以上に素早くなり、シフトダウンでは華やかなエグゾーストノートが弾けます。コーナリング中は、しっかりギヤをホールドしてくれるのもいいですね。

少しばかり調子に乗ってトバすと、路面が悪いセクションではさすがにボディが跳ねることも。それでも「ドコに行っちゃうの!?」と不安になることがないのは、安定感あるAWDシステムのおかげでしょう。「やはりサーキットが出自だからな」と、ニヤリとする余裕さえあります。

 ■豪州を皮切りに今では世界中に展開

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