グリップ力えげつない!林業関係者御用達メーカーの“スパイク足袋”は山仕事の標準靴だった

▲斜面で抜群にグリップするスパイク足袋

山道を整備する機会があり、スパイク足袋を履いて参加することに。正直、半信半疑というか、足が痛くなったら嫌だな、くらいのネガティブな気持ちで履いていきました。山道までのアスファルトを歩いていた時は、スパイクのゴリゴリ音に不安しか感じませんでしたが、いざ山道に入ると驚くほど静かで地面に喰い付くのを足裏から感じられました。

▲新品と使い込んだソールの違い

急登な斜面が多い地域なため、登山道といっても一部は砂礫や土が流れて危険なところもあります。基本、登山道を使用しない狩猟では、なおのこと地面を捉える強力なグリップ力を必要とするので、スパイク足袋が推奨されているわけです。

クッション性については、ソールの突起が分厚いせいか、さほど足裏に痛みを感じることがありませんでした。むしろ意外にも土の上で履き心地が良く、ラクに行動できました。

ちなみにスパイクピンは数ヶ月で減ってしまいます。ソールの張替えはできないので、使い潰すのが基本です。

▲ベルクロテープで脱ぎ履き。コハゼより簡単

足袋というと、“コハゼ”と呼ばれる平ピンをループに引っ掛けて履くものですが、こちらはベルクロテープ。脱ぎ履きが簡単で便利。これなら裾を足袋にインしやすい。ズボンの素材や厚みが異なっても許容範囲が大きいのも良いですね。難点としては、長時間履いていると少し緩んでくること。そして、テープがひどく汚れると保持力が弱くなるため、使用後のメンテナンスは必要だと思います。

▲ズボンの裾をインしやすい

下草が生えた斜面や砂礫の多い場所での作業であれば、ズボンの裾はインして使いたい。ファブリックは薄手のジーンズのような感触の合成繊維で、多少の撥水性はありますが、耐水性はなく悪天候や雪の中では使えません。

同社では甲の部分にプロテクターが入ったモデルもあるのですが、その部分からファブリックが破れることがあるとか。また、真冬は金属製のプロテクターが冷えて辛いそう。重量物の運搬を伴う作業や、金属製の刃の付いた刈払機を使うシーンでなければ、プロテクターのないこのモデルが良いと思います。

▲足袋のメリット

足袋状なので五本指ソックスないしは足袋ソックスの着用がマストです。内側に親指、外側にそれ以外の指が入ります。

足袋の最大のメリットは親指のグリップ力。斜面で踏ん張る際に親指を山肌に当ててグリップさせます。分かれている部分が自在に動くわけではありませんが、ほんの少しでも動くことでグリップ感は増大し、足裏から得る路面の情報も格段に増えます。

▲ちなみに五本指ソックスはガッツマン「100km行軍靴下」

私は普段26.5cmサイズの靴を履いていますが、こちらのスパイク足袋は少し大きく感じました。ワンサイズ下の26.0cmでピッタリ。また、クッション性も普通の靴に比べれば薄いので、インソールを衝撃吸収性のものに変えたり、厚手のソックスを履くのも良いでしょう。

▲THE 業務用といった雰囲気もGood!

履いてみるとそのグリップ力に驚かされます。滑らないと評判のソールを付けた高価なトレッキングシューズよりも格段に滑りません。ただ、長距離を移動したりするような履物ではないので、登山靴の代わりにはなりません。あくまで拠点を中心として行動するような使い方をするものですので、お間違いなく。

調べてみたところスパイク系の長靴や作業靴には大変高価なものもあります。しかもそれらはホームセンターやワークウエアの専門店にもほとんど置いてありません。なかなか試し履きもできないので、自身の使い方や耐久性を見定める基準点を出す上で、この「スパイク足袋」は手頃な価格で高機能であると感じました。山仕事の最初の一足にオススメのアイテムです。

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<取材・文/GOL

GOL|現在、東京近郊の山村と都会で二拠点生活をしています。ライター業がメインですが、地方の魅力発信にも力を入れています。実地でのレビューがしやすい環境を活かしてアイテムを紹介していきます。

 

 

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