EVはだんだん身近な存在になりつつあるようです。好例が、ボルボ「EX30」。全長4.2mで全高1.55mのサイズといい、乗り味といい、使いやすさに感心させられるクルマなのです。
最初、2023年6月にミラノでお披露目され、日本にも8月とけっこう早いタイミングで登場。世界的に納車はまだとのことですが、私は10月にひと足先にバルセロナで試乗の機会をもらいました。
■シンプルだけれど力強いスタイリング
魅力のひとつはスタイリング。シンプルだけれど力強いデザインです。なかでも特徴的なのはフロントマスクで、エンジン車のような大きなグリルはありません。
それでも、いわゆる「アイアンマーク」エンブレムと、「トールハンマー」と呼ばれるT字を横にした輪郭のヘッドランプという、従来のボルボ車に共通のアイコンは活かされています。
リアのコンビネーションランプも、一部のボルボ車で採用されているコの字型のモチーフ。前からでも後ろからでも、見る人が見れば、ボルボ車とわかるのでは。
実際、私がバルセロナをドライブしたところ、“おっ!”という顔でEX30を見つめる周囲のドライバーが何人もいました。シンプルで、ある意味、地味なルックスですが、けっこう目立ってました。
つまりグッドデザインなのでしょう。連想したのは、ボルボの生まれ故郷スウェーデンでなく、ドイツの電気製品「ブラウン」のデザインです。
とくに1960年代から70年代にかけてのブラウンの製品は、シンプルだけれど、それゆえにものすごく目を惹くデザイン。美とはなにかを考え抜いていた感があります。
スウェーデンのデザインも、もちろん、なかなかです。とくに日用品は、障がいを持った人でも使いやすく、かつ、身近に置いておくだけで生活が楽しくなるような明るさが、私の好きな点です。
最近では、伝統的な工芸品を要素を取り込んだデザインも多いようです。造型しかり、素材の質感を活かすコンセプトしかり。その点では、EX30にも共通点が見てとれます。
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